この章ではMUXの種類について解説します。
アナログ用MUX
アナログ用MUXはアナログ信号を処理するために用いるMUXです。アナログ信号とは電流や電圧、音声信号など連続的に変化する信号のことを指します。
連続的な信号を処理するために、高い精度が求められる場合があります。
入力されるアナログ信号が微弱な場合には、オペアンプなどで増幅したり、波形を整えたりする処理も同時に行われることがあります。
デジタル用MUX
デジタル用MUXはデジタル信号を処理するために用いるMUXです。
デジタル信号とは、離散的なデータ(飛び飛びの値を持つデータ)で表現される信号です。0と1のみで表現されることもデジタル信号の大きな特徴です。
デジタル信号は、データの劣化に強く、低消費電力を実現できるメリットがあります。
デジタル信号は0と1のみでデータが表現されることから、通常はデジタル用MUXに増幅器などは付加されません。
アナログ用MUXを利用するか、デジタル用MUXを利用するかは対象とするデータの特徴によって決まります。
デマルチプレクサ
MUX(マルチプレクサ)は複数の入力信号を一つの出力信号とする回路ですが、一方で一つの信号から複数の信号に分割する「デマルチプレクサ」も存在します。
一つの大きな信号を分割して処理することで、具体的なニーズに対応する信号に変換します。
例えば、スマートフォンではデータを一本化して通信を行いますが、実際にデータを利用する際には「動画をみる」「ゲームをする」「メッセージをやり取りする」のようにユースケースが異なります。
このようなシーンではデマルチプレクサが活躍します。