通信距離の違い
通信速度だけでなく、通信距離にも両者の違いが現れます。ZigBeeの通信可能距離は約30mとされていますが、BluetoothのClass1では100m程度まで通信が可能です。ただし、BluetoothでもClass2なら10m、Class3なら1mにまで通信距離は落ちます。そのため、Class1に対応している機器との通信でなければ、ZigBeeの30mの方が通信できる距離が長いという結論に達します。
Class3のBluetoothにしか対応していない機器であれば、ZigBeeの30mには全く及びません。両者には通信距離の違いがありますが、どちらが勝っているとは言い難く、接続する機器によって変わります。
セキュリティレベルの違い
セキュリティレベルに関しても違いがあり、ZigBeeの方が優れていると言えます。ZigBeeはBluetoothと違い対応機器が少ないことから流用が難しいことは前述しましたが、接続できる対象が限られており流用が難しいということは、セキュリティレベルが高いこととイコールです。ZigBeeは特定の機器同士が相互に通信するために用いられることが多いため、第三者による通信の傍受などが起きにくいという特徴を持ちます。
また、ZigBee PROなら従来のZigBeeと比較してさらにセキュリティを強化することが可能です。大きな容量のデータを送信する際に自動的に分割し、受信元において自動的に復元される機能が搭載されたことから、電子証明書の送付にも対応。ZigBee 3.0ではStandard Securityによる暗号キーの配布・管理やルータによるカギの管理などの機能に対応し、セキュリティレベルの向上がはかられていることがわかります。
もちろんZigBeeを使えば絶対的に安全だというわけではありませんが、多くの方が接続できる機器を所持しているBluetoothに比べると、セキュリティに関する脆弱性にさらされるリスクは少なくなります。通信に高いセキュリティレベルを要求するなら、BluetoothよりZigBeeを選んだほうが安全でしょう。
消費電力の違い
ZigBeeとBluetoothは、一定条件化において消費電力量に違いが現れます。ZigBeeはBluetoothに比べてスリープモードからの復帰時間が短いことから、スリープモードが使いやすいのです。
つまり、両者は同じ帯域を使用して通信を行うことから消費電力量に大きな違いがあるわけではありませんが、ZigBeeでは使用しないときはスリープモードに移行し、必要なときは短時間で復帰させ、その後またスリープモードに移行する…という使い方がしやすくなります。ただし、昨今では「BLE」という省電力のBluetooth規格も登場してきており、今後は両社の消費電力量の差が縮まっていくかもしれません。
そのため、消費電力量に大きな違いはないものの、実際にスリープモードを活用しながら使用してみると、ZigBeeは消費電力量が小さいように感じられることがあります。ZigBeeはBluetoothに比べて消費電力量が小さいと言われることがありますが、稼働時の電力量に大きな差があるわけではなく、スリープモードの使いやすさにより消費電力量に差があるように見えるというのが正しい結果です。