• 発行日 2023年8月28日
    • 最終変更日 2026年5月7日
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コンバータとは?種類と市場動向【2025-2026年版】

コンバータとは、電気回路の中で電圧や電流などを用途に合わせて変換する回路や装置です。なかでもDC-DCコンバータは、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーシステム、通信機器など、多くの分野で電源の安定化に使われています。本記事では、コンバータの種類や仕組み、主な用途といった基本に加え、DC-DCコンバータ市場の動向や技術トレンド、選定時に確認したいポイントをわかりやすく紹介します。

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コンバータとは?基本の種類と役割

コンバータとは、電気回路の中で電圧・電流・信号形式などを用途に応じて変換する回路や装置です。大きく分けると、以下の種類があります。

  • DC-DCコンバータ:直流電圧を別の直流電圧に変換(昇圧・降圧)
  • AC-DCコンバータ(整流器):交流電圧を直流電圧に変換
  • DC-ACコンバータ(インバータ):直流電圧を交流電圧に変換
  • A/Dコンバータ(ADC)・D/Aコンバータ(DAC):アナログ信号とデジタル信号を相互に変換

DC-DCコンバータとは、直流電圧を別の直流電圧に変換するコンバータで、昇圧や降圧によって機器に適した電圧を供給します。電源の安定化や電圧レベルの調整に使われるため、ノートパソコンやスマートフォン、産業機器、電気自動車(EV)など、さまざまな電子機器や電源システムに搭載されています。

コンバータとインバータの違い

コンバータとインバータは、どちらも電気を変換する装置ですが、変換する対象や方向が異なります。コンバータは、電圧・電流・信号形式などを用途に応じて変換する装置を広く指します。一方、インバータは、直流電力を交流電力に変換する装置です。

インバータは、産業用モータエアコン、電磁調理器など、さまざまな機器に使われています。また、電子回路としてだけでなく、モータの回転数制御や、出力電圧・周波数の制御にも活用されています。

コンバータの主な用途

電子機器を支えるコンバータの役割

家庭やオフィスで使われる多くの電子機器には、AC(交流)100Vの電源をDC(直流)に変換する「AC-DCコンバータ」が使われています。スマートフォンやパソコン、テレビなどに使われる半導体素子や電子回路は、主に直流電源で動作するためです。

また、直流電圧を別の電圧レベルに変換する「DC-DCコンバータ」も、さまざまな機器で使われています。例えば、ハイブリッドカーや電気自動車(EV)では、高電圧バッテリーの電力を車載の12Vシステムへ供給するために、絶縁型DC-DCコンバータが用いられます。これにより、補機類や制御システムに安定した電力を供給できます。

コンバータは、電力だけでなく信号の変換にも使われます。A/Dコンバータ(ADC)はアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタルカメラや医療機器、産業機器などで活用されています。一方、D/Aコンバータ(DAC)はデジタル信号をアナログ信号に戻し、パソコンやスマートフォンのスピーカー出力などに利用されています。

このように、AC-DCコンバータやDC-DCコンバータ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータは、現代の電子機器を支える重要な回路・部品です。近年は、USB Power Delivery(USB PD)対応の高出力充電器や、小型・高効率の電源モジュールなど、用途に応じたコンバータ技術の活用が進んでいます。例えば、USB Power Delivery(USB PD)3.1では最大240Wまでの給電に対応しており、高出力化が進む電子機器や充電器の設計にも活用されています。

コンバータはどんなものに使われている?

コンバータの仕組み:AC/DCコンバータを例に

コンバータの仕組みは種類によって異なりますが、入力された電気や信号を、機器で扱いやすい形に変換する点は共通しています。ここでは、一般的に使われる「AC-DCコンバータ」を例に、電源変換の流れを説明します。

まず、家庭用のAC(交流)100VがAC-DCコンバータに入力されると、用途に応じて電圧が変換されます。変圧器を使う方式では、入力側のコイルに流れる交流電流の変化によって磁場が発生し、その変化が出力側のコイルに伝わることで、必要な電圧に調整されます。一方、現在の充電器やACアダプタでは、交流をいったん整流したあとに高周波スイッチングを行い、小型のトランスや制御回路で電圧を調整するスイッチング方式も広く使われています。

次に、交流電圧はダイオードなどによって整流されます。ダイオードは電流を一方向にのみ流す性質があるため、交流の向きをそろえ、直流に近い電圧に変換します。ただし、この段階では電圧に脈動が残っており、完全に安定した直流とはいえません。

そこで、コンデンサやコイルなどを使ったフィルタ回路で、脈動成分を抑えます。これにより、電子機器が扱いやすい安定した直流電圧に整えられます。

この基本的な考え方は、スマートフォンの充電器やパソコンの電源アダプタなど、多くの電子機器の電源回路に応用されています。

コンバータの種類とそれぞれの特徴

ここでは、コンバータの種類ごとに、用途や変換対象の違いを整理します。

  • AC-DCコンバータ 交流電源を直流電源に変換する装置です。家庭やオフィスで使われる電子機器、通信機器などの電源に広く使われています。
  • DC-DCコンバータ 直流電圧を別の直流電圧に変換する装置です。電圧を昇圧または降圧できるため、電気自動車(EV)やハイブリッドカーの電源システムでは、高電圧バッテリーから低電圧システムへ電力を供給する用途で使われます。近年は、安全性やノイズ対策の観点から、絶縁型DC-DCコンバータの需要も高まっています。
  • A/Dコンバータ(ADC)・D/Aコンバータ(DAC) A/Dコンバータはアナログ信号をデジタル信号に変換し、D/Aコンバータはデジタル信号をアナログ信号に変換します。デジタルカメラ、医療機器、オーディオ機器などで使われています。特にオーディオ用途のDACには、ノイズを目立ちにくくしやすいビットストリーム方式などの種類があります。
  • アップスキャンコンバータ/ダウンスキャンコンバータ 映像信号の走査周波数を変換する装置です。アップスキャンコンバータは低い走査周波数の映像信号を高い走査周波数に変換し、ダウンスキャンコンバータはその逆の変換を行います。これにより、異なる走査周波数に対応したディスプレイやテレビに映像を表示しやすくなります。

このように、コンバータは電力の変換だけでなく、音声や映像などの信号変換にも使われています。用途に応じて適切なコンバータを選ぶことで、電子機器や産業機器を安定して動作させやすくなります。

身近な製品に使われるコンバータの例

身近にあるコンバータ

ここでは、コンバータが身近な製品の中でどのように使われているかを、具体例とともに紹介します。普段何気なく使っている製品にも、電気や信号、データの形式を変換する仕組みが取り入れられており、機器を正しく動作させるうえで重要な役割を担っています。

電子機器に使われるコンバータ

家庭用コンセントから電気を取る多くの電子機器では、AC-DCコンバータやACアダプタなどの電源変換回路が使われています。AC(交流)100Vの電圧を、内部の電子回路が動作するために必要なDC(直流)電圧へ変換するためです。例えば、以下のような製品が挙げられます。

  • スマートフォン・タブレットの充電器:AC電源を、USB経由で充電に使えるDC電圧に変換します。近年は、USB Power Delivery(USB PD)対応の充電器も増えており、高出力での充電にも対応しやすくなっています。
  • ノートパソコンのACアダプタ:AC電源を、ノートパソコンが使用するDC電圧に変換します。
  • テレビ、ゲーム機:内部の電子回路に必要なDC電圧を供給します。
  • LED照明:AC電源を、LEDの点灯に必要なDC電圧に変換します。

ラジオ:周波数変換の技術

ラジオは、受信した電波を回路で扱いやすい周波数に変換する技術を利用しています。信号をそのまま処理するのではなく、中間周波数などに変換することで、目的の放送を安定して受信しやすくなります。

パソコン:ファイル形式の変換

パソコンで「コンバータ」と呼ばれるものは、ファイル形式を変換するソフトウェアを指す場合もあります。例えば、異なるソフトウェアで作成されたファイルを別のソフトウェアでも扱える形式に変換したり、動画ファイルを別の形式に変換して、さまざまなデバイスで再生できるようにしたりするために使われます。

ゲーム機:周辺機器を接続する変換アダプタ

ゲーム機では、周辺機器を接続するためにコンバータが使われることがあります。例えば、対応するゲーム機や用途に応じて、マウスやキーボード、古いコントローラなどを接続するための専用変換アダプタが使われる場合があります。

自動車:電源システムの電圧変換

  • 電気自動車(EV):バッテリーの高電圧を、車載の低電圧システムで使える電圧に変換するDC-DCコンバータが搭載されています。
  • ハイブリッド車:駆動用バッテリーなどの高電圧電源から、制御システムやカーナビなどの低電圧系電子機器へ電力を供給するために、DC-DCコンバータが使われています。

このように、コンバータは私たちの生活のさまざまな場面で、電気や信号、データの形式を変換する役割を担っています。身近な製品を正しく動作させるうえでも欠かせない回路・仕組みです。

DC-DCコンバータ市場の動向と成長予測

市場規模と成長予測

DC-DCコンバータの世界市場は、複数の市場調査で今後も高い成長が見込まれています。

  • DC-DCコンバータの世界市場は、2025年に約136億米ドル、2032年には約293億米ドルに達するとされています。年平均成長率(CAGR)は11.6%で、高い成長が続く見込みです。 1
  • 別の市場予測でも、2025年から2033年にかけてCAGR約11.3%で成長し、2033年には約322億米ドルに達するとされています。 2

需要を牽引する主な要因

  • 電気自動車(EV)の急速な普及:EV用高電圧DC-DCコンバータ市場は、2025年に約16.7億米ドルと推計され、2030年には約32.1億米ドルに達すると予測されています。CAGRは14.05%で、前述したDC-DCコンバータ市場全体の予測CAGRを上回る水準です。 3
  • 再生可能エネルギーの拡大:太陽光発電や風力発電システムでは、発電した電力を効率よく変換・制御するため、高性能DC-DCコンバータの需要が増加しています。
  • 通信インフラの進化:5Gやデータセンターの拡大に伴い、高効率で安定した電源管理が求められています。
  • 産業・輸送・ネットワーク機器での需要拡大 :鉄道や輸送機器、ネットワーク機器では、高い信頼性やI/O絶縁性能が求められるため、絶縁型DC-DCコンバータの採用が広がっています。 25

地域別の市場動向

  • DC-DCコンバータ全体市場では、北米市場が最も高いCAGRを示すとされています。背景には、通信、自動車、再生可能エネルギー分野での需要増加があります。 1
  • 自動車用DC-DCコンバータ市場では、中国、韓国、台湾などにおけるEV関連需要の増加を背景に、アジア太平洋地域が2037年までに約33%の市場シェアを占めながら成長すると予測されています。 6

電気自動車(EV)におけるDC-DCコンバータの重要性

DC-DCコンバータとは、直流電圧を用途に応じて変換し、機器に必要な電圧を供給するためのコンバータです。EVでは、駆動用の高電圧バッテリーから、車載電子機器や制御システムなどが使用する低電圧システムへ電力を供給する必要があります。そのため、高電圧の直流電力を12V・48Vなどの低電圧直流電力へ変換する、高効率で安全性にも配慮したDC-DCコンバータが求められます。これにより、補機類や制御システムの安定稼働を支えます。EV市場の拡大に伴い、車載用DC-DCコンバータの需要が拡大し、技術開発も進むと見込まれています。

DC-DCコンバータの技術トレンド

  • 絶縁型DC-DCコンバータ:高電圧系と低電圧系を電気的に分離できることから、安全性やノイズ対策の観点で注目されています。世界の絶縁型DC-DCコンバータ市場は、2024年時点で約7.09億米ドルと推計されており、2031年には約10.24億米ドルに達すると予測されています。EVや産業機器などの分野で、今後も需要の拡大が見込まれます。
  • 高周波スイッチング技術:SiCやGaNなどのパワー半導体を採用することで、スイッチング損失を抑えながら、電力変換回路の小型化や高効率化が可能になります。特にGaNデバイスはスイッチング周波数を高めやすく、インダクタやトランスなどの磁気部品の小型化にもつながります。
  • パワーモジュール化:DC-DCコンバータ用パワーモジュール(車載・産業用途など)の市場も拡大しています。世界市場規模は2024年時点で約53.2億米ドルと推計されており、2031年には約96.8億米ドルに達すると予測されています。モジュール化により、設計の簡略化や実装面積の削減、信頼性の向上などが期待できます。

コンバータ選定のポイント

コンバータを選ぶ際は、用途や使用環境に合わせて、以下の点を確認する必要があります。

  • 入力・出力電圧範囲:使用する機器や電源条件に合った電圧範囲の製品を選ぶことが重要です。例えば、5〜36V入力に対応するDC-DCコンバータは、産業機器や通信機器などで使われることがあります。
  • 絶縁の有無:安全性やノイズ対策が求められる場合は、絶縁型か非絶縁型かを確認します。
  • 効率と熱設計:長時間安定して動作させるには、変換効率や発熱量、放熱設計を確認することが重要です。
  • サイズ・フォームファクター:設置スペースや基板レイアウトに合わせて、適切なサイズや実装形態の製品を選びます。

まとめ

コンバータは、現代の電子機器や電力システムに欠かせない基幹部品です。特にDC-DCコンバータは、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの普及により、今後も高い成長が期待されています。最新の市場データや技術動向を踏まえ、用途に合ったコンバータを選定することが重要です。

RSコンポーネンツでは、さまざまな種類のコンバータ製品を取り揃えており、産業機器からEV関連用途まで、幅広い用途に対応しています。製品選定の参考として、ぜひご活用ください。

※本記事は、2025年6月時点の市場調査データおよび技術情報を基に作成したうえで、2026年4月時点で確認可能な公開情報を踏まえ、一部内容を補足しています。

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