オシロスコーププローブ ガイド

取材協力:テクトロニクス社

測定品質向上はプローブの理解から
~ オシロスコープの測定品質を決めるプローブ ~

オシロスコープの多様化への追従と、機能拡張のために様々なプローブが存在します。オシロスコープの測定品質を決めるのは、プローブであると言っても過言ではなく、必要に応じた性能や機能にあわせ、適合するプローブを選択することが重要です。

本記事では、プローブに関する基礎的な知識と選択のヒント、そして、利用頻度が高い受動電圧プローブと電流プローブについてご紹介します。

オシロスコーププローブの種類

オシロスコープのプローブには非常に多くの種類があり、主要ブランドでも100種類以上のラインアップがあります。

電圧プローブ

Voltage Probe

受動プローブ
Passive Probe
汎用受動プロープ
 最も一般的に使用されているプローブ
  • 安価
  • 機械的に強い
  • ±300 Vrms程度までの広い電圧範囲に対応
高電圧受動プローブ
 高い減衰比を持ち、高電圧信号測定に使用する
能動プローブ
Active Probe
高電圧差動プローブ
 フローティング測定用の差動プローブ
差動プローブ
 同相信号除去を目的としたプローブで、差動信号のシングルエンド化をプローブ内で行う
アクティブ・プローブ(シングルエンド)
 FETなどの回路素子を利用することにより、信号を減衰させずに高インピーダンス、低入力容量を実現

電流プローブ
Current Probe

受動プローブ
Passive Probe
受動電流プローブ
 電流を測定する。プローブ・アンプがついていない
 DC成分は測定できない
能動プローブ
Active Probe
DC/AC対応 能動電流プローブ
 電流を測定する。プローブ・アンプがついているDCオフセット分も測定できる






























オシロスコーププローブは、信号の振幅や種類によって使い分ける必要があり、電圧測定に使用する電圧プローブには、受動プローブ、アクティブ・プローブ、差動プローブ、高電圧差動プローブ、高電圧プローブなど、様々な種類があります。電流測定では電流プローブを使用しますが、こちらも、AC電流プローブとAC/DC電流プローブに大別されます。

このように多くの種類があるのは、オシロスコープの機種や機能が多種多様であることが理由の1つです。上述の電圧か電流かという違いの他に、同じ種類のプローブでもオシロスコープの周波数帯域、設定、電源供給といった付加機能に対応する各種製品があります。

適切なオシロスコーププローブの選択

正確な測定を行うには、どのようなプローブでも回路に接続すると少なからず回路動作に影響を及ぼすこと、理想的なプローブとは何かを理解した上で、最適なプローブを選択する必要があります。

理想的なプローブとは?

  • 接続が容易で便利
  • 信号忠実度が100%維持される
  • 信号源の負荷にならない
  • ノイズの影響を一切受けない
オシロスコープ側の入力インピーダンスとプローブ側の出力インピーダンスの整合、リードアウト、波形ID、プローブ電源など、搭載されている各種機能への対応を考慮することで、それぞれの性能と機能を最大化できる環境になります。

項目 選択のポイント
電圧 or 電流
  • 電圧測定には電圧プローブ、電流測定では電流プローブを使用
  • 電圧プローブは、信号の振幅、差動/シングルエンドなど検討
  • 電流測定にはDCの扱いによって、AC電流プローブかAC/DC電流プローブを検討
  • 電流プローブは、以下のいずれかより選択
    • ソリッドドコアタイプ:被測定導体のハンダ付けのしなおしが必要
    • スプリットコアタイプ:被測定導体をクランプするだけで操作性◎
    • コアを用いないロゴスキー方式の電流プローブもあり
周波数帯域
  • オシロスコープの周波数帯域仕様に適合したプローブを選択
  • 測定信号最大周波数の3~5倍のオシロスコープとプローブの使用を推奨
  • 500MHz以上にはアクティブ・プローブの使用が一般的だが、1GHz対応の受動プローブも登場している
プローブ負荷
  • 測定する信号に対して極力影響を及ぼさないプローブを選択
  • 被測定デバイスのソース・インピーダンスによるプロービングへの影響を考慮する。ソース・インピーダンスが高い場合、高周波数信号では影響大、アクティブ・プローブまたは差動プローブが有効





受動電圧プローブとは?

受動電圧プローブは、多くのオシロスコープの標準付属品であり、低コスト、汎用のプローブとして最も普及しています。一方、アクティブ・プローブ等、その他の専用プローブは、オシロスコープの測定範囲と機能を拡張するためのものです。

受動電圧プローブは、ワイヤとコネクタで構成され、補正や減衰のために抵抗やコンデンサが付加されています。「受動」という名が示す通り、増幅器などの能動素子は持たず、電力を供給する必要がありません。構造が比較的シンプルなため、堅牢で経済的に使用できます。

ほとんどの受動電圧プローブは、汎用オシロスコープで使用するように設計されており、500MHz程度までの周波数帯域を持つものが一般的です。また、減衰比は測定電圧に合わせるため1:1、10:1、100:1などが用意されており、中でも10:1のプローブが最も多く使用されています。一般に、アクティブ・プローブほどの性能を備えてはないものの、広範なアプリケーション信号測定に最適なダイナミックレンジを備えています。

電流プローブとは?

電流プローブは、導体に流れる電流の周囲に形成される電磁束界の強さを検出し、相当する電流値に変換することにより、オシロスコープで電流波形を表示および解析できるようにするプローブです。

電流プローブには、AC電流プローブと、AC/DC電流プローブの2種類があります。一般に、AC電流プローブは受動プローブで、AC/DC電流プローブは、アクティブ・プローブで、両方ともトランスの変換原理を利用し、導体に流れる交流電流(AC)を検出します。したがって原理上、AC電流プローブは直流電流(DC)を検出できません。対してAC/DC電流プローブは、ホール素子を付加することで直流電流を検出可能ですが、ホール素子のバイアス用電源や信号処理用アンプが必要になります。

周波数帯域については、AC電流プローブは、100MHz以下が一般的ですが、GHzオーダーの高い帯域も測定可能です。直流に近い周波数では十分な検出ができないため、下限は、0.5Hz~1.2kHzになる。AC/DC電流プローブの場合、DCから-3dBポイントまでになります。

電流プローブとオシロスコープの電圧測定機能を組合せると、非常に広範囲の電力測定を行うことができます。オシロスコープの波形演算機能によっては、瞬時電力、有効電力、皮相電力、位相なども測定することが可能になります。

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