ちなみに、銅箔厚18μmの基板は、重量表示では1/2oz(オンス)の基板に相当します。概略値を合わせて示しましたが、大雑把に初めの一桁目の値と乗数、例えば、1pFなのか10pFなのかを知っておくだけでも意味があります。かなり乱暴なやり方なのですが、後はそれを何倍かしたり何分の一にしたり、暗算で済ませます。実際のパターンは複雑な要素が絡み合うわけですが、概略を把握することを優先するからです。例えば、線幅を1mmから0.5mmにする場合は、パターンを集中定数のコンデンサと考えて、容量を1/2にします。インダクタンスも、図1の条件から大きく外れない限り、パターン幅に反比例し長さに比例するとして大過ありません。最近は、配線ルール(線幅と間隔)も層の厚みも小さく薄くなっていますが、相対的な比率はそれほど変わらないので、容量やインピーダンスなどが何桁も変わるということはありません。
同図には、パターンを線路伝送線路として考えた場合の特性インピーダンスと関係式も示しました。この式から、周波数が低い(jωが小さい)ときは静電容量が支配的になることが分かります。つまり、低周波の回路では、浮遊容量に注目すればよいということになります。反対に、周波数が高くなるに従いインダクタンス分が効いてきます。例えば、パターン1cmの概略値である4nHの100MHzにおけるインピーダンスは約2.5Ωになり、1nsで1mA立ち上がるだけでも L×dI/dt=4[mV]となり、高速デジタル信号の立ち上がりなどに影響します。当然ながら、周波数が高くなるにしたがい分布定数回路として考えないと、現象との差異が大きくなります。