- 発行日 2023年12月21日
- 最終変更日 2024年4月5日
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ジャイロとは?基本構造や特徴について詳しく解説!
ジャイロの技術は、スマートフォンやデジタルカメラから車、飛行機、ロケット、ロボットまで、様々な産業において活用されています。当記事では、ジャイロの原理や構造、特徴について詳しく解説します。
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ジャイロとは
ジャイロはセンサーデバイスの一種で、別名ジャイロセンサーまたはジャイロスコープとも呼ばれています。 ジャイロの主要な役割は、物体の動きを感知することです。具体的には、角速度センサーとして1秒間に物体がどれだけ角度を変えたかを測定します。 ジャイロを備えた機器を基準軸として、回転角度の変化を検出します。その単位はdps(degree per second)で、1秒間にどれだけ傾いたかを示します。たとえば、物体が1秒間で180度回転すると、その角速度は180dpsを表します。
ジャイロの機能
ジャイロセンサーを搭載したデバイスは、角速度を検知してそれに応じた動作をします。スマートフォンやデジタルカメラの手ブレ補正機能がその一例で、装置がどれだけ揺れたか(1秒間にどれだけ角度が変わったか)を検知し、そのブレを自動的に補正してくれます。 さらに、ジャイロを含む物体の動きを感知するセンサーは「慣性センサー」とも呼ばれます。慣性とは、物体が外部から力を受けたときに元の状態を保とうとする性質のことです。 この性質を生かしたセンサーの特性として、元の状態を維持しようとすることなどがあります。そのため、高性能・高精度のジャイロは慣性センサーの一種として、航空機や自動車、船などの慣性航法システムで使われてきました。 また、ロボットが二足歩行で倒れずにスムーズに動くのもジャイロの作用によるものです。ジャイロを使用することで姿勢制御が可能となり、転倒を防いだり、正確な航法を導いたりすることができます。
ジャイロの特徴
ジャイロの特徴は以下の通りです。
温度変化に強い
センサーに及ぶ気温や機器自身の温度の影響は軽視できません。特に高性能の機器では、この影響はより大きくなります。しかし、ジャイロは、水晶やセラミックなどの温度係数が低い素材や構造を採用することで、この欠点を克服しています。
分解能が高い
分解能とは、対象を測定する際の精度や能力を指します。ジャイロが検出する角速度というのは、本質的には外部からの衝撃や振動の影響を受けやすい値です。 しかし、ジャイロの特性上、これらの外部からの影響を排除し、デバイス自体が生み出した角速度だけを検知することができます。 これは言い換えれば、「不確定性」が低く、高い精度を持つことを意味します。これがジャイロが高性能と評価される大きな理由の一つです。
ノイズレベルが低い
電子機器の使用において、ノイズは重大な問題をもたらします。高速化、省エネ化、あるいは電子機器自体が発生させる高周波ノイズなどによるノイズは、測定値の誤差や誤動作の原因となり得ます。 しかし、ジャイロセンサーは低ノイズレベルを特徴とし、一貫して安定した測定を実現しています。
ジャイロの用途
ジャイロは以下のような用途に使われています。
スマートフォン
スマートフォンには多くのセンサーが搭載されています。「ジャイロセンサー」は、スマートフォンの動きを計測するセンサーで、加速度センサーと同じカテゴリに属します。
加速度センサーがスマートフォンの直線的な動きを測定するのに対し、ジャイロセンサーはスマートフォンの「回転」や「向き」を計測します。パノラマ写真の撮影、地図アプリケーション、位置情報ゲームなどではこのジャイロセンサーが重要な役割を果たします。
ゲーム機能
ゲーム機能にもジャイロセンサーが使われています。たとえば、2016年の夏にデビューして以来、世界中で大ブームを巻き起こしたスマートフォンのゲーム「ポケモンGO」では、AR(拡張現実)機能を駆使してポケモンを捕まえるために、スマートフォンに内蔵された「ジャイロセンサー」が必要不可欠となります。
「ポケモンGO」では、ジャイロセンサーがスマートフォンの傾きを捉え、カメラが取り込んだ背景とポケモンを合成します。これにより、ポケモンがまるで現実世界に存在しているかのような感覚をプレイヤーに提供します。
また、最近ではハンドヘルドゲーム機にも積極的に採用され、ゲーム機本体が一定時間内にどれだけ傾いたかを測定し、その情報をキャラクターの動きに反映します。
自動車
自動車には速度を測定する加速度センサーと、角速度を検出するジャイロセンサーが組み込まれています。
これにより、車が加速しているか減速しているか、または車両が曲がるときにどれだけの角度で曲がったかなど、測定したデータを解析することで車の走行状況を推定できます。
自動運転の分野では、加速度とジャイロセンサーの測定値を利用して移動経路を推定するデッドレコニングという手法が用いられます。GPSやその他のセンサーからの信号がうまく取得できないときに、これらの位置情報を補うためにジャイロセンサーと加速度センサーが使用されます。
飛行機
航空機や船舶のナビゲーションシステムでは、ジャイロセンサーが長い間使用されてきました。複数軸に配置されたこのセンサーは、上下左右の各方向への傾斜や速度をキャプチャし、適切な操縦を可能にします。
自動操縦システムの実現にも欠かせない要素であり、少しの誤差が重大な影響を及ぼす可能性があるため、高精度なセンサーが装備されています。
スペースシャトル
スペースシャトルは、姿勢のずれを感知するジャイロセンサーからのデータを基に、コンピューターが姿勢を判断し、軌道修正の指示に基づいてスラスターロケットエンジンへ推進剤を供給する電磁弁を開閉しています。これにより、正確な位置への噴射が可能となります。
宇宙ステーションにドッキングする際も、機体全体に設置されたスラスターロケットエンジンを利用し、微調整しながら向きを変え、速度を合わせてドッキングを行っています。
まとめ
現代のセンサー技術の進歩により、自動運転などの分野でも加速度センサーやジャイロセンサーの技術が広く利用されています。 自動運転では、主に車載カメラを用いて前方の車両を認識しますが、周囲の微細な動きや変化を把握するためにはセンサー技術が必須です。 自動車は新世代のスマートデバイスとして位置づけられ、スマートフォンやタブレット同様、センシング技術が活発に使用されることは確実といえます。 現在では自動車の他にも、PC・モバイルデバイス、家電、ロボット、宇宙工学など、あらゆる分野で応用可能な加速度センサーとジャイロセンサーの技術が利用されており、今後さらなる市場の拡大とその進化は引き続き注目されています。