回路保護について

テクニカルサポートチームリーダー　ジェイ・プロクター2024年4月

製造業では大量の電力を使用するため、電気回路に意図的に弱点を設ける回路保護（ヒューズやサーキットブレーカーなど）が、電気システムの安全性と信頼性を確保するための重要な要素です。これらの回路保護装置は、機器や機械、生産システムを過電流から保護し、過剰な電流が流れた際に迅速に電源を遮断して機器の損傷や火災を防ぎます。

本ガイドでは、回路保護の基本的な概念と、導入時の考慮点について解説します。

回路保護とは何ですか? 回路保護とは、過電流（過剰電流）が発生した場合に回路を遮断する装置を回路に導入することです。その装置は、故障が発生した場合に自動的に電源を遮断します。

回路保護装置とは何ですか? ヒューズは、回路保護装置の中でも非常に一般的な形態のひとつであり、幅広い種類があります。ヒューズには大型のものから小型のものまであり、バヨネット型、チューブ型、ネジ型などがあります。ヒューズはさまざまな方法で定格が定められており、短絡保護方法としては優れた選択肢です。ヒューズは、故障が発生した際に電源を遮断するように設計されています。これにより、回路の最も弱い部分であるアプリケーション配線や回路を保護し、火災や機器への損傷を防止します。ヒューズはヒューズボックスや特別に設計されたホルダーに設置されることがあります。大きな電圧を伴う産業用アプリケーションでは、大型のカートリッジ型ヒューズが使用されることもあります。いずれの場合も、回路に適した定格のヒューズを選ぶことが重要です。

ブレーカーにもさまざまな形状やサイズがあります。低電圧回路は小型の装置で保護できますが、高電圧回路の保護には開閉器などの機器が使用されます。ブレーカーの利点のひとつは、交換の必要がないため、迅速に運転を再開できることです。ブレーカーの種類には、サイクリング（タイプ1）ブレーカー、ノンサイクリング（タイプ2）ブレーカー、および手動リセットブレーカーがあります。サイクリング式ブレーカーでは、過負荷が取り除かれるまで、装置がオンとオフを繰り返します。これに対し、非サイクリング式では、過負荷が取り除かれるか電源がオフになるまで、ブレーカーはリセットされません。手動リセット式ブレーカーは、調査を行った後に装置をリセットするボタンを使用してリセットされます。

産業用回路保護には以下が含まれます。

• モールドケースブレーカー: 幅広い電気機器を保護する低電圧設計のブレーカーです。
• 残留電流ブレーカー: 残留電流を検知し、住宅や安全が重視される産業・商業用途で使用されます。追加の過電流保護機能を備えている場合もあります。
• モーター保護ブレーカー: モーターを保護するために特別に設計された低電圧ブレーカーです。
• 真空ブレーカー: 真空を利用してアークを消す高圧回路遮断器です。
• SF6ガス遮断器: 六フッ化硫黄を利用した高圧設計で、アークを素早く消します。
• 油遮断器: 高電圧用に設計されており、気化した鉱物油を利用してアークの周囲に水素の泡を作り、アークを消します。

家庭用電化製品から工場用機械まで、それぞれの電気製品に規格が適用されています。製造業者は、電気機器が適切に保護され、維持されていることを保証することが法律で義務付けられています。

ブレーカーを選択する際には、その電圧定格と容量が用途に適しているかどうかを考慮することが重要です。ブレーカーは、故障が発生した際に発生する可能性のある電流レベルを、ブレーカー自体が損傷することなく処理できる必要があります。また、周囲温度におけるブレーカーの連続電流定格も考慮しなければなりません。

腐食、湿気、高温、機械的ストレスなど、過酷な産業環境に適したブレーカーもあります。選択するブレーカーは、使用する場所に適していなければなりません。

最後に、電気システムを保護する際には、ESD回路保護（静電気放電からの保護）も考慮することが重要です。ESD回路保護技術は、精密な電子機器や部品の損傷を防ぐのに役立ちます。詳細はこちらをご覧ください。

ブレーカーには通常、オン・オフの切り替えを行うレバーが付いており、過負荷によりサーキットブレーカーが作動した際には、その状態が示されます。過負荷により停電が発生した場合、サーキットブレーカーを手動でリセットすることができますが、その際に「オフ」と「オン」の中間位置にある部分的に作動した状態のブレーカーがあります。

ブレーカーをリセットするには、ブレーカーパネルの位置を確認し、パネルを覆っている扉を開けます。どのブレーカーが落ちたのかを確認した後、それを「オン」の位置に戻します。

回路保護の利点には、過負荷が発生した場合に機器や機械への恒久的な損傷を防ぐこと、および火災や感電から人々や施設を守ることが含まれます。 機器を保護するだけでなく、回路保護は機器の信頼性を高め、コストのかかるダウンタイムを削減します。 また、エネルギー効率を改善し、結果として機械の寿命を延ばすことにもなります。

産業施設では、施設火災は壊滅的な被害をもたらす可能性があります。そのため、電気の安全性が最も重要であり、回路保護もその一部です。ヒューズやブレーカーを正しく設置し使用することで、人員の安全を確保し、火災のリスクを回避することができます。製造施設全体で、すべての回路保護装置が正しく設置され、適切に機能していることを確認する必要があります。

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