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      • 発行日 2025年4月28日
      • 最終変更日 2025年4月28日
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    非破壊検査(NDT)ガイド

    非破壊検査は、材料、部品、または構造を損傷することなく検査するために行われます。本記事では、非破壊検査とは何か、よく使われる技術や用途について説明します。

    non-destructive testing

    テクニカルサポートエンジニア、オスマン・ハフェジによるレビュー(2025年1月)

    非破壊検査(NDT)は、材料を破壊することなく品質を評価するのに適しています。非破壊検査の特長の一つは、部品や材料に損傷を与えないことです。修理が必要な場合でも、材料が元の状態より悪い状態になることはありません。「非破壊検査とは何か」、「非破壊検査の目的は何か」と疑問に思ったことがある方は、本記事でよく使われる非破壊検査の方法と用途について知りましょう。

    非破壊検査とは?

    非破壊検査は、材料、部品、コンポーネント、構造、特性を検査するさまざまな分析技術の総称です。 この分析技術は、試験対象の材料や部品に損傷を与えないことが重要です。非破壊評価(non-destructive evaluation)、非破壊調査(non-destructive inspection)、非破壊試験(non-destructive examination)などの呼称もあります。

    渦流探傷試験、磁粉探傷試験、X線探傷試験、超音波探傷試験、染料浸透探傷試験、外観検査がよく使われる非破壊検査方法です。非破壊検査は、石油/ガス、航空宇宙、自動車、医療などの分野における機械工学用途で広く用いられています。また、新製品や設計の特性を評価したり、研究を実施するための実験室条件下でも使われています。機械工学だけでなく、非破壊検査は土木工学や電気工学の分野でも利用されています。

    部品の損傷を避けるだけでなく、非破壊検査は技術者にとって危険の少ない安全な検査方法とされています(ただし、放射線検査には厳しい条件が求められます)。非破壊検査は機械や構造物が本来の機能を果たしていることを確認することで、システムの安全性を確保することにも役立ちます。

    非破壊検査の特長:

    • 正確さ。検査結果が正しいかどうかを確認するために、何度も検査を繰り返すことができます。
    • 優れた費用対効果。試験はサンプルを破壊しないため、サンプルは再び使用することができます。非破壊検査はまた、故障や不具合を引き起こす前に問題を検出するため、コスト削減やダウンタイムの短縮に役立ちます。
    • 溶接部の検査に最適。非破壊検査で最も重要な用途の1つは、溶接品質の検証を可能にすることです。

    破壊試験と非破壊試験の比較

    破壊試験と非破壊試験がどんな違いがあるのでしょう。非破壊検査が部品に損傷を与えないのに対し、破壊検査は製品や部品を完全に破壊するまで試験します。これは、新製品を導入し、大量生産する前にその限界を知りたいメーカーにとって特に有用です。製品がいつ故障するかを知ることで、メンテナンス体制や運転上の注意点の確立が容易になります。

    破壊試験では、試験片が最終的に変形または完全に破壊するレベルの応力を受けます。破壊試験法の例としては、曲げ試験や引張試験などがあります。

    非破壊検査方法

    非破壊検査には様々な方法があります。ここでは、よく使用される非破壊検査法を紹介します:

    超音波探傷試験

    超音波探傷試験は、超音波とデータ収集を使って部品を検査し、厚さを測定し、欠陥を調べ、部品やシステムの状態を監視するために使用されます。超音波探傷試験は、金属やプラスチックから複合材料やセラミックまで、あらゆるものの試験に適用できます。また、医療分野でも画像診断や研究に広く用いられています。

    放射線透過試験

    放射線透過試験は、非破壊検査の代表的な方法の一つです。この検査方法では、放射線を試験片に照射し、キズや欠陥を検出します。放射線の強さにばらつきがあれば、何らかの問題があることを示します。薄い材料はX線で分析され、厚く密度の高い材料にはガンマ線が必要です。検査結果は、フィルム、コンピュータ断層撮影、デジタルX線撮影など、さまざまな方法で処理することができます。

    渦電流探傷試験

    渦電流とは、プローブによって導入される電流とは逆に流れる電流のことです。渦電流探傷試験は、非強磁性表面や管の検査に広く使用されています。これらの電流の変動を検出することで、渦電流試験は導電性材料の温度関連の損傷、孔食、腐食、摩耗、厚みの減少を特定できます。

    magnetic field detector

    磁粉探傷試験

    磁粉探傷試験は、磁場の変化を分析することで、強磁性材料の表面の変化を検出します。この磁場は、永久磁石または電磁石を使用した非破壊検査装置で作られます。磁界粒子の磁束は、検査対象部品の表面に問題があることを示します。

    アコースティックエミッション

    アコースティックエミッションは、運転中に金属の空隙、亀裂、相変態によって発生することがあります。 アコースティックエミッション試験法(振動試験法とも呼ばれる)は、試験片に振動を発生させ、エンジニアが周波数や減衰時間などの特性を測定し、材料の状態を示します。アコースティックエミッション試験の重要な用途は、鋳鉄構造物の試験です。(橋梁が良い例です)。

    目視試験

    非破壊検査における目視試験とは、被検査物を目視で検査することにより、損傷、亀裂、腐食を検出する手段です。拡大鏡や画像処理システムも、この目的に使用されます。

    leak detector spray

    浸透探傷試験

    浸透探傷試験(DPI)は、非多孔質材料のひび割れや気孔などの表面欠陥を強調するために使用される方法です。この方法は、毛細管現象によって表面の欠陥に浸透する液体浸透剤を塗布することで機能します。このプロセスでは、表面を洗浄し、浸透液を塗布し、余分な部分を除去し、欠陥部分を明らかにするために浸透液を使用します。可視染料または蛍光染料は、検査で欠陥を明確にします。

    非破壊検査用途

    非破壊検査や非破壊試験には、以上のような方法があります。実際、非破壊検査装置は幅広い用途に使用されており、レーザー、染料、漏水検知、赤外線技術などの技術も採用されています。溶接の品質と性能は非破壊検査の重要な使用例であり、超音波探傷試験、磁粉探傷試験、放射線透過試験、渦電流探傷試験など、数多くの技術で検査することができます。

    電子産業では、半導体やその他の電子部品の微小な欠陥の検査にも非破壊検査が使用されており、航空宇宙分野では、エンジンや機体の検査を通じて航空機の安全確保に非破壊検査が役立っています。超音波検査やX線透視検査は、大事故につながりかねない欠陥を検出することができます。海運業界でも同様に、船体の状態を検査するために非破壊検査が利用されています。

    一方、メーカーは、材料の品質を保証するために磁粉探傷試験や 渦電流探傷試験を行っており、エネルギー産業では、パイプライン、タンク、原子炉部品の状態を検査するために、石油/ガス、石油化学、原子力分野で非破壊検査が重要な役割を担っています。

    非破壊検査が行われなければ、製品やサービスの多くは成り立たないと言っても過言ではありません。この多用途な分野は、様々なエンジニアリング業界を支えています。

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