ツェナーダイオードからの切替えのメリット
静電気吸収能力を持つチップバリスタはツェナーダイオードからの切り替えにも用いられますが、切り替えることのメリットは次のとおりです。
ツェナーダイオードと同等のサージ耐量であること
チップバリスタはツェナーダイオードと同等のサージ耐量を誇ります。今まではチップバリスタのほうが繰り返す静電気吸収に強いというイメージが持たれていましたが、最近ではツェナーダイオードと同等のサージ耐量を誇るチップバリスタも提供されてきています。そのため、サージ耐量を気にすることなくツェナーダイオードから切り替えることが可能です。
チップバリスタのほうが小型化・低コスト化しやすい
ツェナーダイオードからチップバリスタに切り替えると、小型化と低コスト化がしやすいというメリットがあります。最近では電気自動車の普及により、車載用ECUとして使用できるような小型・低コストのチップバリスタが増えてきました。製品によっては従来品より実装面積や重量を大幅に縮小し、小型化・低コスト化を目指しているものもあるため、できる限り設置スペースとコストを抑えた静電気吸収部品を用いたいというニーズに応えます。
チップバリスタが静電気を逃がす様子を実験で確認する
チップバリスタが静電気を吸収する様子を、実験で確認してみました。実験に使った静電気の波形(図4)は、IEC61000-4-2に規定されているものです。波形の立ち上がり時間が1ns以下、ピーク電流が7.5Aのとても鋭い波形です。
IEC61000-4-2は、エネルギー蓄積容量と放電抵抗の組み合わせで、さまざまなモデルを規定しています。人体の持つ代表的な容量値は150pF、抵抗値は330Ωです。これを、人体モデル(human body model)と呼んでいます。
図4:実験に使う静電気の波形