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      • 発行日 2024年4月26日
      • 最終変更日 2024年4月26日
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    PTCサーミスタとは?動作原理や温度センサーとの違いをわかりやすく解説

    PTCサーミスタとは主に温度センサーとして用いられる部品です。ある一定の温度を超えると急激に抵抗値が増す特性があります。この記事ではPTCサーミスタの用途や動作原理、特性について徹底解説します。

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    PTCサーミスタとは?

    この章ではサーミスタについての概要に触れたのち、PTCサーミスタとは何かについて解説します。

    サーミスタとは?

    サーミスタとは、Thermal Sensitive Resistorから派生した言葉で、日本語では「熱に敏感な抵抗体」と表現できます。

    従来は温度変化を検知することによって電気抵抗を変化させる抵抗体のことをサーミスタと呼んでいました。しかし現在では従来とは逆の、電気抵抗を検知することで温度測定を行うセンサーのことをサーミスタと呼ぶことが一般的になりました。

    サーミスタを構成する材料は金属酸化物半導体です。

    安価で感度が良く、高い精度で測定できることから、硫化銀半導体を材料としたサーミスタがもっとも多く使われているようです。

    PTCサーミスタはサーミスタの一種

    PTCサーミスタはその名の通り、サーミスタの一種です。PTCとはPositive Temprature Coefficient(正の温度係数)の略で、PTCサーミスタはある一定の温度を超えると抵抗値が増加する特徴があります。

    PTCサーミスタは、チタン酸バリウムを主成分として、微量のレアアースを混合した材料を用いています。

    逆に、負の温度係数を持つ(=温度の上昇とともに電気抵抗が減少する意味)NTCサーミスタも存在します。

    PTCサーミスタの用途

    この章ではPTCサーミスタの用途について3つ解説します。

    温度センサー

    PTCサーミスタの最もオーソドックスな使い方が温度センサーです。温度が上昇すると、PTCサーミスタの抵抗値が上昇することから、この抵抗値をモニタリングすることで温度を把握することができます。

    例えば、自動車や電子機器の回路内部の発熱の監視や、家電製品の温度制御に利用されます。

    モーター起動回路

    PTCサーミスタはモーターを起動するための回路に組み込まれることもあります。

    一般に、モーターを起動させるためには大きな電力が必要となります。しかし、過剰な電力を供給してしまうと回路が故障する原因となってしまいます。

    そこで、モーターが正常に動作し始めると同時にPTCサーミスタの温度を上昇させ、PTCサーミスタの電気抵抗を大きくすることでモーターに流れる電流を制限します。

    これによってモーターの過負荷を防ぐことができるようになります。

    ヒーター

    PTCサーミスタは電気を流すことで自己発熱する特徴があります。さらに一定の温度まで上昇すると、その温度を保つことができるため、ヒーターとして用いることもできます。

    PTCサーミスタをヒーターとして用いるメリットを2つ挙げます。

    まず1つ目に、省エネであることです。PTCサーミスタはある一定の温度に達するとそれ以上の電力を消費しないことから、エネルギーを節約することができます。

    2つ目は温度制御が簡単である点です。PTCサーミスタは温度が上昇するにつれて抵抗値が上昇するため、一定の温度以上になると一定の電力となり、温度上昇はしません。

    このようにPTCサーミスタは効率の良いヒーターの役割を持ちます。

    PTCサーミスタの原理と構造

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    PTCサーミスタの原料は、チタン酸バリウムに微量のレアアースを混合したものです。

    チタン酸バリウムは電荷を多く溜め込むことができる「強誘電体」という特徴を持ちます。チタン酸バリウムは温度変化によって内部の結晶構造が変化するため、どのくらいの電荷を溜め込むことができるのかを示す誘電率が温度によって変わります。

    すなわち、抵抗急変温度を超えると誘電率が低くなり、強誘電体の性質が失われることから電流が流れなくなります。一方、抵抗急変温度までは誘電率が高いため、電子がスムーズに流れて電流が流れる仕組みです。

    抵抗急変温度のことをキュリー点と呼ぶこともあります。

    PTCサーミスタの特性

    PTCサーミスタは3つの特性を持っています。この章ではその特性についてそれぞれ解説します。

    抵抗温度特性

    PTCサーミスタは抵抗急変温度まではほぼ一定の抵抗値を示しますが、抵抗急変温度を超えると急激に抵抗が大きくなる特性があります。

    抵抗急変温度に達するまでの抵抗値や抵抗急変温度はPTCサーミスタを構成する材料を組み替えることによって調整することが可能です。

    この特性を利用して、熱による部品の破損や過熱の検知を行なっています。

    静特性

    PTCサーミスタは抵抗急変温度に達するまでは抵抗値が一定になりますが、抵抗急変温度を超えると電圧を大きくするとともに電流が小さくなり、電力が一定となる特徴があります。

    この特性を活かして、過電流保護用の部品としてPTCサーミスタは用いられます。素子の特性を利用するため、素早い動作が期待できます。また、繰り返し使用可能なヒューズと考えることもできます。

    動特性

    PTCサーミスタに電圧を印加した瞬間は抵抗値が低いため、大きい電流が流れます。時間が経過すると自己発熱によって抵抗値が次第に上昇するので電流は小さくなります。

    この特性を生かして、PTCサーミスタはモーター起動回路やリレー遅延回路に利用されます。

    動特性では、温度変化に対してどれだけ速やかに反応するか、温度変化に対する応答性が安定しているか、元の状態の特性に戻るのにどのくらいの時間がかかるかが重要となります。

    動特性がどのくらい優れているのかによってPTCサーミスタの性能が決定します。用途に応じて適切なPTCサーミスタを選ぶためには、動特性を確認することが大切です。

    まとめ

    この記事ではPTCサーミスタについて解説しました。

    PTCサーミスタとは正の温度特性を持つ抵抗体のことで、ある一定の温度で急激に抵抗が増す特徴があります。また、抵抗急変温度は調整することができます。

    温度センサーとして用いられるほか、モーターの起動回路やヒーターとして用いられることもあります。

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