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    ZigBeeのメリットと使用上の注意点
     
      • 発行日 2023年6月1日
      • 最終変更日 2023年11月7日
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    ZigBeeのメリットと使用上の注意点

    この記事では、Zigbee®について、Bluetoothとの違いやメリットと使用上の注意点について解説します。

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    ZigBee®とセンサネットワーク

    身の回りの無数のモノがいつでもどこでも通信し合うIoTネットワークには、アドホックな機能が求められます。アドホックとは元々「取って付けた」という意味ですが、ネットワークでは「自律分散型(の無線ネットワーク)」という意味で使われます。

    一般のコンピュータネットワークや電話網などでは、アクセスポイントや交換機・基地局など、各端末を受け入れ統制する専用機能を持ったアイテムが存在します。そして端末からの通信ルートは固定されています。しかしながら、IoTネットワークには、いつ、何が、どこに配置されるのか分かりませんし、時間と共に状態は変わります。したがって、通信ルートが固定されていたのではうまくいきません。各所に分散して存在する端末同士が、その場所と時に応じて自ら通信ネットワークを形成し、状態に応じて自在に組み替えできる自律性を持つ必要があるわけです。 アドホックは、それぞれの端末(ノード)がデータ中継することでネットワークを構成する一時的なネットワーク機能です。

    各ノードはデータ中継機能を持ち、送り手から受け手まで複数のノードを経由(マルチホップ)して情報/データを伝達します。 また、自律分散型にするというのはネットワークのトポロジ(形態)の問題ですが、自在に(しかも意識することなく)つながり合うには、有線ではなく無線接続の方が適しています。そうなると、周波数は?変調方式は?といった通信技術上の問題もクリアしなければなりません。

    センシングと制御

    例えば、家庭やオフィス、工場などでは防災や防犯のためのセンサやスイッチが各所に必要です。物流や医療などにおいても移動する多数の人や物を監視・追尾できれば便利です。温度や照明などを管理・制御するには多数のセンサやスイッチが必要です。これらは従来型のネットワークと通信の技術で結ぶこともできますが、効率的とは言えません。その場合、もし各所に分散した器具がアドホックな機能を持つならば、IoTネットワークを実現できます。それがセンサネットワークです。

    つまり、センサネットワークは家庭や工場などでIoTネットワークを実現する上でのひとつの前提となる技術です。FA(ファクトリオートメーション)やBA(ビル管理)などの大規模制御システムではフィールド機器と呼ばれる各種のセンサやモータ、バルブなどが多数配置され検出と制御が行われています。これらの分野では各種の従来型フィールドネットワークが採用されていますが、現在、アドホック機能を持つセンサネットワークに大きな期待が寄せられています。

    Zigbee®とは?

    センサネットワークは「どこでも・だれもが」使うものなので、方式の規格化とオープン化は必須です。実際、いくつもの規格が提唱され、実用化を目指しています。

    例えば、Bluetoothは、ポータブル機器やカーエレクトロニクスなど、マルチメディア系で実装されていますが、センサネットワークとしても利用できます。また、電力線通信(PLC)などは、無線ではないものの家庭やオフィス内におけるセンサネットワークを目指したものです。短距離の通信方式であるUWBはセンサネットワークに適しており、リモコンなどで使われているIrDA(赤外線通信)もあります。

    こうした中で有力な通信規格の一つが、「ZigBee®(ジグビー)」です。ZigBee®の仕様はZigBee Allianceが策定しており、国内ではZigBee SIGジャパンも組織されています。

    ちなみにZigBeeの名は、ジグザグ(zigzag)に動くミツバチ(bee)に由来し、アドホックを強く意識したものになっています(注1)。

    (注1)ZigBeeは、Koninklijke Philips Electronics N.V.の商標

    ZigBee®は、初めからセンサネットワークにフォーカスして考えられた技術です。そのため、ネットワークのトポロジーもスター、クラスタツリーと、メッシュの3種に対応します(図1)。各端末の機能は、ネットワーク形成を管理するコーディネータ、データの受け渡しをするルータ、そしてエンドデバイスと呼ぶローコストな単機能端末に分けられます。

    ◀図1:ZigBeeのトポロジー

    ZigBeeとBluetoothの違い

    ZigBeeは同じく通信を行うBluetoothとどのように違うのか、違いについて解説していきます。

    接続できる機器の違い

    ZigBeeとBluetoothには、接続できる機器に違いがあります。当然のことながら、Bluetoothでは対応している機器すべてに接続できるため流用がしやすく、スマートフォン・パソコン・MPプレイヤー・ゲーム機など身近な電化製品を含め、Bluetoothで接続できる機器は非常に多種多彩です。

    対してZigBeeはBluetoothほど対応している機器が多くありません。Bluetoothは接続するためのアプリケーションを開発するだけで製品が開発できます。現時点でもZigBeeはBluetoothに比べて対応機器の種類は圧倒的に少ないため開発側としては扱いづらく、今後、さらに対応機器数の差は開いていくと思われます。ZigBeeは双方にモジュールを組み込むような専用機器での利用がメインであり、市販の機器への流用は難しいでしょう。両者は接続できる機器の違いから、流用する用途ではBluetoothの方が使いやすいと感じられるはずです。

    同時に接続できる機器台数の違い

    同時に接続できる機器の台数は、ZigBeeの方が優れています。ZigBeeに同時接続できる機器の台数は、実に65,536台にも及び、Bluetoothの7台という最大同時接続台数を大きく上回ります。ZigBeeは同時に接続できる機器の台数が多いことから、ネットワークの構築や大規模なデータ転送に適した規格です。大量の端末に同時接続したいという用途ならZigBeeを選ぶべきでしょう。

    相互接続性の違い

    両者には相互接続性の違いがあります。Bluetoothは対応している機器が多いことから相互接続性に優れています。ZigBeeはBluetoothのように市販の機器に対して流用するという使い方は向きませんが、裏を返せば、ZigBee同士で通信できる専用機器であれば、相互接続性を気にする必要がないということです。

    ZigBeeは使用する状況や環境にあわせた仕様で作られていることが多く、用途にあわせてカスタマイズできる柔軟性を兼ね備えています。相互接続性に優れているBluetoothは、相互接続性を確保するために仕様が守られているなど柔軟性に欠けています。ZigBeeの相互接続性が低いことは接続できる機器の種類が少ないということですが、反面、相互接続性を気にしなくても良い柔軟性というメリットにもなります。

    通信速度の違い

    通信速度はZigBeeよりBluetoothの方が勝っています。Bluetoothは最大24Mbpsの通信速度を誇りますが、ZigBeeは250kbpsと約1/10です。そのため、画像や音声など大容量のデータを送信したい場合、ZigBeeでは通信にかなりの時間がかかることが予想されます。

    対応機器の多いBluetoothはバージョンアップが頻繁に行われており、バージョンアップのたびに通信速度は伸びてきています。ZigBeeは独自仕様とされることが多いことから、バージョンアップを頻繁に行う必要性もなく、通信速度は導入時とさほど変わりません。通信速度の速さから通信規格を選びたいと思っている場合は、ZigBeeよりBluetoothを選ぶべきでしょう。

    通信距離の違い

    通信速度だけでなく、通信距離にも両者の違いが現れます。ZigBeeの通信可能距離は約30mとされていますが、BluetoothのClass1では100m程度まで通信が可能です。ただし、BluetoothでもClass2なら10m、Class3なら1mにまで通信距離は落ちます。そのため、Class1に対応している機器との通信でなければ、ZigBeeの30mの方が通信できる距離が長いという結論に達します。

    Class3のBluetoothにしか対応していない機器であれば、ZigBeeの30mには全く及びません。両者には通信距離の違いがありますが、どちらが勝っているとは言い難く、接続する機器によって変わります。

    セキュリティレベルの違い

    セキュリティレベルに関しても違いがあり、ZigBeeの方が優れていると言えます。ZigBeeはBluetoothと違い対応機器が少ないことから流用が難しいことは前述しましたが、接続できる対象が限られており流用が難しいということは、セキュリティレベルが高いこととイコールです。ZigBeeは特定の機器同士が相互に通信するために用いられることが多いため、第三者による通信の傍受などが起きにくいという特徴を持ちます。

    また、ZigBee PROなら従来のZigBeeと比較してさらにセキュリティを強化することが可能です。大きな容量のデータを送信する際に自動的に分割し、受信元において自動的に復元される機能が搭載されたことから、電子証明書の送付にも対応。ZigBee 3.0ではStandard Securityによる暗号キーの配布・管理やルータによるカギの管理などの機能に対応し、セキュリティレベルの向上がはかられていることがわかります。

    もちろんZigBeeを使えば絶対的に安全だというわけではありませんが、多くの方が接続できる機器を所持しているBluetoothに比べると、セキュリティに関する脆弱性にさらされるリスクは少なくなります。通信に高いセキュリティレベルを要求するなら、BluetoothよりZigBeeを選んだほうが安全でしょう。

    消費電力の違い

    ZigBeeとBluetoothは、一定条件化において消費電力量に違いが現れます。ZigBeeはBluetoothに比べてスリープモードからの復帰時間が短いことから、スリープモードが使いやすいのです。

    つまり、両者は同じ帯域を使用して通信を行うことから消費電力量に大きな違いがあるわけではありませんが、ZigBeeでは使用しないときはスリープモードに移行し、必要なときは短時間で復帰させ、その後またスリープモードに移行する…という使い方がしやすくなります。ただし、昨今では「BLE」という省電力のBluetooth規格も登場してきており、今後は両社の消費電力量の差が縮まっていくかもしれません。

    そのため、消費電力量に大きな違いはないものの、実際にスリープモードを活用しながら使用してみると、ZigBeeは消費電力量が小さいように感じられることがあります。ZigBeeはBluetoothに比べて消費電力量が小さいと言われることがありますが、稼働時の電力量に大きな差があるわけではなく、スリープモードの使いやすさにより消費電力量に差があるように見えるというのが正しい結果です。

    コストの違い

    ZigBeeとBluetoothにはコストの違いもあり、ZigBeeの方が低コストでの導入が可能です。ZigBeeの開発に必要なものはファームウェアのみとシンプルであり、短期間での開発が可能です。数ある通信規格の中でも低コストで導入でき、スリープモードからの復帰時間の短さからランニングコストも低くなると考えられるため、ZigBeeは低コストでネットワークを運用したい場合に役立つでしょう。

    センサネットワークにフォーカスしたZigBee®の低消費電力性能

    ZigBeeのデータの構造は、低層の通信を司る部分、中層のZigBee Allianceで規定される部分、そしてユーザが利用する上層のアプリケーションの三つに分けられます(図2)。ZigBeeでは、物理層(PHY)とMAC層にIEEE802.15.4aの規格を採用しています。IEEE802.15.4は、WPAN(Wireless Personal Area Network)の規格として策定された規格です(注2)。使用周波数は、800MHz帯と900MHz帯、それに2400MHzのISM帯が想定されています。日本の場合は800/900MHz帯は許可されないので、Bluetoothや無線LANと同じ2400MHz帯を利用することになります。

    ◀図2:ZigBeeのレイヤー構造デジタルオシロスコープの信号取り込み範囲

    IEEE802.15.4が他と異なるのは、短距離の低速データ通信専用であることです(図3)。実際、データの転送速度は最大250kbps(注3)、伝送距離は屋内で約数十m程度です。ちなみに、一つのネットワークに最大64,000個の機器を接続できます。センサネットワークでやりとりされる信号は、温度データやスイッチのオンオフといった小容量データです。信頼性の高い確実な通信が求められるいっぽうで、動画などの大容量高速転送は行われません。

    ◀図3:IEEE802の各通信方式と守備範囲デジタルオシロスコープの信号取り込み範囲

    図4に、通信方式ごとのS/N比とBER(Bit Error Rate)の関係を示します。ZigBee®は、他の方式と比較して電波状態の悪い低S/N時でもBERの低下が少なく、確実性に優れる、つまりロバスト(robust)であることが分かります。ZigBee®は、低速通信という割り切った考えを採ったことで、端末の低消費電力化を実現します。具体的には、アルカリ単3電池2本で数ヶ月から2年間の稼動、コスト面でも、LSI単価で2ドル程度を目指しています。これは、IoTのセンサネットワークには極めて重要であり、ZIgBee®が有望視される大きな理由のひとつとなっています。特にホームネットワークやFA/BAなどに好適と言えます。

    ◀図4:SNRとBERの特性比較

    ネットワーク層から上は、ZigBee®固有のプロトコルスタックとして、ネットワーク接続やセキュリティなどが規定されています。

    Bluetoothなどは民生応用を主眼としているため機器の持つ機能毎にプロファイルが厳格に定められています。これに対して、ZigBee®ではユーザがプロファイルを規定して使用することもできるなど、工業応用のように多種少量の機器でも利用しやすいよう工夫されています。

    いっぽう、ZigBee®の規格本体は2004年の末に成立していますが、メーカーの異なる機器間の通信や認証に関する規定(Public Profile)など、未整備の部分もあります。また、プラットフォーム(ZigBee Compliant Platform)と製品(ZigBee Certified Product)の2種類ある規格認証のうち、初の製品認証がおりたのは2006年の11月のことで、まだ日が経っていません。

    各所で実用実験も行われ、専用のマイコンや開発キットなども発売されていますが、インフラとしての実用化と本格的普及はこれからです。

    (注2)802.15.4-2006 IEEE Standard for Information technology― Telecommunications and information exchange between systems― Local and metropolitan area networks

    (注3)800MHz帯(868.3MHz)は20kbps、900MHz帯は40kbps 2.4GHzでのチップレートは2Mchips/s

    ※ZigBee®は、ZigBee Alliance, Inc.の登録商標です。 参考:ZigBee-Alliance-Tutorial(http://www.zigbee.org/

    ZigBee® と無線モジュール

    取材協力:NECエンジニアリング株式会社(現 NECプラットフォームズ株式会社)

    名前に惑わされない ~ 無線センサ応用 ~

    —— ZigBeeの応用イメージが今ひとつハッキリしません。

    「無線センサネットワーク」や「ZigBee®」は特定用途向けのテクノロジーだと考えがちです。無線による機器接続では他に「無線LAN」「Bluetooth」などがありますが、無線センサネットワークはそれらよりも広い概念です。

    例えば図5は、生産工場で完成した製品をトラックで倉庫に保管するシステムの例です。製品を収めたコンテナにはGPSセンサと振動や温湿度のセンサを搭載したZigBee®のモジュールが取り付けられており、工場の出荷ゲートで出荷が確認されます。同様に倉庫の入庫ゲートでは員数と時刻を非接触で自動チェックしますが、輸送中の庫内温度や振動などが位置情報と共にモジュールに記録されていて、それらも同時に取得されます。こうすることで、入出庫の管理に加え輸送に起因する製品の故障解析など品質の維持向上にも役立てます。物流管理ではRFID(ICタグ)なども利用されるようになりましたが、この例では、ZigBee®を使うことでシステムの機能が拡大します。また、家電製品などでは赤外線のリモコンが普及していますが、対象機器に向けないと操作できませんし、ネットワークとしての機能も持たないため、無線センサネットワーク化する動きが進んでいます。

    ◀図5:物流でのZigBee®応用

    選択に幅を持つ ~ ZigBeeのシステム要求とネットワーク形態 ~

    —— 必ずZigBee**®**を使わないといけないのですか?

    ZigBee®は無線センサネットワークを実現するためのひとつの手段であって、「ZigBee®でなければ無線センサネットワークにあらず」というわけではありません。実現したいシステムの要件に合わせた形態を考えることが大切です。

    図6は、無線センサネットワーク用モジュールの構成例です。[A]は無線部分(物理層/MAC層)をIEEE802.15.4準拠としたことを除き、上位レイヤを独自に構築するタイプです。実際には、モジュールメーカーなどが独自仕様で提供しているものをそのまま使います。多くの場合、[A]のタイプではメッシュトポロジには対応しないなど機能を簡略化していますが、他メーカー機器との接続を見込まないなど条件が合えば、設計面の手軽さやコスト面で有利です。

    [B]と[C]はZigBee®に則った方式で、違いはプロファイルにZigBee Allianceが定義した既定のものを使うか、独自プロファイルとするかです。ZigBee®では、機器の持つアプリケーション機能を「プロファイル」として定義しており、既定のプロファイルにはホームオートメーション(HA)、スマートエナジー(SE)などがあります。[B]のようにユーザがプロファイルを独自に定めて使うことができるのは、ZigBee®の応用範囲を拡げるうえで大きな意味がありますが、設計の負担が増すことは承知しなければなりません。

    ◀図6:無線モジュールの種類

    ミツバチの正体 ~ ZigBee®の概要 ~

    —— ZigBeeの規格では、どんなことが規定されているのですか?

    図7に、ZigBee®のレイヤ構造を示しました。ネットワーク層から上、アプリケーションにつながる部分までが、ZigBee®で定義された部分です。接続機器のアプリケーション機能を「プロファイル」として定義しているのは前項で述べました。

    ◀図7:ZigBee®のレイヤ構造

    同時に、ZigBee®では、接続機器のロジカルなタイプをコーディネータ、ルータ、エンドデバイスの3種類定義しています。ネットワークには1つのコーディネータが必要であるほか、エンドデバイスはルータもしくはコーディネータと接続します(図8)。ちなみに、1つのネットワーク当たり最大65535のノードを管理するほか、1台が最大で240のエンドポイントを付与できます。エンドポイントとはアプリケーションを識別する構造単位のことで、1つの無線機に複数のアプリケーション(エンドポイント)を設けることが出来ます。なお、仕様の最新のバージョンは2007年版で、「ZigBee®」および改善されたメッシュルーティング機能を持つ「ZigBee®PRO」の2つの機能セットがあります。

    ◀図8:ネットワークトポロジー

    無線部分はIEEE802.15.4そのものです。図9に概略仕様を示しました。使える周波数帯が国によって異なるのは、無線機器として国の法規制に従う必要があるからです。なお、表でデータレートを示しましたが、これは無線部の物理的な通信速度です。システムでは接続の確認や再送要求などを行いますので、システムが実際にやりとりする情報のレートはこれよりも低くなります。

    ◀図9:無線部仕様

    ブラックボックス化すべし ~ ZigBee®の選定と注意点~

    —— どこから手を付けて良いか分かりません。

    ZigBee®を利用するにあたっては、仕様書を理解する必要があるのはもちろんです。とはいえ、ZigBee®用のICや無線回路を設計するといった場合を除けば、一般的なネットワーク機器の技術スキルがあれば設計できるように完成されたモジュールや評価キットが提供されています(図10)。

    ZigBee®機器は、最終的に相互接続評価とZigBee Allianceによる機器認証を必要とします。また、無線機器ですから国の認可が必要で、日本では「技術基準適合証明」を取得しなければなりませんが、認証済みのモジュールを使えば問題は解決します。

    ◀図10:モジュールとスタータキットの例

    なお、モジュールの制御法には、図11に示す二通りがあります。[A]は、ユーザがZigBee®の内部レイヤを直接操作するもので、設計の自由度がありますが慎重な設計が必要で、認証に際しても責任を負わなければなりません。いっぽうの[B]は、ZigBee®をコールするAPI(Application Program Interface)を、シリアルインタフェースを介して制御するものです。ソフトウエア設計が楽になるほか、確実な動作を期待できます。機器の設計にあたっては、通信の内容や頻度を基に機器の消費電力を計算し、電池寿命を見積もっておくことも忘れてはなりません。

    ◀図11:モジュールの制御法

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