電子機器の機能が高度化・複雑化するに連れて、設定や操作法が細分化され、必要なスイッチの数が増えるいっぽうで、機器の小型化が進み、パネルに配置できるスイッチの数は制限される方向にあります。その結果、ひとつのスイッチに何通りもの機能を割り当てるといったことも必要になってきました。こうした要求を満たす手段のひとつがタッチパネルで、銀行のATMやFAのパネルコンピュータをはじめ、各所で使われています。しかしながら、タッチパネルは表示性には優れるものの大きな画面を必要とし、確実な操作感に欠けるため、使えるシーンには限りがあります。これを補うのがディスプレイ付きスイッチです。
応用例としては、放送・音響機器、業務用調理器、食券などの発券機、ビルなどの防災や照明管理システム、交通管制システム、物流機器(倉庫管理)、金融システム、教育機器などが挙げられます。例えば、図4のような放送スタジオのコンソール
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スイッチャーや、為替取引を行うディーリングマシンでは、大量のスイッチが並び、個々のスイッチが「何」のスイッチなのか、そのスイッチはどのような設定状態にあるのかを、瞬時に把握し操作する必要があります。その場合、ディスプレイ付きスイッチのように、スイッチ自身が明確な表示体であれば、操作の確実性が高まるわけです。
さらに、機器の設定状態に合わせ、表示を随時変更することで、ひとつのスイッチに複数の機能を割り当てることが可能になり、スイッチ数を削減できます。また、オペレータの使用言語に合わせて表示を換えるといったこともできます。表示内容も、単にスイッチの機能だけでなく、ON
AIR / 運転中などシステムの状態表示や、異常発生などの警報表示、さらに、カメラ画像の簡易モニタなどとしての利用法も考えられます。
図4:スタジオコンソール(左)とディーリングマシン(右)