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      • 発行日 2023年2月8日
      • 最終変更日 2024年12月2日
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    IIoT(産業用IoT)導入の効果やメリットとリスク

    製造業におけるIoTについて、その用途やメリットを含めて弊社の導入ガイドで理解を深めてください。

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    この導入ガイドでは、産業におけるIoTについてみていきます。IIoTが実際どのようなものなのか、それが産業技術にどのような影響を与えるか、そのメリットはなにか、またこの最新技術革命に隠れている課題とはなにかについて説明していきます。

    IoTとは

    IoTは我々の多くが耳にしたことがあるかと思います。ですが、具体的にはいったいどういう意味なのでしょうか。簡潔にいうと、IoTは馴染みのあるPC、ノートパソコン、携帯電話、タブレットの垣根をこえてインターネットに接続されているすべてのデバイスのことを指します。当初は、消費者空間にあるデジタル接続されたデバイスおよび製品を表していました。

    IIoTとは

    産業におけるIoT(IIoT)とは何を意味するのでしょうか。簡単に説明すると、IIoTはネットワーキングデバイスの概念を継承し、工場や産業処理、産業建築の中でそれらをインターネットに接続し、ローカルまたはリモートでデータを共有します。センサーが収集した情報がローカルネットワーク内で統合され、ゲートウェイを通してインターネットまたはクラウドなどの巨大データセンター内のデータサーバーへと進みます。

    産業用IoTの導入方法

    産業用IoTを導入するには、次のような流れで行います。

    産業用IoTの導入方法

    1. 産業用IoTの仕様を策定し要求仕様書として伝える
    2. 産業用IoTの選定を行う
    3. 契約書をもとに契約を交わす
    4. 受け入れ検収を経て産業用IoTを設置する
    5. 運用マニュアルに従って運用を開始する
    6. IoTでデータを収集してクラウドに蓄積される
    7. 収集したデータを分析し、現場の改善を実施する

    産業用IoTを導入するには、まず仕様を決めてから信頼できる事業者を選定し、契約書をもとに接地契約を交わします。そして受け入れ検収で仕様書や契約書に従った産業用IoTであることや、セキュリティ対策が十分であることを確認したら設置を行いましょう。

    その後は運用マニュアルに従って運用していくだけです。運用していくうえでは、データを収集してクラウドに蓄積させたら、蓄積したデータを用いて現場の改善を実施していきます。

    産業用IoTの導入にあたっては、ファーストステップであるIoT設計でハードの仕様や通信・データの管理方法、データの分析方法の決定などが問題になるかもしれません。しかし要求仕様書さえ完成すれば、後は流れに従って実施すれば難しいものではありません。

    IIoT vs IoT

    IoTとIIoTの主要な違いはそのアプリケーションにあります。ウェアラブルなフィットネストラッカーやボイスコントロールデバイスの代わりに、IIoTはリアルタイム性と接続されたセンサーからの詳細データ分析に重きを置いています。これにより、効率性や生産性の急速な改善、即時在庫管理、大幅なコスト削減を実現することができます。

    コンピュータによる直接的なデバイスの自動コントロールは、サイバーフィジカルシステムと呼ばれることがあります。

    IIoTシステムは、コンピュータ制御製造おける「分散制御システム」という確立されたアプローチをベースとしています。この制御方式はネットワーク全体に適用され、複数の自律デバイスが相互接続されます。中央管理システムのような単一障害点(そこが動かないとシステム全体が障害となる箇所)のリスクを伴わず、製造ラインを個々に調整し、最適化することができます。そのうえで、IIoTはクラウドコンピューティングを活用したデータの共有、可視化、解析をほぼリアルタイムで行うことができます。

    産業用IoTはここ数十年で巨大市場へと成長してきました。世界中の製造業者の60%がIIoTを利用した最適化および解析を採用しており、2020年には製造業者が700億ドルもの費用をIIoTに費やすと予想されています。

    インダストリー4.0とIoTとの違いについて

    IoTと関連してインダストリー4.0という言葉を聞いたことがあるかもしれません。時折用語が相互変換できるように使われる場合もありますが、同義語ではありません。これは、IoTとIIoTが実際はインダストリー4.0のサブセットだからです。

    インダストリー4.0は、現在の産業とスマートファクトリーで利用可能なすべての最新オートメーション技術から派生して得られる恩恵の利用を指す、より広い意味を持ちます。

    • マシン・ツー・マシン(M2M)通信
    • 自律システムの実装
    • シームレスクラウドコンピューティング
    • 画像認識などのAIに関連する「コグニティブ」技術

    IoTとインダストリー4.0の歴史

    IoTは非常に現代的なコンセプトに思えますが、インダストリー4.0のコア技術は1960年代に起草されたものもあります。事実上の初期産業コンピュータであるシーケンサなどのプログラマブルロジックコントローラー(PLC)は1968年に発明され、製造プロセスを最適化するために開発されました。産業で最初の分散型制御システムは1970年代に登場しました。工場内のマニュアル業務を徐々にオートメーション化していく火付け役となりました。

    私たちが今日理解しているIoTに焦点が当たったのはその数十年後のことでした。しかしながら、IoTが大学の研究室を飛び出して購入可能な製品になるまでには2000年代の初めまでかかりました。この成長は、Bluetoothや近距離無線通信(NFC)、4G/5G携帯ネットワークなどの実現技術によって加速していきました。

    2000年代にはさらに開発が進みました。それには、IIoTの進化を促進した現在は至るところに存在するクラウドコンピューティング技術も含まれます。

    IIoTとインダストリー4.0の用語を作ったのは?

    IoTの出所についてはわかっていますが、IIoTと名付けたのが誰かというのは確かではありません。

    「インダストリー4.0」は、製造における情報技術の利用を推進するためにドイツ政府によって2011年に名付けられました。現代のオートメーション技術とデータ共有技術が過去3つの産業革命と同等のものであると提唱することを目的として名付けられました。

    • 18世紀後半から19世紀前半に渡る蒸気機関の発明
    • 電話、自動車、写真、モーションピクチャーなどは、すべて1870年から第一次世界大戦の間に登場しました。
    • デジタル革新 - つまり、現代ITの創造は20世紀後半に発生しました。

    「産業におけるIoT」という言葉を誰が名付けたかはわからないかもしれませんが、「インダストリー4.0」は論理的に理解できる言葉であり、その概念の裏側にある意味を理解する助けとなります。

    The History of the IoT and Industry 4.0

    現代における産業用IoTとは

    インダストリー4.0は幅広い種類の産業及びセクターに多くの利益をもたらすことができます。

    IIoTのアプリケーションと例:

    • スマートファクトリー
    • サプライチェーンおよび在庫の最適化
    • データ解析
    • スマートビルディング
    • 状態監視

    将来、IoTがそれぞれの産業にどのような影響を与えるかを理解するためには、現在の製造産業がIIoTをどのように使用しているかを理解することが重要です。もちろん、インダストリー4.0の恩恵を得られるのは製造業だけではありません。接続されたデバイスとスマートシステムを駆使したIoTによってエネルギー産業や小売産業が変革されていることは明らかです。

    製造業におけるIIoTの効果とメリット

    IoTが製造業にもたらすメリットとは何なのでしょうか。製造産業がどのようにIIoTを使用しているかについて、少し例をみていきましょう。

    • 製造ラインの最適化: 産業用IoTセンサーにより、初めから終わりまでの製品ラインの連続監視が可能になっています。これにより、オペレーターが継続的に製造プロセスの微調整を行うことができ、時間とコストを節約することができます。
    • 部材供給管理と在庫管理: 製造業は、原材料及び部品の供給の元成り立っています。RFID(無線ID)タグやそれに類した技術を用いることで、部品やサプライをリアルタイムで連続して追跡することができます。これにより、在庫状況の監視及び調整を行うことができるのです。
    • 輸送梱包管理: 産業用IoTセンサーを用いることで輸送及び保管中の配送梱包状態を監視することができます。また、顧客が通常どのように製品を扱っているかについても評価することができ、デザインの向上につながっています。
    • リアルタイム製造データ: IIoTデバイスはリアルタイムのオペレーションデータをサプライヤに提供することができます。これにより、応答性の調整及び工場ユニットのリモート管理が可能になります。
    • メンテナンスデータ: 産業におけるIoTデバイスは、不具合が発生してメンテナンスの必要が生じた際に問題をアラートを出すことができます。推奨動作温度よりも高い、もしくは機器の故障の予兆となる過度な振動などのオペレーション問題に対しても類似のアラートをかけることができます。これらのアラートは、メンテナンス計画を事前に立て、ダウンタイムを削減してアクシデントのリスクを緩和することができるという点で明らかなメリットを提供しています。そのようなデータをヘルス&セーフティの記録と組み合わせることで全体の安全性を大幅に改善することができます。
    • 品質管理: サプライヤ、製造プロセス、エンドユーザーを含む複数ソースからのIIoTデータをすべて組み合わせて製品の設計及び製造の全体的な改善につなげることができます。

    インダストリー4.0の課題

    この質問は複雑で、簡単に答えは出せません。

    大きくみると、インダストリー4.0は複数のネットワーク技術で構成されます。そのため、最も大きな課題としては、セキュアで強力なデバイス間接続の管理になります。これは以下を介して実現されています。

    • 強固で目的にかなった無線または有線ネットワークの選定
    • OPC UAなどの互換性を促進するプロトコルの採用
    • あらゆるサイバー攻撃の脅威を回避するネットワークセキュリティのメンテナンス

    その結果、IIoTの主要な課題も同様にデータストレージとデジタルセキュリティにあり、連続的なデバイスの接続性を維持するための追加要求がだされています。円滑かつ効率的な実装を実現するためには、IIoTの採用におけるセキュリティの懸念と課題について理解することも重要です。

    IIoTに関連するリスク

    デジタル環境のすべての側面でいえることですが、産業におけるIoTにおいてもサイバーセキュリティは重要になります。多くの人々はIIoTに関連する主要なリスクとしてオンラインセキュリティ関連を挙げられます。しかし、現実ではセキュリティー問題はレアな存在になります。接続されているシステムから最大限のメリットを得ながらも、予防策を講じてサイバーセキュリティを実践し、安全に守られたシステムを維持することがIIoT関連のリスクを避けるカギとなります。

    産業におけるIoTは時間と共に進化していきますので、保護された状態を保つためにも最新の技術とアップデートに後れを取らないことが重要です。

    IIoTの未来

    IoTとIIoTは、どちらも継続的に進化しています。新技術が登場し、ビジネスがIIoTのメリットにより多くの関心を示すようになるにつれ、より大きな可能性が広がっていきます。このことから、IoTが今後どのような道に進んでいくのかについていくつかの予想を立てることができます。

    IIoTの将来がどうなるのかについて具体的に知ることは難しいですが、デジタルコネクティビティは産業の性質を変え、世界中のビジネスに影響を与える可能性を秘めています。

    IIoTネットワークとプロトコル

    他の情報技術と同様に、IIoTも様々なプロトコル(データ通信フォーマット)及びネットワークタイプを使用しています。そのため、製造においてIIoTインフラを構築する際にはそれぞれのプロトコル及びネットワークタイプについて理解しておくことが重要です。

    IIoTネットワーク

    IIoTデバイスは、デバイス間の距離、交換が必要なデータの量、使用されるロケーション、電力消費の制限など、いくつかの要素に応じて異なるネットワーキングソリューションに使うことができます。

    IIoTの適切なネットワークのリストは拡大し続けていますが、主要な例としては以下になります。

    Wireless access point

    Wi-Fi

    この無線通信技術は、パソコンやスマホ、タブレットをインターネットに接続するためのスタンダードな方法となっていますので、多くの方に馴染みがあることでしょう。有線イーサネットネットワークから派生したもので、IEEE(米国電子電気学会) 802.11無線規格がもとになっています。

    Bluetooth Dongle

    Bluetooth

    こちらも一般消費者用機器の通信として広く採用されています。Bluetoothは、高周波数電波を使用した近距離無線通信の規格です。

    Zigbee 3.0

    Zigbee 3.0

    Zigbee 3.0は、産業や工場で広く使われているローパワーネットワークです。関連プロトコルDotdotが同じチームによって作られ、国際的に受け入れられるようになっています。異なるIoTデバイス間におけるセキュア接続のユニバーサルメソッドとなっています。

    LoRaWAN

    LoRaWAN

    LoRaWAN(低消費電力長距離広域ネットワーク)は、大規模なネットワークに渡る2ウェイのセキュア接続を提供しています。

    Sigfox

    Sigfox

    フランスで開発されたSigfoxは、電子メーターやスマートウォッチなどの低電力で常に電源がオン状態のデバイスに接続します。これにより、少量のデータを連続的に交換することができます。

    IIoTデータプロトコル

    • MQTT(Message Queue Telemetry Transport)は、軽く、低電力なプロトコルで、センサーとアプリケーション間でシンプルなデータセットを伝送する際に使用されます。標準のインターネットネットワーキングシステムTCP/IP(通信プロトコル/インターネットプロトコル)に基づいています。
    • AMQP(Advanced Message Queuing Protocol)は、デバイス間のメッセージの送信に特化した国際標準です。国際標準として認められています。
    • OPC UA(OPC Unified Architecture)は、オープン マシン・ツー・マシン通信プロトコルで、クロスプラットフォームの産業オートメーションデータの共有とシステムのインターオペラビリティをサポートしています。

    工場内IoTネットワーク(LAN)でのセキュリティ対策ポイント

    IIoTを導入するにあたって、セキュリティ対策を強固にすることは欠かせないポイントです。セキュリティ対策のためのポイントを見ていきましょう。

    工場全体のセキュリティ設定を見直す

    まずは工場全体のセキュリティ設定を見直すことから始めましょう。導入するIIoTだけでなく、産業用IoTに連携される機器やシステムが使用しているネットワークすべてにセキュリティ対策が必要です。

    もちろん、IIoTで収集したデータを取り扱うサーバーやパソコンなどの端末、クラウドも含めまれます。産業用IoTだけをセキュリティ対策の対象とするのではなく、工場にあるすべての機器に対するセキュリティ対策を見直すことが基本のポイントです。

    OSやアプリケーションの更新はすぐに行う

    IIoT導入後のセキュリティ対策では、OSやアプリケーションの更新はすぐに行うことが基本です。IIoT導入前に古いパソコンを使用していた場合、安定性を重視するあまり、OSやアプリケーションの更新を控えていたということもあるでしょう。

    しかし、OSやアプリケーションの更新はセキュリティの脆弱性に対する防御壁のひとつです。更新の通知があれば、意識的にすぐに更新してください。

    人為的なセキュリティ対策も行う

    セキュリティ対策はシステムだけでなく、人為的な面から実施することも欠かせません。たとえば、産業用IoTで収集したデータが人のミスにより流出することもあり得ます。人為的なセキュリティ対策を実施するには、入退室管理などの物理的セキュリティを施し、導入前にIIoTの運用ルールを策定しましょう。

    セキュリティシステムを導入すれば万全なわけではなく、人に対する対策も含めて実施していけばセキュリティレベルが高まるはずです。

    各所に最適なセキュリティを導入し多層的な防御を行う

    IIoT導入でセキュリティレベルを高めるには、各所に最適なセキュリティを導入し、多層的な防御を行ってください。

    セキュリティ対策は対象により防御の方法が異なります。クラウド・産業用IoT機器・ネットワーク・サーバーなど、それぞれに対して適切なセキュリティソリューションを導入しなければ効果が低くなりがちです。工場全体を1つのセキュリティで保護するのではなく、各所に対し最適なソリューションを選択しましょう。

    よくある質問

    IIoTはMESを置き換えることができますか?

    MES(製造実行システム)は、複雑な製造プロセスのために確立されたハードウェアベースの制御システムです。効率性の確保及び生産性の改善を目的として使用されます。しかし、これは内向きのシステムであり、クラウドベース解析やIIoTの外部ネットワーキング機能が欠落しています。ですので後者は、MESを代替するのではなく、従来のMESを軽負かつ低コストで拡張するという考えになります。

    エンジニアや科学者にとってIIoTが重要な理由は何ですか?

    IIoTでは、製造プロセスの複数ステージから集められたデータに関する詳細解析が可能になります。これにより、システムは継続的な最適化及び改善が可能になります。

    IIoTはどのように機能しますか?

    IIoTネットワークは、クラウドやデバイス間でのデータ交換を行うために様々な無線プロトコルを介して接続された複数のセンサーで構成されます。IIoTネットワークの基本構造は以下になります。

    • センサー付きのデバイスおよびハードウェア、それぞれローカルネットワークに接続
    • ローカルネットワーク自身、それえぞれクラウドまたはインターネットに接続
    • クラウドに接続されたサーバーがデバイスからの連続データ(例:動作温度、振動、電力消費量)を受信し処理。この「小さなデータ」が時間の経過と共に大量のデータとなり、解析してオペレーションに対する深い洞察を得ることができるようになります。

    インダストリー4.0とリーン生産方式の違いは何ですか?

    リーン生産方式は、無駄を最小化して生産性を最大化するために産業システムを整理するメソッドです。その主要な原理の一部は18世紀からのものもあります。ですが、現在理解されているリーン生産方式は、日本の自動車産業で形成されていました。IIoTとは異なり、最新技術に依存してはいません。その代わり、ジョブ機能の割り振りと配布に依存しています。

    インダストリー4.0ソリューションの導入にはどれくらいのコストがかかりますか?

    一言で答えることはできません。コストには様々な要因があります。それには、最適化したい製造プロセスのサイズおよび種類、そのために最も適した技術が何かといった内容が含まれます。

    IIoT導入 - 始め方

    IIoT導入の検討を始める準備はできましたか。以下の関連製品シリーズを確認し、産業の技術革新を始めましょう。

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