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    インバータとは?仕組みや詳しい用途について分かりやすく解説!
     
      • 発行日 2024年1月17日
      • 最終変更日 2024年4月5日
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    インバータとは?仕組みや詳しい用途について分かりやすく解説!

    インバータは、家電製品・自動車・産業機器などさまざまな分野で活躍する電気装置ですが、エンジニアにとっては、その役割や長所・短所を理解した上でうまく活用することが重要です。 当記事では、インバータの役割や仕組みについて詳しく解説します。

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    インバータの概要

    まずインバータの概要を知るために、 

    • インバータ回路とインバータ装置
    • インバータ装置の周波数と回転数

    という2つに分けて分かりやすく解説します。 

    インバータ回路とインバータ装置

    インバータは電気を直流から交流に変換する回路(インバータ回路)のことを指し、家電や産業機器に利用されています。また、エアコンや洗濯機などに搭載された「インバータ装置」は、このインバータ回路を含めたモジュールのことを指し、モータの効率的な制御を可能にし、省エネ運転を実現します。  

    たとえば、インバータ搭載のエアコンは温度変化を緩やかに調整し、無駄な動作を抑えて電力消費を削減します。IH調理器具も高周波の交流電流をインバータでフレキシブルに制御し、モータの回転速度や加速度を適応的に変化させることが可能です。 

    インバータ装置の周波数と回転数

    インバータ装置は、コンセントの交流電源を特定の周波数や電圧に変換するために利用されます。日本ではコンセントの交流電源における周波数が東西で異なるため、モータの回転数を電源周波数と独立させて制御するためには、インバータを使って周波数を調整する必要があります。

    インバータの役割

    インバータの主な役割は以下の通りです。

    電流の向きを切り替える

    インバータは電流の向きを切り替える役割を果たします。通常、直流電源の電流は一方向に流れますが、インバータはこれを周期的に逆転させ、交流に変換します。この逆転により、電流の向きが定期的に変わるため、交流電源で駆動するモータや機器を動作させることができます。

    モータのパワーを調節する

    モータのパワーを調節するには、磁石の力を利用します。インバータは電流を制御し、モータに供給される電流の強さや方向を変えることで、磁石の効果を変動させます。電流が流れるとモータ内の磁石が反応し、回転力が生まれます。 

    インバータを使用するメリット

    インバータを利用するメリットは以下の通りです。 

    モータの回転速度を抑えられる

    インバータのメリットの1つは、モータの回転速度を臨機応変に抑えられることです。電流の制御により、瞬時に回転数を調整でき、エアコンやポンプなどの機器が、必要な速度で効率的に動作することが省エネにも繋がります。 

    従来のON/OFF制御と比較して、安定感が増し、機器寿命も延びます。 

    単相100Vから三相200Vの電圧まで対応できる

    インバータの利点は、単相100Vから三相200Vの電圧まで対応可能なことです。これにより、異なる電源条件下で機器を使用する際でも、インバータがあれば電力供給が可能となり、多岐にわたる用途に対応できます。 

    省エネ効果が期待できる

    インバータの大きなメリットは、省エネ効果が期待できる点です。電流を効率的に制御し、機器やモータの動作を最適化するため、無駄なエネルギー損失が少なくなり、効率が向上します。これにより、長期的な運転コストの削減や環境への貢献が期待されます。

    インバータが使用されている主な装置

    インバータが使用されている主な装置には以下のようなものがあります。

    エレベーター

    エレベーターのインバータはモータの速度を制御し、スムーズで効率的な移動を可能としています。変速機能により、急激な加速や減速を軽減することで、乗客の快適性を損ないません。エネルギー消費も最適化され、運転コストが低減します。 

    また、インバータの制御によって「ゆっくりした動き出し」と「ゆっくりと停止する」ことができ、利用者が快適に各階を移動できます。 

    エスカレーター

    エスカレーターのインバータは、エレベーターと同じように、モータの速度を調整し、効率的な運転を可能にします。人感センサーがついているタイプのエスカレーターで、人が乗降した際の動作が急ではなく、加速や減速が緩やかなのは、インバータの機能のためです。 

    空調ファン

    空調ファンのインバータはモータの速度を変え、効率的な冷暖房を実現します。部屋の設定温度に合わせてモータ出力が調整され、快適な温度を維持するだけでなく、エネルギー消費も削減されます。また、インバータを使った細かな制御を行うことにより、定常運転よりも起動時の電力ピークが低減します。 

    コンベア

    コンベアのインバータはモータの速度を制御し、生産性とエネルギー効率を向上させます。設定したトルクや速度に合わせて出力を変動させ、製品などの運搬が効率的に行われ、生産ラインの柔軟性が増します。また、インバータを使用することで、起動時の電力負荷が低減し、機械の寿命が延びると同時にエネルギーコストも削減されます。

    ポンプ

    ポンプのインバータはモータの回転速度を変更し、効率的な制御を可能とします。設定に合わせて出力を変動させることでエネルギー消費を最適化し、システムの寿命を延ばします。また、緩やかな始動と停止により機械への負荷が軽減され、メンテナンスコストも低減できます。 

    インバータを使用する際の注意事項

    インバータを使用する際の注意事項には以下のようなものがあります。

    騒音

    まず注意事項の1つ目として、インバータ使用時の騒音が挙げられます。インバータで駆動する装置は、周期的な動きをするものが多く、その周波数が可聴域に入る場合には、その機器自体が騒音源となります。騒音を発する可能性のある冷却ファンやモータの振動を抑制するために、十分な絶縁材や吸音材を使用し、設置場所をしっかりと選びましょう。 

    また、適切なメンテナンスと振動吸収装置の設置で騒音を軽減できます。環境と周囲の利用者や近隣住民に配慮した設計と運用が重要です。 

    漏れ電流

    注意事項の2つ目として、インバータ使用時の漏れ電流が挙げられます。適切なアースや漏電ブレーカーの設置で漏れ電流リスクを軽減できます。信頼性の高い絶縁材や適切な配線も重要です。定期的な点検とメンテナンスを行い、システムの安全性を確保しましょう。 

    漏れ電流保護装置の適切な設定と設置も漏れ電流事故を予防します。使用環境に合わせた適切な対策を講じることが大切です。 

    ノイズ

    注意事項の3つ目として、インバータ使用時のノイズが挙げられます。ノイズ源やノイズの伝播経路を確認し、適切な絶縁やシールディングを施すことでノイズの影響を軽減できます。ノイズ対策でよく使われるフェライトビーズやフィルタ回路を導入してノイズを吸収する方法も有効です。 

    また、周辺機器や他の電子機器との干渉を避けるために、うまく配置や配線をしましょう。線材の品質管理と適切な接続もノイズ対策に繋がります。 

    サージ電圧によるモータの絶縁劣化

    注意事項の4つ目は、インバータ使用時のサージ電圧はモータの絶縁劣化を引き起こす可能性があるということです。サージ防止デバイスや適切な過電圧保護回路を導入し、急激な電圧変動からモータを守りましょう。 

    また、適切な絶縁材を使用し、絶縁レベルを確認することが重要です。フィルタ回路や平滑用コンデンサを組み込んで電圧の安定化を図り、ノイズも低減します。最適な配線やアースも絶縁劣化を軽減するポイントです。適切な保護対策と定期的な点検が必要です。 

    モータの軸受電食

    5つ目の注意事項として、インバータ使用時の軸受電食が挙げられます。高周波ノイズが軸受に影響を与え、絶縁破壊や摩耗を引き起こす可能性があります。適切な絶縁軸受を選定し、シャフトのアースリングを使用して絶縁を強化します。 

    また、フィルタや磁気絶縁材を導入してノイズを抑制し、軸受の寿命を延ばします。モータとインバータの適切なマッチングや定期的なモニタリングも重要です。保護デバイスや過渡対策を組み込んで、軸受にかかる電圧ストレスを最小限に抑えましょう。 

    インバータの最新技術

    最新のインバータ技術で注目を集めるのはパワーデバイスの進化です。これらは電力供給において半導体を使用した回路素子で、大電流容量や高耐電圧を特徴としています。 

    しかし、電力損失が課題とされ、新素材の開発が進む中、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)が脚光を浴びています。これらは従来の半導体材料であるシリコン(Si)よりも電気を通しやすく、少ない損失で動作する特徴があります。 

    製造費の課題があるものの、高機能で複雑な回路が構築可能で、これによりインバータの応用範囲が一層広がることが期待されます。 

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    まとめ

    インバータは、電源の周波数変換によって効率よく機器を動かすことのできる回路・モジュールです。基本的な仕組みや応用例などをよく理解して、適した使い方をすることで、システムの効率や耐久性を上げられる効果があるため、積極的に活用していきましょう。 

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