- 発行日 2025年11月6日
- 最終変更日 2025年11月6日
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初心者向けラズベリーパイHAT 10選
初心者必見!ラズベリーパイをもっと便利にするおすすめHAT 10選を徹底紹介。センサーや拡張機能で電子工作やIoTプロジェクトを簡単にレベルアップ。

はじめに:ラズベリーパイHATとは
ラズベリーパイHAT(Hardware Attached on Top)は、ラズベリーパイのGPIOピンに直接取り付けられる拡張基板です。HATを装着するだけで、ディスプレイやセンサ、モーター制御、通信モジュールなどの機能を簡単に追加できます。複雑な配線作業が不要なため、初心者でも安心して扱えるのが大きな魅力です。
国内でも、学生や教育関係者、趣味で取り組む人々にとって、ラズベリーパイHATは人気の学習ツールとなっています。たとえば、STEM教育の授業や放課後のメイカーズクラブ(ものづくりクラブ)では、環境データの記録やロボット操作といったプロジェクトを通じて、プログラミングを「動くもの」と一緒に学べる機会が広がっています。
HATを活用すれば、シンプルな工作からAIやIoTにつながる応用まで、段階的にステップアップしていくことができます。
この記事では、初心者でも扱いやすく、国内でも入手しやすい10種類のラズベリーパイHATを紹介します。それぞれの特徴や学べる内容、活用できるプロジェクト例を取り上げ、具体的な使い方の手順も解説します。
1. Sense HAT(環境センサボード)
難易度:★☆☆☆☆
時間:20〜30分
使用部品:ラズベリーパイ本体、Sense HAT(温度・湿度・気圧・IMU・LEDマトリクス)
学べること:環境データの取得、LEDマトリクス表示、Pythonによる基礎プログラミング
Sense HATは国際宇宙ステーション(ISS)でも使われた実績を持つ拡張ボードです。温度・湿度・気圧などを計測し、LEDマトリクスに数値や模様を表示できます。ラズベリーパイの入門的な「Lチカ」の発展版として楽しめるほか、STEM教育でも活用に注目が集まっています。
使い方
- Sense HATをラズベリーパイのGPIOに装着します。向きやピンの位置を確認し、しっかり接続しましょう。
- sense-hatライブラリをインストールします。ターミナルでpipコマンドを実行し、インストール後にサンプルコードで動作確認すると安心です。
- Pythonスクリプトを作成し、温度データを取得してLEDに表示します。湿度や気圧のデータも追加でき、複数データを同時に扱う練習になります。
- スクリプトを実行するとリアルタイムで結果が確認できます。数値表示だけでなく、色やスクロールを工夫することで、よりインタラクティブな体験になります。
関連リンク:Raspberry Pi HAT

2. モーター制御HAT
難易度:★★☆☆☆
時間:30〜40分
使用部品:ラズベリーパイ本体、モーター制御HAT、DCモーター、電池パック
学べること:モーター駆動、PWM制御、ロボット工作の基礎
モーター制御HATは、ロボット制作やラジコンカーのようなプロジェクトに適した拡張ボードです。PWM制御を通してラズベリーパイでのモーター操作を学べるため、教育用ロボットキットとも相性もよく、教育現場でも広く利用されています。
使い方
- モーター制御HATをGPIOに装着します。ピンの向きを確認し、確実に差し込みましょう。
- DCモーターをHATの端子に接続します。左右のモーターを別々のチャンネルつなぐことで、前進・後退や旋回を制御できます。
- 外部電池パックでモーターに電源を供給します。電圧や電流が不足しないよう注意し、過熱を避けるため定期的に状態を確認してください。
- Pythonライブラリを利用してモーターを前進・後退させます。動作確認の後、条件分岐を追加して左右旋回や速度調整を組み込むと、より実践的なロボット制御を体験できます。
関連リンク:教育ロボット用モーションコンポーネント
3. サーボドライバHAT
難易度:★★☆☆☆
時間:30〜50分
使用部品:ラズベリーパイ本体、サーボドライバHAT、SG90マイクロサーボ
学べること:サーボモーター制御、PWMの基礎、ロボットアーム設計
サーボドライバHATを使うと、ロボットアームやカメラのパン・チルト機構を作成できます。PWM制御で角度を操作し、0度・90度・180度といった動きを実践できるため、ラズベリー パイを使った応用的なプログラミング学習に役立ちます。
使い方
- サーボドライバHATをGPIOに装着します。ピン位置を確認し、奥まで確実に差し込みましょう。
- サーボモーターをHATに接続します。複数のサーボを接続する場合はチャンネルを分け、配線の向きや電源容量にも注意してください。
- Pythonライブラリを導入し、サーボを制御するコードを作成します。まずはサンプルコードで基本動作を確認し、その後ループや条件分岐を追加して制御の幅を広げましょう。
- 実際に角度制御を行い、動きを確認します。90度単位の動作だけでなく、中間角度の調整や速度変化を試すことで、ロボットアームなどの応用につなげやすくなります。
4. オーディオDAC HAT
難易度:★☆☆☆☆
時間:20〜30分
使用部品:ラズベリーパイ本体、オーディオDAC HAT、ヘッドホンまたはスピーカー
学べること:デジタル-アナログ変換、高品質オーディオ再生
オーディオDAC HATは、ラズベリーパイで音楽やサウンドのプロジェクトを楽しむのに便利な拡張基板です。市販のオーディオキットと組み合わせれば、本格的な音響体験が可能になり、音楽再生やサウンド制御のプロジェクトにも応用できます。
使い方
- DAC HATをGPIOに装着します。向きを確認し、ピンが曲がらないように注意して差し込みましょう。
- Raspberry Pi OSでオーディオ出力の設定を変更し、DACをデフォルトの出力先に指定します。テスト音を再生して正しく動作するか確認してください。
- スピーカーやヘッドホンを接続します。アンプ内蔵スピーカーを使うと、音量や音質の違いを体験しやすくなります。
- 音楽ファイルを再生して音質を確認します。PythonスクリプトやVLCプレーヤーを利用し、音量調整やイコライザ設定を試すことで、オーディオ環境をより深く理解できます。
関連リンク:Raspberry Pi・ラズベリーパイ

5. カメラインターフェースHAT
難易度:★★☆☆☆
時間:30〜40分
使用部品:ラズベリーパイ本体、カメラインターフェースHAT、Piカメラモジュール
学べること:画像キャプチャ、OpenCVによる画像処理
カメラインターフェースHATを使えば、ラズベリーパイとPiカメラを接続して写真や映像を扱えるようになります。国内でもAIや画像認識の教育プロジェクトに広く利用されており、実践的な学習につながります。
使い方
- カメラインターフェースHATとPiカメラを接続します。フラットケーブルの向きや差し込み具合を確認し、カメラモジュールが確実に固定されているか確認しましょう。
- Raspberry Pi OSの設定でカメラ機能を有効化します。再起動後にテストコマンドを実行し、映像が取得できるかチェックします。
- OpenCVやpicameraライブラリを導入します。pipで最新バージョンをインストールし、必要に応じて依存ライブラリも追加してください。
- 撮影プログラムを実行して画像を保存します。静止画だけでなく、連続キャプチャや解像度調整、グレースケール変換などを試すことで、画像処理の基礎を幅広く体験できます。
関連リンク:Raspberry Piカメラ
6. ディスプレイHAT Mini
難易度:★☆☆☆☆
時間:20〜30分
使用部品:ラズベリーパイ本体、Display HAT Mini
学べること:テキストや画像の表示、UI設計の基礎
Display HAT Miniは、ポータブル工作や小型プロジェクトに適した拡張ボードです。ラズベリーパイと組み合わせれば、持ち運び可能な環境計測器なども作ることもできます。
使い方
- Display HAT MiniをGPIOに接続します。ピンの位置や基板の向きを確認し、しっかり差し込まれているかチェックしましょう。
- 専用ドライバをインストールします。pipやメーカー提供の手順に従い、インストール後にサンプルプログラムを実行して画面が正しく動作するか確認します。
- Pythonスクリプトで「Hello World」を表示します。フォントサイズや文字色を変更することで、見やすさと個性を兼ね備えた表示にできます。
- センサデータを画面に出力してみましょう。温度や湿度のリアルタイム値を表示したり、アイコンやグラフ形式で表示を工夫すると、学習効果と楽しさがさらに増します。
関連リンク:Raspberry Piスクリーン
7. オートメーションHAT
難易度:★★☆☆☆
時間:30〜50分
使用部品:ラズベリーパイ本体、Automation HAT(リレー、ADC、DAC)
学べること:スマートホームの基礎、リレー制御
Automation HATはリレーを搭載しており、照明や小型デバイスの制御に活用できます。スマートホームの仕組みを体験できるため、国内でもIoT教育の導入教材として利用されています。
使い方
- Automation HATをGPIOに装着します。ピンの向きを確認し、奥まで確実に差し込んで安定させます。
- pipで自動化ライブラリをインストールします。インストール後にサンプルコードを実行し、リレーや入力端子が正しく反応するかを確認します。
- LEDライトなどの小型デバイスをリレー端子に接続します。接続時には電圧や電流の仕様を確認し、必ず定格内で使用してください。
- Pythonでオン/オフ制御プログラムを作成します。基本的な点灯・消灯に加えて、一定時間ごとのスケジューリングやセンサ入力との組み合わせた自動制御を追加すると、スマートホームの仕組みをより深く理解できます。
8. AI/MLアクセラレータHAT
難易度:★★☆☆☆
時間:40〜60分
使用部品:ラズベリーパイ本体、AIアクセラレータHAT(例:Coral Edge TPUなど)
学べること:ローカルAI推論、画像認識の基礎
AI/MLアクセラレータHATを利用すると、TensorFlow Liteモデルを使った画像認識を実践できます。AIロボットやIoTの分野に関心のある初心者にとって、AIの仕組みを体験できる入門プロジェクトとして活用できます。
使い方
- AIアクセラレータHATをGPIOに接続します。装着時には基板が正しくはまっているかを確認し、緩みがないように固定しましょう。
- TensorFlow LiteとCorall用ドライバを導入します。インストール後にサンプルプログラムを実行し、環境が正常に動作しているか確認すると安心です。
- 事前学習済みモデルを読み込みます。分類モデルに加え、物体検出や顔認識といった応用モデルを試すと、理解をさらに深められます。
- Piカメラを使って推論を実行します。静止画だけでなく動画入力も扱い、処理速度や精度を比較することで、AI推論の特徴を実感できます。

9. GPS HAT
難易度:★★☆☆☆
時間:30〜50分
使用部品:ラズベリーパイ本体、GPS HAT
学べること:GPSデータ取得、位置情報を活用したプロジェクト
GPS HATを使うと、屋外で位置情報を取得できます。地図作成や移動ロボットの経路追跡などに活用でき、実践的な学習につながります。
使い方
- ラズベリーパイのGPIOにGPS HATを取り付けます。ピンの向きを確認し、緩みがないようしっかり固定しましょう。
- Raspberry Pi OSにGPSDをインストールします。インストール後にサービスを起動し、テストコマンドで衛星信号を受信できているか確認すると安心です。
- 衛星から位置データを受信します。屋外で使う場合は、窓際や開けた場所で試すと受信が安定しやすくなります。
- 緯度・経度をPythonで表示します。移動距離の計算やログ保存を組み合わせれば、地図作成やルート追跡といった応用プロジェクトにも発展させられます。
10. PoE HAT(Power over Ethernet)
難易度:★☆☆☆☆
時間:20〜30分
使用部品:ラズベリーパイ本体、PoE HAT、PoE対応スイッチ
学べること:LANケーブル1本で給電と通信を同時に行う仕組み
PoE HATは、ラズベリーパイ4にEthernetケーブルから直接電源を供給できる便利な拡張基板です。教育現場や研究室では、複数台を安定的に稼働させる用途にも利用されており、外部アダプタを省ける点が大きな特長です。
使い方
- PoE HATをGPIOに装着します。装着の際はピンが正しく差し込まれているか確認し、緩みがないように固定しましょう。
- PoE対応スイッチとLANケーブルを接続します。接続前にスイッチがPoE対応であることを確認し、ケーブルもカテゴリ5e以上のLANケーブルを使うと安定性が高まります。
- 電源と通信が同時に利用できることを確認します。LEDの点灯やOS上のネットワーク設定を確認し、給電とデータ通信が正常に機能しているかチェックしてください。
- 外部アダプタを使わずにプロジェクトを稼働させます。長時間の連続運転を行い、発熱の有無や電源供給の安定性を確認すると安心です。
関連リンク: Raspberry Pi電源
まとめ:HATがもたらす学びの可能性
ラズベリーパイHATは、GPIOに直接装着するだけで機能を拡張でき、複雑な配線を最小限に抑えられるのが大きな魅力です。環境センサ、モーター制御、オーディオ、AI推論、GPSなど、多様な分野を手軽に体験できるため、教育現場や趣味で取り組むものづくり愛好家にとって、頼もしい学習ツールとなっています。
次のステップとしては、複数のHATを組み合わせた高度なプロジェクト(例:Sense HATと Display HATを組み合わせた環境データ表示システム)に挑戦してみるのもおすすめです。さらに、ものづくりコミュニティに参加して共同制作に取り組んだり、ラズベリーパイ用の冷却ファンやヒートシンクで安定性を高めたり、ブレッドボードで回路を追加して拡張したりと、学びの幅を広げる工夫はいろいろあります。


