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      • 発行日 2023年12月21日
      • 最終変更日 2023年12月21日
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    SoCとは?その用途やメリット、デメリットについて詳しく解説!

    SoCは、System on a chip(システム・オン・チップ)の頭文字を取ったものです。半導体の中でも、特に機能の集約度や搭載部品の種類などが多岐にわたるものが、SoCと呼ばれます。当記事ではSoCのメリットとデメリット、用途について詳しく解説します。

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    SoCとは

    SoCとは、System on a chip(システム・オン・チップ)という言葉を略したもので、その名の通り一枚の基板(チップ)上に、様々なシステム機能を統合した半導体製品を指します。

    その中でも特に、機能の統合度や取り付けられた部品の種類と密度に注目した際に、一つの完全なシステムを形成しているものがSoCに該当します。

    ここでいう完全なシステムとは、プロセッサコア、マイクロコントローラ、さらにはその他の機能を含みます。

    SoCの特性は、特定のシステムを構築するために必要な全ての要素を搭載し、その上で単独のシステムとして動作するよう設計されている点にあります。これにより、全体の効率化と高度化が可能となっています。

    SoCに関する商品一覧についてはこちらをご覧ください。

    SoCの概要

    集積度が進化したSoCは、かつてのLSIやASICでは実現できなかった、シングルチップによるシステム運用を可能にしました。

    具体的に搭載する機能は用途ごとに違いますが、組み込みCPU、マイクロコントローラ等があります。

    たとえば、スマートフォンのSoCを見てみると、中心となるCPU、画像処理を司るGPU、アナログ信号をデジタル信号に変換するDSPが組み込まれています。

    これらの機能を一つに集約したものがSoCです。ただし、スマートフォンはメーカーにより搭載されるSoCが異なり、どのSoCを組み込むかは競争相手との差別化になるので、開発競争が激しくなっています。

    SoCの歴史

    集積回路の起源は1952年まで遡ります。電子機器の進化は、集積回路と並行して行われました。

    第二次大戦後には大量生産の時代が到来し、より高速で便利な機器への需要が急速に高まりました。しかし、それらの機器を新たに製造することは時間と費用がかかることから、既存の製造工程に共通する部分も多く、基本的な素子を装備した集積回路の使用が推奨されました。

    その結果、集積度を一層向上させたLSI(Large Scale Integrated)が開発されました。LSIはコアとしての機能を果たすことができましたが、メモリやマザーボードなどの機能は備えておらず、それらは別に準備して組み合わせる必要がありました。このため、その利用範囲は限定的でした。

    しかし、1980年代に突入すると集積回路の進化は著しくなり、ワンチップマイコンの出現とともに、特定の目的に合わせたカスタムLSIが広まり始めました。

    カスタムLSIは、特定の目的のために設計されたゲートアレイで、ベンダーが必要な回路を半導体ウェハーに格子状に取り付け、ユーザーが配線を施すことで、個々の回路を具現化します。

    これらのLSIは、特定の目的に特化して作られるため、汎用性はあまり高くありませんが、その目的に特化した集積回路となっているため、一度製造プロセスを終えると大規模な生産に利用することが可能です。

    高性能で速度が速く、しかも消費電力が少ないというメリットがあり、社会の要求に対応する形で素早く進化してきました。この時代に誕生したカスタムLSIは、特定用途向けLSI、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)とも称されます。

    時間が経過するとともに、技術の進化により回路構成がより高度になり、高集積化された製品が市場に登場するようになりました。

    そして1990年代に入ると、複数の集積回路を組み合わせて一つのシステムを形成するのではなく、チップ上に各種の回路を組み込み、配線し、一つのシステムとして作動させる試みが始まりました。

    これが後のSoCの誕生につながっていくのです。

    SoCのメリット

    SoCのメリットは以下の通りです。

    小さくて軽い

    現代社会では、様々なデバイスがますます小型化し、持ち運びが容易な形に進化しています。たとえば、インターネットに接続できるパソコンの機能すら、スマートフォンという小型デバイスの中に収納されています。

    このような背景の中で、小型化と軽量化のトレンドに対応するためには、SoCは不可欠な存在です。

    部品数を削減できる

    SoCの利用により、電子機器内で使用する半導体チップの総数や配線を減らすことができます。結果的に、プリント基板の大きさも小さくなり、完成品となった時点での製造コストを抑えることができます。

    さらに、部品の数が少なくなることで検査の頻度や故障発生率も下がり、大量製造時の管理も容易になります。

    動作が速くなる

    SoCは、その名の通り一つのチップ内部でシステムが構築される特性があり、これは複数のチップを基盤上で連携させてシステムを形成する従来の集積回路とは異なる点です。

    配線が不必要で、信号伝送における配線距離による時間的遅延がなくなるので、高速な動作が可能となります。

    省電力を期待できる

    多くの部品をSoCに集約することは、電力の使用量や発熱の抑制にも効果的です。ICチップ間の電流が減るため、消費電力や発熱量を抑えることができます。

    これはエネルギー効率を向上させるだけでなく、運用コストを抑える効果もあります。特に、バッテリーを用いて動作するスマートフォンやタブレットなどのデバイスにとっては大きな効果を発揮します。

    SoCのデメリット

    SoCのデメリットは以下の通りです。

    時間とコストがかかる

    SoCは、一旦製作されてしまえば利用するのは容易ですが、多機能な回路の設計や製造は決して簡単な作業ではありません。このため、新たに製品を開発する際には、市場投入までの期間が長引いたり、SoCの購入に高額な費用がかかったりする場合があります。

    また、多くのLSIと同様に、製造はベンダーに依存しているため、仕様変更は容易ではありません。少しだけ変更を加えたい場合でも、再度ベンダーに依頼を出す必要があり、それに伴って追加のコストや時間が必要になります。

    この製造コストの増加は製品価格の上昇となり、価格競争が求められる各メーカーにとって、コストパフォーマンスの向上は大きな課題となっています。

    汎用性に乏しい

    製造業者への依頼が必要となるSoCは、その特性上、度々の仕様変更を必要とする用途向けではありません。そのため、仕様変更の頻度が少ない環境でSoCを適切に活用するとよいでしょう。

    また、SoCは完成後に部品を部分的に交換することができないため、その拡張性は限定的です。つまり、その用途は作成したシステムが対応可能な範囲で限定されます。このような観点から見ると、SoCは特定の目的に対して使用する際に最適な選択となります。

    違う電圧の回路をまとめにくい

    異なる電圧を持つ回路を設計する際には、これらが混在しないようにきちんと分ける必要があります。しかしながら、収容するスペースが小さくなればなるほど、その分け方の難易度は増します。

    一般的には、高電圧用のチップと低電圧用のチップは別々に作られているので、一つのSoCに高電圧と低電圧の回路を問題なく含めることは困難であるといえます。

    SoCの用途

    SoCは以下のシステム、機器に使用されています。

    Iotデバイス

    IoTデバイスには、センサーや通信機能、データ処理などの要素が欠かせません。そこで登場するのがSoCです。

    小型で消費電力が低いにも関わらず、高度な機能と通信力を備えています。その活用例として、スマートホームのデバイスやセンサーノード、ウェアラブルデバイスなどがあります。

    モバイルデバイス

    モバイルデバイスと呼ばれるスマートフォンやタブレット等では、SoCが重要な役割を果たしています。SoCにより、プロセッサーやグラフィックス処理、メモリ、通信機能、センサーといった多様な機能が一つの集積回路上で統一されて動作します。

    ネットワーク機器

    ネットワーク機器という領域でも、ルーターやスイッチ、更にはネットワークセキュリティ装置などにおいてSoCが活用されています。これは高速なデータ処理や通信機能の統合を可能にし、それが結果として高性能なネットワーク機器を作り出すことを可能にしています。

    組み込みシステム

    SoCは組み込みシステム全般で幅広く活用されています。自動車から家電製品、産業制御、そして医療機器に至るまで、多種多様な組み込みシステムでSoCが使用されています。これにより高度な機能の提供やリアルタイムでの処理が可能となっています。

    自動車制御システム

    自動車の領域では、SoCが車載システムの心臓部として機能しています。車両の管理から運転支援システム、エンターテイメント、通信といった様々な要素がSoCにより一元的にコントロールされており、これが運転の快適さや安全性の向上に寄与しています。

    SiP技術がいま注目を浴びている

    SoCの一部の欠点を補うものとして注目されているのがSiPという技術です。SiPは、System in Packageの略であり機能が異なる何個ものチップを一つにまとめた半導体製品を示します。

    市場が更なるミニチュア化を求める中で、SoCと同じくSiPもその要望に応える重要な役割を果たしています。その理由としては、SoCが一つのICに多くの素子や回路を組み込んでいる一方で、これらの素子や回路はしばしば製造過程やメーカーが異なるためです。

    SoCの作成時には、これが時間や費用を増加させる大きな要因となります。特に、組み込むのが難しい特殊な回路がある場合、これらを強引にまとめると、ウェハーが不必要に大きくなるか、設計上の問題が発生する可能性があります。

    そこで、一つのウェハーをむりやりチップ化するのではなく、各々の素子や回路を個別のICに実装し、それらをパッケージングするSiPの手法が提案されました。

    SiPを活用することで、各種の素子や回路を自由に実装することが可能となり、デジタル回路とは製造工程が大幅に異なるアナログ回路や大容量のメモリも同時に搭載することが可能となります。

    しかし、これによってSoCが不要になるわけではありません。大量生産品に対してはSoCが安価で効率が良いため有効であり、場合によってはSoCとSiPを組み合わせて利用することもあります。

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    まとめ

    SoCとは、System on a chip(システム・オン・チップ)という言葉を略したもので、その名の通り一枚の基板(チップ)上に様々な半導体などの部品を取り付けたものを指します。

    これは電子デバイスの小型化や軽量化に大きく寄与しているだけでなく、機械的な構造が少ないため、高速性や省エネ性にも効果を発揮しています。

    SoCの技術はスマートフォンなどの電子デバイスの小型化に大いに寄与しました。SoCが存在しなかった場合、我々が今日利用しているコンパクトなスマートフォンやモバイルルーターなどは存在せず、その機能も制限されていたことが考えられます。

    SoC技術は、更なる多機能化、小型化、高性能化が求められる市場の主役として、これからもその動向から目が離せません。

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