同軸コネクタ ガイド

取材協力:ユウエツ精機株式会社

名前と顔の一致
~同軸コネクタの種類 ~

—— 似たような名称の同軸コネクタがありますが?

同軸コネクタ同軸ケーブル専用のコネクタです。主に高周波信号の伝送用ケーブルとして無線通信機器や放送機器、ネットワーク機器、電子計測器などに用いられる同軸ケーブルは用途によって多くの種類があります。接続に際しては各ケーブルに合致した同軸コネクタが必要となるため、ケーブルの種類に対応した数の同軸コネクタが存在することになります<図1>。言い換えると、同軸コネクタは、使用する同軸ケーブルに合致したものを使うことが前提です。


図1:同軸コネクタの種類

また、接続に際しては接続する側とされる側で2種類の同軸コネクタが要りますし、ケーブルどうしを接続する場合と、ケーブルを機器のパネルやプリント基板に接続する場合とでは使用する同軸コネクタも異なります。製品としてはさらにケーブルをはんだ付けするのか圧着するのかといった部分にも違いがありますので品種も多いわけです。

同軸コネクタにはBNCSMAといった系列(シリーズ)があります。各名称は例えばNはPaul Neill(個人名)、BNCはBayonet Neill Concelman、SMAはSubminiature type Aなどそれぞれが誕生した背景で異なり統一されていません(異説もある)。

とはいえ、同軸コネクタの主な電気的機械的仕様はIECやMILなどの公的機関で規格として定められており、接続特性が保証されているので安心して使うことができます。

 主な同軸コネクタ

BNCコネクタ

 同軸コネクタとして、最も一般的。
 バヨネット式で脱着が容易。嵌合後にケーブルの軸回転が可能で扱い易い。

【結合方式】
【特性インピーダンス】
【使用周波数範囲】
【定格電圧】

 バヨネットロック(接続リング外径:約14.5mm)
 50Ω、75Ω
 4GHz以下
 500V(実効値)以下

TNCコネクタ

 BNCコネクタのねじ嵌合タイプ。
 容易に外れては困る用途(アンテナなど)に向く。

【結合方式】
【特性インピーダンス】
【使用周波数範囲】
【定格電圧】

 ねじ 7/16-28UNEF-2(接続リング外径:約14.5mm)
 50Ω
 4GHz 以下
 500V(実効値)以下

Nコネクタ

 ねじ嵌合部が大きく、機械的強度があるため太い同軸ケーブルが使用可能。
 帯域が広く、ある程度の電力用途にも使える。

【結合方式】
【特性インピーダンス】
【使用周波数範囲】
【定格電圧】

 ねじ 5/8-24NEF-2(接続リング外径:約20.5mm)
 50Ω、75Ω
 10GHz以下(50Ω)
 500V(実効値)以下

SMAコネクタ

 形状が小さく、ケーブルとの段差が少ないので広帯域まで対応する。
 マイクロ波機器にも広く採用されている。

【結合方式】
【特性インピーダンス】
【使用周波数範囲】
【定格電圧】

 ねじ 1/4-36UNS-2(接続リング外径:約8mm)
 50Ω
 12.4GHz以下
 335~500V(実効値)以下

SMBコネクタ

 SMAコネクタより小型。スナップロック式で脱着が容易。
 ケーブルの軸回転が可能。

【結合方式】
【特性インピーダンス】
【使用周波数範囲】
【定格電圧】

 スナップロック(接続リング外径:約 6mm)
 50Ω
 2GHz以下(JIS 500MHz以下)
 500V(実効値)以下

SMCコネクタ

 SMBコネクタのねじ嵌合タイプ。耐振動性や気密性に優れる。
 締結後のケーブルの軸回転はできない。

【結合方式】
【特性インピーダンス】
【使用周波数範囲】
【定格電圧】

 ねじ #10-32UNF-2(接続リング外径:約6mm)
 50Ω
 4GHz以下
 500V(実効値)以下

周波数、電力、対環境性
~ 基本的な同軸コネクタの選択 ~

—— ケーブルが決まれば、使用する同軸コネクタも決まりますか?

同軸ケーブルと同軸コネクタは1対1に対応しているわけではありませんが、同軸コネクタは、使用するケーブルに合致したものを使うというのが前提ですから、基本的にはケーブルが決まれば、後は接続方法等で使用する同軸コネクタも決まることになります。

では、使用する同軸ケーブルは何で決まるかというと、伝送する信号の周波数と電力(耐電圧)が第一の要素でしょう。これに伝送距離に伴う伝送損失や配線形態(フレシキブル or リジット)などを勘案してケーブルが決まり、使用できる同軸コネクタも絞り込まれます。

仕様上の最高周波数は理想的な接続状態で使う場合の値ですので、実際の使用に当たっては十分な余裕を見込んでください。また一見同じ同軸コネクタに見えても、使用できる最高周波数が異なる製品もありますのでよく確認してください。

ギュッと締まる・カチッとはまる
~ 同軸コネクタの接続方式 ~

—— ねじ締めのものとそうでない同軸コネクタの違いは何ですか?

コネクタの接続方式も、同軸コネクタを決める際の一要素です。接続方式には振動等がある環境でも確実な接続が得られる「ねじ接続」、バネの働きにより押し込むとカチッとはまる「スナップオン」、抜き差しが簡単な「スライドオン」、押して少し回転させることで抜き差しする「バイヨネット」などがあります。

例えば測定器の入出力端子など抜き差しの機会が多い機器にはバイヨネット方式のBNCが向いていますが、同じケーブルに対しても通信機器のように抜き差しの機会が少ない代わりに確実な接続を必要とする用途にねじ接続のTNCが適しているというわけです。

ちなみに、ねじ接続は手で回すタイプ(Nコネクタ等)とスパナで回すタイプ(SMAコネクタ等)があります。接続時にスパナを回すスペースの確保などは意外と見落としやすいものです。

反射に逆らわない接続
~損失とインピーダンス整合 ~

—— 同軸ケーブルには必ず同軸コネクタを使わないとダメですか?

高周波信号の接続や伝送に同軸ケーブルを使うのは、送り側と受け側、それに伝送路のインピーダンスを整合させることで反射による伝送ロスを無くすことが主要な目的です。したがって、インピーダンス整合が保たれるのであれば、はんだ付けなどで同軸ケーブルを接続してもかまわないと考えることはできます。しかしながら、例えば二本の同軸の整合を保ちながらはんだ付けで接続するのは現実的には困難です。

<図2>はインピーダンスの不整合によるVSWR(電圧定在波比)と不整合減衰量、つまり反射によって生じるロス(Return loss)の関係を示したグラフです。


図2:VSWRと不整合減衰量

ラフな接続ではVSWRが3を超えることも珍しくありませんが、VSWR=3の時の不整合減衰量は6dBで、送り出した電力の25%もがロスになることを示しています。これに対して同軸コネクタを使えばVSWRを1.2程度以下に抑えることができ、1%以下の損失で済みます。

また、機器間をケーブルで接続する場合などには、取り付け易さと共に取り外し易すいことも必要です。同軸コネクタはインピーダンス整合が保たれるうえ脱着が容易ですから、いずれの要求も満たします。

50と75の不思議
~ 構造とインピーダンス ~

—— 同じコネクタで50Ωと75Ωがあるのは何故ですか?

同軸円筒状をした構造体の特性インピーダンスは両導体の内外径比と両者間に介在する絶縁物質の誘電率で決まります。同軸コネクタは同軸ケーブルのインピーダンスに合致するように作られているので、同じ形状をしたコネクタでもインピーダンスが50Ωと75Ωのものとでは絶縁体の材料もしくは形状が違うはずです。

<図3>にBNCについて50Ω品と75Ω品比較を示しました。中心導体を囲む絶縁体の形状が異なっているのが分かります。BNCの場合、両者は機械的には相互接続できてしまうので、ウッカリして間違わないように注意してください。

なお、N型にも50Ωのものと75Ωのものがありますが、両者は機械的にかみ合いません。


図3:75Ω(写真上)と50Ω(写真下)のBNC


同軸コネクタ 関連商品