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      • 発行日 2024年6月28日
      • 最終変更日 2024年6月28日
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    PID温度コントローラガイド

    このガイドでは、PIDコントローラを紹介します。また産業用途での活用について説明します。

    PIDコントローラとは?

    PID温度コントローラ

    PIDコントローラは、制御回路を内蔵したデバイスです。このデバイスは、温度、圧力、速度など、さまざまな変数を調整する産業用制御に使用されます。

    PID (Proportional Integral Derivative) コントローラは、目標値と測定値の偏差を計算する数式を使用することで、フィードバックが目標値に一致するように動作します。そして、この装置は、計算結果を使用して、必要に応じてシステムで検出された変化を自動的に補正し、プロセス変数が要求された設定値にできる限り近い状態を維持します。

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    PIDコントローラの歴史

    負荷のかかるシステムを連続的に制御しようという試みは、1600年代までさかのぼることができます。最も古い事例は、17世紀に発明された遠心調速機(回転するおもりを使用)で、高負荷時に大きな石臼と小さな石臼の回転速度の差が大きくなるのを補正するために設計されたものです。

    1922年、ニコラス・ミノルスキーは、現在のPID制御として知られるものへの画期的な改革を行いました。ミノルスキーの理論と数学的処理はやがて発展し、現代でPIDシステムとして広く使われている電子的な産業制御機構を生み出すことになります。

    PIDコントローラは現在、産業プロセス制御で広く使用されており、さまざまな分野や産業で使用されるFAセンサ・制御機器の主要な製品となっています。これは、PIDコントローラが広い環境と用途にわたって信頼できる堅牢性を提供することが理由です。また、設計・操作ともに使いやすくなっています。

    温度コントローラの種類とは?

    PID温度コントローラについて詳しく知るためには、他の温度コントローラの機能を理解する必要があります。

    簡単に言えば、すべての温度コントローラは同じような働きをします。その主な役割は、熱電対のようなセンサから連続的な測定を通じて、設定値と、任意の時点における測定値との間の偏差を監視し、計算することです。

    自動温度調整を行うためには、すべてのコントローラ装置に、センサからの読み取り値に基づいて適切な応答関数を計算する制御モジュールが必要です。そして得られた命令は、制御装置に出力されます。

    温度コントローラ間の基本的な違いは、サンプリングされた情報の正確な使用方法と反応方法、そして温度の制御方式にあります。そのため、温度コントローラには以下の3つの種類があります:

    ON/OFF温度コントローラ

    ON/OFF温度コントローラ

    • ONとOFFの2パターン動作によって温度を調整する制御装置です。
    • この装置は、最もシンプルな自動温度制御を提供し、温度が設定値を超えた場合にのみ反応します。
    • 絶対精度が重要でないシステムや、温度変化が緩やかなシステムでのみ使用されます。
    • 自動温度制御の基本的なタイプとして、ON/OFF装置はラッチングリレーを内蔵していることが多く、特定の温度に達した後は手動でリセットする必要があります。
    • この種類の温度コントローラに伴う問題は、ON/OFF間の頻繫な動作です。これは、温度が設定値に非常に近い範囲で推移しているため、センサが境界温度を検知することにより発生します。
      • この問題を解決するために、ヒステリシスを含むように設計することができます。つまり、安全な温度の範囲内で、装置がON/OFFの間で不安定になるのを防ぐためのバッファゾーンが組み込まれます。
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    比例温度コントローラ

    • 比例温度コントローラは、単にヒステリシスに頼ってON/OFF状態間の頻繫な動作を防止するよりも、優れたアプローチを採用しています。
    • 測定値と設定値の差に見合った比率で、必要に応じて出力を増加または減少させることができます。
    • 効率を向上させるため、この比例制御は通常、設定温度の両側で定義された温度範囲内でのみ行われます。
      • この比較的狭い範囲の外では、装置はON/OFFの制御方式に戻ります。
    • 比例コントローラの制限として、温度が設定値に近づくと調整曲線が減少していくため、ゼロ偏差に達することができません。
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    PID温度コントローラ

    • PIDコントローラは、比例コントローラを更に進化させて、比例制御、積分制御、微分制御を組み合わせた製品です。
      • 積分は、一定時間におけるすべての偏差を累積 (積分) した値です。偏差平均のように働き、比例制御のオフセットを補正するのに役立ちます。
      • 微分は、測定された温度変化率であり、オーバシュートを防ぐために積分を微調整します。
    • PID温度コントローラは、測定値の読み取りと補正において、より高感度で汎用性の高い、反応性の高い方式を提供することができます。
    • 精度を重視するシステム、あるいはシステム全体の質量や容積が小さいため、問題となるような変動が急激に頻発するようなシステムに最適です。
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    PID温度コントローラの特長は何ですか?

    標準的なサーミスタ、熱電対、その他の温度監視/加熱装置に対するPID温度コントローラの主な特長は、PIDコントローラが連続的なプロセスにおける急激な外乱や変動に効果的に反応できることです。急激な外乱や変動は、長時間放置しておくと、測定・生産される製品の品質に劇的な影響を与える可能性があります。PID温度コントローラは、このような外乱をすばやく処理することに優れています。

    PIDコントローラの用途

    PIDコントローラは、多くの産業、分野、用途で広く使用されています。

    設定や調整が比較的簡単であることに加え、制御回路フィードバック機構の精度により、PIDコントローラはさまざまなプロセスや環境要因をデジタル的に追跡し、自動的に調整する上で高い効果を発揮します。

    このガイドは特にPID温度コントローラに関する説明ですが、PID制御装置は、流量、圧力、速度、周波数など、より広範な自動化プロセスと制御プロセスに適用されます。

    温度制御

    PID温度コントローラは、他のタイプの温度制御装置と一部の特性を共有しています。特に、センサ(多くの場合、熱電対または類似のもの)からその読み取り値を取得し、ヒータまたはファンのようなアクチュエータ装置にデジタル制御部品を介して命令を出力します。

    PIDコントローラは、基本的な監視・調整方式として汎用性が高いため、以下のような多くの産業で使われています:

    • 熱処理炉の温度制御
    • 各種シート材料の硬化と加工
    • 温度に敏感な乾燥・蒸発処理
    • 産業用部品と機器の熱処理と焼き戻し
    • 医療科学と医薬品開発
    • 食品製造と調理

    PIDコントローラのチューニング

    PIDコントローラは通常、比例、積分、微分の基本設定が組み込まれた状態でメーカーから出荷されます。どのようなタイプのPIDコントローラであっても、操作者はまず装置を校正し、それが適切にプログラムされ、対象となる産業プロセスのニーズに合うように調整されます。このプロセスが完了するまで、PIDコントローラは、正しく動作させることはできません。

    このチューニングを実現するためのさまざまな方法があります。モジュール全体が性能を発揮するために、比例項、積分項、微分項をそれぞれ個別に調整することが必要です。

    多くのシステムや状況において、試行錯誤を行うことはPIDコントローラをチューニングする最も実用的な方法と見なされています。これは、動作中のシステムに装置を設置し、すべての設定をゼロにすることに基づいています。操作者はその後、比例値から始め、設定値を中心に変動する範囲まで調整します。

    この状態に達すれば(これは精度を重視するシステムでは不十分であり、比例のみの温度制御装置の限界になります)、積分と微分の値をそれぞれ調整することができます。前者は、正しく行われれば、発振率をほぼゼロまで制限し始め、後者は、設置されたシステムと装置に最適な設定が近づくにつれ、応答速度が上がります。

    試行錯誤に代わる方法として、ジーグラ・ニコルス法があります。この方法では、連続循環と減衰振動の両方を閉循環システム下で観測します。しかし、この方法には限界があり、多くの操作者は望ましい結果を得るために試行錯誤を行うほうが良いと考えています。

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    Jumo

    JumoのPID温度コントローラについて詳しくは、以下をご覧ください。

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