- 発行日 2025年9月2日
- 最終変更日 2025年9月2日
- 5 分
Arduino初心者向けプロジェクト10選
この記事では、学生、保護者、教師、そして初心者の方々に向けて、Arduino入門に役立つ基本情報と、楽しみながら学べる初心者向けのプロジェクト10選を紹介します。

はじめに:Arduinoを始めるには

Arduino(アルディーノ)は、オープンソースの電子工作プラットフォームで、教育現場や趣味のロボット制作、自動で動く家電や装置の制作などさまざまな分野で活用されています。プログラミングや回路設計の経験がなくても、小学生から大人まで手軽に始められるのが大きな特徴です。
Arduinoとは
Arduinoは、使いやすいマイクロコントローラーボードと無料で利用できる開発環境(Arduino IDE)を中心とした電子工作プラットフォームです。教育現場やメイカースペース、個人の趣味プロジェクトなど、さまざまな場面で広く活用されています。
初心者におすすめのArduinoボードとスターターキット
Arduino Uno
Arduino Unoは、最も広く使われている初心者向けのボードです。多くの教材やオンラインチュートリアルがこのUnoを前提としており、「Arduinoを始めるならまずUnoから」と言われるほど定番のモデルです。
- 難易度:初心者向け
- 用途:教育用、基本的なプロジェクト
- 商品リンク:Arduino Uno
Arduino Nano
Arduino Nanoは、Unoよりも小型で持ち運びに便利なボードです。限られたスペースでの使用に適しており、USB接続で簡単にプログラムを書き込めます。小型デバイスやポータブルな電子工作にぴったりです。
- 難易度:初心者向け
- 用途:小型デバイス、ポータブルプロジェクト
- 商品リンク:Arduino Nano
Arduino初心者キット
Arduino初心者キットには、LEDや抵抗、モーター、ボタン、ブザーなど、複数の基本パーツがセットになっています。1つのキットでさまざまなプロジェクトを試すことができ、効率よく基礎を学べるのが魅力です。
- 内容:LED、モーター、センサ、抵抗など
- 商品リンク:Arduino スターターキット
Arduinoソフトウェア
Arduinoで使える主なソフトウェアツールと、それぞれの特徴を紹介します。
- Arduino IDE:Arduino公式が提供する標準の開発環境です。無料で利用でき、Arduino公式サイトから簡単にダウンロードできます。
- Arduino Web Editor:インストール不要で、ブラウザ上から直接プログラムを書いて実行できます。複数デバイスからの利用にも便利です。
- ブロックベースのツール:小学生やプログラミング未経験者には、Arduino Blocksなどのドラッグ&ドロップ式のツールがおすすめです。視覚的にコードを組み立てることができ、直感的に学べます。
- ライブラリのサポート:Arduinoには豊富なライブラリが用意されており、センサ、LCD、モーターなどの制御を簡単に実装できます。初心者でも少ないコードで多彩な機能を扱うことができます。
初心者でもArduinoで成功できる理由
Arduinoは、シンプルな開発環境とモジュール化されたコンポーネントにより、電子工作やプログラミングのハードルを大きく下げてくれます。ブレッドボードを使えば、はんだ付けなしで回路を組むことができるため、安全かつ効率的に学習を始められます。また、国内外のオンラインフォーラムやYouTubeチュートリアルなど、初心者を支援する情報も非常に充実しており、一人でも安心して取り組める環境が整っています。
Arduinoプロジェクトを通じて得られること
Arduinoを通じて初心者が習得できるスキルや、得られる成果について紹介します。
- 配線の基本や簡単なプログラミング、論理的思考力が自然と身につきます。
- サーボモーターやセンサを使ったロボット制御を学ぶことで、IoTや自動化技術への応用が可能になります。
- 習得したスキルを活かし、家庭内のちょっとした自動化や学習教材の開発など、実用的なプロジェクトに挑戦できます。
小型DCモーターとプログラム可能な電子基板。STEM教育向けのマイクロコントローラーを使った学校実験室の学習風景。

初心者向けArduinoプロジェクト10選
Arduinoを学びながら取り組める、初心者におすすめの10のプロジェクトを順に紹介します。
1. LED点滅プロジェクト
- 難易度:★☆☆☆☆
- 製作時間:約20分
- 使用部品:Arduino Uno、LED、抵抗、ジャンパーワイヤ
- 学習ポイント:digitalWrite、delayの基本理解
作り方:
LEDをデジタル出力とGNDに接続し、setup()で出力モードを設定します。loop()関数内でHIGHとLOWを切り替え、delay()を使って点滅を制御します。点滅間隔を変数で調整することで、点灯スピードを変化させることができます。また、複数のLEDを使って順番に点灯させたり、異なる色のLEDを組み合わせてカラーパターンを作ることも可能です。
さらに、PWM制御を使えば光の強さを調整でき、ボタンやポテンショメータ(可変抵抗)を追加すれば、リアルタイムで明るさや点滅速度を変えるインタラクティブな動作にも対応できます。シリアル通信を使って点滅パターンを変更するなど、より高度な応用にも発展させられるプロジェクトです。
2. ボタンでLEDをオン・オフ
- 難易度:★☆☆☆☆
- 製作時間:約30分
- 使用部品:Arduino Uno、タクトスイッチ、LED、抵抗
- 学習ポイント:digitalRead、条件分岐
作り方:
スイッチをArduinoの入力ピンに接続し、プルダウン抵抗を用いて信号を安定させます。digitalReadで状態を取得し、押すたびにLEDのオン・オフを切り替える(トグル)制御を行います。複数のボタンやLEDを使った制御にも応用でき、押した回数に応じて段階的にLEDを点灯させたり、長押しの時間によって異なる動作を割り当てるといった拡張も可能です。さらに、ブザーを追加して音で状態を知らせたり、LCDにスイッチの状態を表示することで、よりインタラクティブな仕組みを作ることができます。
Arduino UNOで使用できる小型圧電ブザー。電子工作やサウンド出力に適した部品のクローズアップ写真。

3. ピエゾブザーでメロディ演奏
- 難易度:★☆☆☆☆
- 製作時間:約30分
- 使用部品:Arduino Uno、ピエゾブザー、抵抗
- 学習ポイント:tone()関数、音階の配列化
作り方:
tone()関数を使って音階を指定し、複数の音を配列にまとめて順番に再生することでメロディを演奏します。ボタン入力によって曲の切り替えやテンポ調整も可能で、複数のブザーを用いれば簡単な和音を演奏することも可能です。
さらに、メロディを複数のパートに分けて連続再生したり、センサ入力に応じて音程やリズムを変えることで、インタラクティブな楽器のような仕組みに発展させることができます。LCDを使って曲名や再生状況を表示したり、LEDを連動させてリズムを視覚的に表現するなど、演奏体験をより豊かにするアイデアも加えられます。
4. 光センサで自動点灯LED
- 難易度:★★☆☆☆
- 製作時間:約40分
- 使用部品:Arduino Uno、フォトレジスタ、LED、抵抗
- 学習ポイント:analogRead()、閾値による判断
作り方:
フォトレジスタ(光センサ)をアナログ入力に接続し、analogRead() 関数で周囲の明るさを読み取ってLEDの点灯を制御します。閾値や感度は可変抵抗で調整でき、周囲の光量に応じてLEDを複数段階で点灯させるといった応用も可能です。
さらに、複数のLEDを異なる閾値で制御したり、LCDを使って光レベルを視覚的に表示する機能を加えることで、状態を確認しやすくなります。光の変化を記録してログとして保存する機能を組み込めば、より高度な光センサ制御プロジェクトに発展させることもできます。
5. 温度センサでシリアルモニタ表示
- 難易度:★★☆☆☆
- 製作時間:約45分
- 使用部品:Arduino Uno、LM35温度センサ
- 学習ポイント:アナログ入力、摂氏変換
作り方:
LM35温度センサをアナログ入力に接続し、analogRead()で取得した電圧を摂氏に変換して、Serial.print()でシリアルモニタに表示します。さらに、設定した温度を超えたときにLEDやブザーで警告を出す機能を追加したり、データロギングを行って長時間の温度変化を記録することもできます。温度の閾値を可変抵抗で調整可能にしたり、LCDでリアルタイム温度を表示する機能を加えることで、より実用的な温度管理システムに発展させられます。
ファンや冷却装置の制御回路と組み合わせれば、自動で冷却を行う仕組みも構築可能です。さらに、記録した温度データをグラフ化して視覚的に分析したり、複数のセンサで部屋ごとの温度差をモニタリングすることで、スマート冷却システムとしての応用も目指せます。
ソーラーパワーの扇風機に使われるミニDCモーター。省エネ電子工作や再生可能エネルギープロジェクトに最適な部品。

6. DCモーターでミニ扇風機
- 難易度:★★★☆☆
- 製作時間:約60分
- 使用部品:Arduino Uno、DCモーター、トランジスタ、ダイオード、抵抗
- 学習ポイント:PWM制御、モーター駆動
作り方:
DCモーターの駆動にはトランジスタを使用し、逆起電力から回路を保護するためにダイオードを接続します。PWM信号でモーターの回転速度を制御し、温度センサと組み合わせることで、設定した温度を超えたときに自動で起動するように構成します。 さらに、ポテンショメータを用いて速度を手動で微調整できるようにしたり、複数のモーターを制御して段階的に風量を調整する回路にも発展可能です。電源の安定性を高めるためにコンデンサを追加し、長時間稼働に対応できるように設計しましょう。
また、回転数センサを用いたフィードバック制御によって、一定の風速を保つことも可能です。LCDを使って現在の回転速度や温度を表示する機能を加えれば、視覚的な情報も得られます。加えて、バッテリー駆動に対応させれば、外で使える省エネルギーなポータブル扇風機としても活用できます。
7. サーボモーターでミニロボットアーム
- 難易度:★★★☆☆
- 製作時間:約70分
- 使用部品:Arduino Uno、SG90サーボモーター、段ボール素材
- 学習ポイント:Servoライブラリ、PWM制御
作り方:
サーボモーターをPWMピンに接続し、Servoライブラリを使って角度を細かく制御します。段ボールでアームの構造を組み立て、支柱や回転部分を補強することで、より安定した動作を実現できます。
複数のサーボを使えば、2関節や3関節のロボットアームを作成することも可能です。それぞれのサーボを独立して制御するプログラムを追加すれば、より高度な動作を実現できます。さらに、ポテンショメータやジョイスティックを接続することで、アームを手動でリアルタイムに操作できるようにしたり、センサと連携させて物体を自動で掴むなど、より複雑なプロジェクトに発展させることができます。
Arduinoの動作センサープロジェクト向けミニ防犯カメラ。DIY監視システムやIoT電子工作に適した小型カメラモジュール。

8. 超音波センサで距離検出
- 難易度:★★★☆☆
- 製作時間:約75分
- 使用部品:Arduino Uno、HC-SR04超音波センサ、LEDまたはブザー
- 学習ポイント:pulseIn、距離計測
作り方:
超音波センサをArduinoに接続し、pulseIn関数を使って反射波の戻り時間を計測し、その値から音速を用いて距離を算出します。設定した距離に対象物が近づいた際に、LEDやブザーで警告を出す基本的な仕組みを構築できます。
さらに、複数のセンサを組み合わせて周囲の障害物を広範囲に検出したり、LCDディスプレイに距離情報を表示してリアルタイムで確認できるようにすることも可能です。センサデータを統合して簡易的マッピング機能を実装すれば、ロボットの自律移動や安全機能の基礎にも応用できます。
9. LCDディスプレイでメッセージ表示
- 難易度:★★★☆☆
- 製作時間:約70分
- 使用部品:Arduino Uno、I2C LCDモジュール、ポテンショメータ
- 学習ポイント:LiquidCrystal_I2C、文字表示
作り方:
I2C接続のLCDをArduinoに接続し、LiquidCrystal_I2Cライブラリを使用して初期化と表示制御を行います。メッセージを1行ずつ表示する基本的なコードから始め、複数のメッセージを配列で管理し、ボタン操作で表示を切り替える機能も追加できます。 また、温度センサや光センサなどの値をリアルタイムでLCDに表示したり、カウントダウンタイマーやストップウォッチとして活用することも可能です。さらに、文字をスクロール表示したり、自作のカスタム文字を作成して表示することで、より表現力豊かな画面に仕上げることができます。LEDやブザーと連動させて、視覚・聴覚の両面から情報を伝えるインタラクティブなプロジェクトにも発展させられます。
10. 人感センサで自動点灯ライト
- 難易度:★★★☆☆
- 製作時間:約70分
- 使用部品:Arduino Uno、PIRセンサ、LED、抵抗
- 学習ポイント:digitalRead、動作検知
作り方:
PIRセンサを使って人の動きを検出し、検知時にLEDを一定時間点灯させます。感度や点灯時間を調整することで、さまざまな環境に対応可能です。リレーを利用すれば、本格的なランプや照明器具も制御できます。また、複数のPIRセンサを組み合わせて広範囲をカバーするシステムも構築できます。
さらに、可変抵抗で点灯時間を微調整したり、ブザーやLCDを組み合わせて、警告表示や状態確認ができる警報システムとしても活用できます。複数のLEDを順番に点灯させるプログラムや、光センサと連携して明るさに応じた動作切り替えなど、より高度な制御も可能です。Wi-FiやBluetoothモジュールを組み込むことで、スマートフォンから遠隔操作や通知機能を備えたスマートセキュリティ装置へと発展させることもできます。
Arduino学習の次のステップ
より高度なプロジェクトに挑戦
IoT、ロボティクス、ウェアラブル技術などに取り組むことで、複数のセンサやアクチュエータを連携させた高度な自動化システムの構築が可能になります。Arduinoの基本を習得した後は、こうした応用分野に挑戦することで実践的なスキルがさらに深まります。
安全で効率的な製作のポイント
- 静電気対策や誤配線の防止など、電子部品の保護を意識しましょう。
- 配線を整えて整理することで、トラブルや誤作動を未然に防ぐことができます。
国内コミュニティやリソースを活用
国内にはメイカースペースや教育機関によるArduino関連プログラムが多数あります。さらに、オンラインフォーラムやSNSを活用して情報交換を行えば、オープンソースのサンプルコードや回路図を活用しながら開発スキルを効果的に向上させることができます。


