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      • 発行日 2023年5月23日
      • 最終変更日 2023年11月9日
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    RoHS指令とは?特徴や制定された経緯をご紹介

    RoHS指令の基礎知識と対象製品

    RoHS指令とは?

    RoHSとは、Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment の略で、欧州にて取り扱われる電気電子機器に含まれる10種類の特定有害物質の使用を規制する指令のことを指します。この指令によりEU加盟国は、電気電子機器に含まれる有害物質の法律基準を策定し、それらの製品が人体や環境に与える影響を最小限にすることを目的としています。

    RoHS指令 対象製品

    対象製品は、定格電圧AC1,000V、DC1,500V以下の11カテゴリ全ての電気、電子機器です。

    RoHS指令対象製品

    生産者の義務

    RoHS指令では、生産者に対して次の5つの義務が課されています。

    【RoHS指令における5つの義務】

    • 製品の適合性について評価・適合宣言をして「CEマーク」を貼ること
    • 適合していることを証明できる技術文書を10年間保存すること
    • 管理体制や整合規格に変更があった場合は適した対処を行うこと
    • パッケージや添付する文書に製造者名・登録商標・住所・連絡先を明記すること
    • 販売した製品が不適合だった場合はリコール・所轄当局への通知を行うこと

    生産者の義務とは、いずれの項目もRoHS指令に適合している製品であることを一貫させるための義務です。もし販売後に不適合製品だったと判明した場合には、リコールや通知など適切な対応を行うようにしてください。生産者はRoHS指令の規定に基づいて、以上のような5つの義務を果たさなければなりません。

    RoHS指令の特徴

    それでは、遵守するべきRoHS指令とはどのような法律なのか、特徴についてご紹介していきます。

    RoHS指令が制定されたきっかけ

    RoHS指令が制定されたきっかけは、電気機器や電子機器による環境汚染と人体への影響が大きくなったことでした。以前のEUでは、電気機器・電子機器の多くが正しく廃棄されておらず、化学物質が地球環境を汚染したり、人体への悪影響が懸念されたりしていました。そのためEUでは2003年にRoHS指令を告示し、2006年7月から施行。電気機器や電子機器の廃棄による汚染を食い止めるために制定されたのがRoHS指令です。

    RoHS指令に反した場合の措置とは?

    RoHS指令に反した製品をEU諸国で販売した場合は、製品の回収義務と5,000ポンド以上の罰金が科せられます。2021年5月時点で5,000ポンドとは、日本円にして約771,542円。対象製品の回収や罰金が科せられるだけでなく、場合によっては、EUで製品の販売を行えなくなるケースもあるようです。ただし、日本をはじめEU非加盟国のみで製品を販売していた場合であれば、RoHS指令に反した製品を販売しても特に罰則が課されることはありません。RoHS指令はあくまでもEU加盟国が遵守するべき法律なので、日本の市場において義務付けられてはいないためです。RoHS指令に反した製品をEU加盟国で販売するなら罰則が科せられますが、EU加盟国以外の国で製品を販売するなら罰則はありません。

    特定有害物質と最大許容濃度

    RoHSでは、10種類の特定有害物質を規制の対象としています。 特定有害物質の均質材料における最大許容濃度は下表のとおりです。


    規制物質

    最大許容濃度

    鉛(Pb)

    0.1%

    水銀(Hg)

    0.1%

    六価クロム(Cr6+)

    0.1%

    ポリ臭化ビフェニル(PBB)

    0.1%

    ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)

    0.1%

    カドミウム(Cd)

    0.01%

    フタル酸ジニエチルへキシル (DEHP)

    0.1%

    フタル酸ブチルベンジル (BBP)

    0.1%

    フタル酸ジブチル (DBP)

    0.1%

    フタル酸ジイソブチル (DIBP)

    0.1%

    ※意図的、非意図的を問わずに最大許容濃度以下であること。

    RoHS指令はそもそも有害物質を含んだ製品を市場に入れないようにするため、最終製品をつくる際に、材料に指定された物質を規定以上に含まないことを求めるルールです。

    適用除外項目とは?

    部品を製造するにあたり、技術的に実現可能な代替案が存在しない場合に適用除外申請をすることにより検討・審議され決定します。

    ハイリスク材料とは?

    RoHS適合品を優先的に購入されていても、各企業様でも念のためハイリスク品の受入検査をリスク削減(自主防衛)として検討されております。 特定有害物質の使用用途の中で多く使われるハイリスク材料の例としては以下のとおりです。


    ハイリスク材料

    詳細

    プラスチック樹脂

    顔料や安定剤としてCd、Pbを使用。難燃剤としてPBB、PBDEを使用

    塗料、インク

    顔料や安定剤としてCd、Pbを使用

    快削鋼、快削アルミなど

    切削性向上のためPbを添加

    黄銅

    切削性向上のためPbを添加。Znの不純物としてCdを含有

    鉛フリーはんだ

    数100ppmのPbを含有

    メッキ皮膜

    無電解メッキに添加剤としてPbを使用。Cr6+メッキも使用

    ウレタン樹脂

    触媒としてHg使用の可能性有

    皮革

    皮革なめしにCr6+を使用

    低融点はんだ

    Cdを含有している物有

    参考リンク

    RoHS2原文

    DIRECTIVE 2011/65/EU OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 8 June 2011 on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment (recast)

    (電気電子機器中の特定有害物質の使用の制限に関する2011年6月8日付欧州議会及び理事会指令2011/65/EU)

    制限物質追加官報原文

    COMMISSION DELEGATED DIRECTIVE (EU) 2015/863 of 31 March 2015 amending Annex II to Directive 2011/65/EU of the European Parliament and of the Council as regards the list of restricted substances

    制限物質のリストに関して、欧州議会および理事会指令2011/65/EUを修正する2015年3月31日付欧州委員会委任指令(EU)2015/863

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