SoCの歴史
集積回路の起源は1952年まで遡ります。電子機器の進化は、集積回路と並行して行われました。
第二次大戦後には大量生産の時代が到来し、より高速で便利な機器への需要が急速に高まりました。しかし、それらの機器を新たに製造することは時間と費用がかかることから、既存の製造工程に共通する部分も多く、基本的な素子を装備した集積回路の使用が推奨されました。
その結果、集積度を一層向上させたLSI(Large Scale Integrated)が開発されました。LSIはコアとしての機能を果たすことができましたが、メモリやマザーボードなどの機能は備えておらず、それらは別に準備して組み合わせる必要がありました。このため、その利用範囲は限定的でした。
しかし、1980年代に突入すると集積回路の進化は著しくなり、ワンチップマイコンの出現とともに、特定の目的に合わせたカスタムLSIが広まり始めました。
カスタムLSIは、特定の目的のために設計されたゲートアレイで、ベンダーが必要な回路を半導体ウェハーに格子状に取り付け、ユーザーが配線を施すことで、個々の回路を具現化します。
これらのLSIは、特定の目的に特化して作られるため、汎用性はあまり高くありませんが、その目的に特化した集積回路となっているため、一度製造プロセスを終えると大規模な生産に利用することが可能です。
高性能で速度が速く、しかも消費電力が少ないというメリットがあり、社会の要求に対応する形で素早く進化してきました。この時代に誕生したカスタムLSIは、特定用途向けLSI、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)とも称されます。
時間が経過するとともに、技術の進化により回路構成がより高度になり、高集積化された製品が市場に登場するようになりました。
そして1990年代に入ると、複数の集積回路を組み合わせて一つのシステムを形成するのではなく、チップ上に各種の回路を組み込み、配線し、一つのシステムとして作動させる試みが始まりました。
これが後のSoCの誕生につながっていくのです。