LEDドライバ ガイド

LEDドライバとは?使用するメリットと注意点

取材協力:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社

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LEDドライバとは?

—— 何故LED専用のドライバが必要なのですか?

LED(発光ダイオード)は近年、発光効率・パワー・演色性等が向上し、省エネルギー光源として応用が拡がっています。光源用途ではパワーが大きいので、安全で電力効率の良い駆動が求められます。このために開発された専用ICがLEDドライバです。

たかがダイオード、されどダイオード
~ LEDドライバの必要性と基本機能 ~

図1に、高輝度LEDの典型的な順方向電圧-電流特性と発光特性を示します。LEDの光量は電流にほぼ比例しますが、電気的にはダイオードであり、電流が流れ始まる電圧は赤色LEDで2.1V、青(白色)では3.3V程度と、一般のシリコンダイオードと比べ高い特性を持っています。ダイオードですので、オンの領域では僅かな電圧上昇で電流が急激に増加しますが、LEDを光らせるには、この(低インピーダンス)部分で動作させなければなりません。ちなみに、特性は温度による変化を伴います。

                  
図1:高輝度LEDの順方向電圧-電流特性と発光特性例    

こうした負荷に対しては、通常の定電圧源(電圧が一定になる低出力インピーダンス電源)は適合せず、電流を一定に保つように電圧が制御される、高出力インピーダンスの定電流源による駆動を必要とします(図2)。

 
図2:定電流源による駆動
            

LEDドライバを使う理由

それでは、なぜLEDドライバを使うのか理由について解説していきます。


電流の精度が高くなるから

LEDドライバを使用する一つ目の理由は、電流の精度が高くなることです。LEDは温度や電源の電圧により明るさが変わり、並列接続の場合は電流が均等にならないこともあります。しかしLEDドライバを使用すると、一定の電流が流れるよう調整することが可能です。さらに、多チャンネルで使用することで電流を均等に流すこともできるようになります。以上のように電流の制御ができるようになるため、LEDドライバが使用されます。


エネルギーロスが生じにくいから

エネルギーロスが生じにくいことも、LEDドライバが使用される理由です。直列時の電流制限抵抗・バイポーラトランジスタの発熱によりエネルギーロスが生じることがありますが、交流・交流タイプのLEDドライバを使用すると電流を一定に維持できるようになることから電圧が最適化されます。電圧に無駄がなくなることからLEDの点灯が効率化されエネルギーロスが生じにくくなります。


調光制御がしやすくなるから

LEDドライバを使用することにより、調光制御もしやすくなります。LEDの入・切を制御したり、電流を調整したりする回路が最適化されることから、使用しないときに比べて電流制御が容易になることから輝度の調整がしやすくなります。また、LEDごとの輝度の不均等も解消できるようになるため、調光制御に役立つはずです。


LEDの故障を検知できるから

LEDドライバの中には故障を検知できるタイプもあります。LEDが故障したことや、断線したことを検知して通知してもらえれば、LEDのシステム自体の信頼感・安心感が高まるはずです。いち早く故障を検知しLEDの機能を維持しなければならない環境においては、故障を検知できるLEDドライバの使用は必須だと言えるでしょう。


コスト削減に役立つから

LEDドライバの使用がコスト削減に役立つこともあります。主にリニア制御タイプが対象となりますが、部品点数を減らし基板面積を小さくすることにより、部品を発注する手間が省け人件費が削減できます。もちろん部品の数が減れば部品購入費も削減することも可能。さらに、電圧が最適化されることによるエネルギーロスの軽減作用により、消費電力量も抑えられるでしょう。以上のようにLEDドライバをしようすることは、トータルでのコスト削減につながります。

スイッチングの威力
~ LEDの定電流駆動と効率 ~

—— LED専用ICを使わずに済ませることはできませんか?

簡単には、直列に抵抗を入れることで代替えできますが、電力の大半を抵抗が消費することになるうえ、電池を電力源とした場合などは、時間と共に光量が低下してしまうなど安定性も確保されないため、小さなインジケータランプなどにしか適用できません(図3a)。

      
図3(a):直列抵抗による簡易駆動
            

シリーズレギュレータを使って定電流回路を構成することもできますが、LED以外の部分で電力消費を生じる点は同じです。スイッチング電源を使えばこれら問題を解決できます。スイッチング電源の原理的な効率は100%で、電力ロスが発生しないうえ優れた定電流性を実現できるからです。実際のスイッチング電源にはある程度のロスが存在しますが、LEDを高い効率で安定して駆動できます(図3b)。

    

図3(b):定電流出力スイッチングレギュレータ

              

またスイッチング電源には、降圧・昇圧・絶縁(AC / DC)など様々な回路方式があり、各々に対応したLEDドライバを構成できます。定電流出力を得るためには、LEDに直列に電流検出抵抗(Rfb)を入れて負帰還を施しますが、電力損失が小さくなるよう低抵抗にするため、検出電圧は0.2V程度と一般の(定電圧)電源用コントローラの検出電圧より小さく設計されます。図4に、実際のLEDドライバ製品と電力効率特性の例を示しました。

     

図4:LEDドライバ製品例 (右は電力効率特性)

             

シリーズかパラレルか
~LEDの同時駆動 ~

—— 多数のLEDを駆動する方法を教えてください

照明用途などでは多数のLEDを同時点灯させるため、一般には、LEDを何段か直列にしたものを並列接続します(図5)。直列接続は手軽で、各LEDの電流を等しくできます。しかし、LEDがオープンモードで故障すると、列の全てが消灯してしまいます。また、LEDには1個当たり3~5V程度の順方向電圧があり、直列数を多くするに従い高い駆動電圧を要することになるので、数には限度があります。

    
図5:LEDの直並列接続
  


一方、並列接続では、各列に流れる電流は制御できないので明るさにバラツキを生じます。さらに、LEDがショートモードで故障すると、故障した列に電流が集中し、連鎖的に他のLEDに波及する危険も考慮しなければなりません。列間のバラツキを緩和するためには、各列にバラスト抵抗を入れます。ただしその場合は、各抵抗が電力を消費しますので、効率は下がります(図6)。バラツキを抑え、しかも安全に駆動するには、列毎に独立したドライバを使うのが好ましいのですが、コストアップになることは承知しなければなりません。実際には、これらを考慮してバランスの良い段数と列数を決めます。

      
図6:各列にバラスト抵抗を入れる方法

「まばゆい」から「ほのか」まで
~LED 調光の手段 ~

—— LEDの明るさの調節はどうすれば良いでしょうか?

LEDの明るさを可変する手段には、電流調光とPWM調光があります。電流調光は、LEDに流れる電流を直流的に変える方法です。明かりとしてチラツキが無く、一般照明(特に直接照明)などに適していますが、広い電流範囲に対応できるドライバを必要とします。また、図7に示したように、電流値によってLEDの色味が変化してしまう問題があります。


   

図7:白色LEDの電流対光度特性例


これに対してPWM調光は、LEDを人が感応できない速度でオンオフさせ、その時間割合によって見かけ上の明るさを変えます。オン時の電流は一定ですから、明るさに対する色味変化がなく、電流調光よりも大きな調光比(明暗の比率)を実現できます。多くのLEDドライバは電流調光とPWM調光の両者に対応できますが、電流調光非対応のものもあります。実際のPWM制御は、ドライバの出力オン / オフ制御(EN / DIM)端子を通じて行います。LEDドライバでは、オン / オフ制御端子に対する出力の応答が一般のスイッチング電源コントローラより高速化されており、広い範囲でPWM制御できるようになっています(図8)。

   

図8:PWM制御の応答特性例 上段:制御信号(EN / DIM) / 下段:LED電流 / 横軸:4ms/div

光と熱と電気
~ LEDドライバ使用上の考慮事項 ~

—— LEDドライバの実装など、設計面で考慮することはありますか?

LEDドライバとして考慮しなければならない点としては、熱の問題があります。LEDとドライバ双方に発熱があるため、安全性や信頼性(寿命)などの面から、それぞれに放熱対策を講じる必要があります。LEDとドライバが隣接すると、互いの周囲温度は思いのほか高くなるので注意してください。発熱を検出して、高温時に出力を制限する機能を内蔵したドライバもあります。なお、LEDドライバは、原理的にスイッチング電源ですので、スイッチングノイズを伴います。PWM調光する場合は、さらにオン / オフに伴うノイズも加わります。これらが他の機器への妨害と成らないためのEMC対策も盛り込んでください。また、スイッチング電源として、外付けパワーデバイスの適切な選択など一般的な注意ポイントは押さえてください。

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