IO-Linkとは
IO-Linkは国際的に標準化されたI/O信号処理テクノロジーであり、IEC 61131-9により記述され、150社以上が参加する団体によってサポートされています。加盟企業のオートメーション・コントローラー、センサー、および接続デバイスは、IO-Link規格に準拠しています。IO-Linkテクノロジーは、汎用性がありスマートで使いやすいのが特長です。異なるベンダーの製品が互換性を持ち、接続は標準化されています。
IO-Linkテクノロジーはポイント・ツー・ポイント通信で、フィールドバスなどのネットワークではありません。IO-Linkの「マスター」は、複数の標準的なI/OまたはIO-Linkフィールド・デバイスと対話できるデバイスです。一般的なIO-Linkアーキテクチャーは、より上位のコントローラーがフィールド・デバイスと対話できるように、マスターを使用して情報をフィールドバスに送ります。一部のベンダーは、複数の標準I/Oデバイスを接続して1つのIO-Link接続に統合するIO-Link I/Oモジュールを提供しています。
IO-Linkプロトコルのデータ転送レートは、4.8、38.4、または230.4kBaudで、それぞれ双方向通信です。マスター・デバイスはすべての速度をサポートしますが、フィールド・デバイスはいずれか1つの速度でしか動作しません。各デバイスの性能によりますが、デバイス1台あたり最大32バイトの入出力データを転送できます。制限はありますが、IO-Linkでは数十台から数百台のデバイスを接続できます。
IO-Linkデバイスの接続は差し込めば配線できるタイプで、ほとんどが標準のM12 5ピン・コネクターを使用します。コンポーネントはIP65、IP67、IP69の定格で提供されており、かなりコンパクトなので、装置の近くまたは装置上に設置できます。
接続クラス(接続タイプとも言います)は2種類です。接続クラスは一般的に交換できますが、ピン2とピン5のデバイス固有の用途は評価が必要です。フィールド・デバイスには最大200mAを供給できます。
クラスAデバイスは、3本のピンしか必要ありません。ピン1はDC +24V、ピン3はDC 0V(接地)、ピン4は通信ピンです。
クラスBデバイスも同じようなピン配列ですが、フィールド・デバイスでより高い出力が必要な場合は、ピン2(DC +24V)とピン5(DC 0V)で独立した出力と接地を提供します。
IO-Linkを使用する理由
IO-Linkは多くの利点を提供します。IO-Linkはモジュール方式で拡張性が高く有線システムとの下位互換性に優れています。現在非常に多くのIO-Linkデバイスが出回っているため、ユーザーは新規プロジェクトでIO-Linkシステムを気軽に試すことができます。また、設計、試運転、信頼性、およびメンテナンス面で利点があり、これらすべてにより、IO-Linkを使用したオートメーション・システムの導入で以下のようにコストを削減できます。
- メーカーに依存しないため、選択肢と利用可能なデータが増える
- 配線が減るため、費用を節約できダウンタイムを削減
- モジュール方式で高い拡張性と電気ノイズ耐性を実現
- アナログ値をデジタルで送信
- ソフトウェア構成により立ち上げが高速化され、インストール時間を短縮
- リモートでの構成とモニタリングが可能
- シンプルなプラグ・アンド・プレイ
- 予防保守に対応、高度診断の増加
さらに、ハイブリッドなソリューションは、さらなる利点を得るために追加のデジタル通信を重畳しながら、標準的な産業用の有線接続を維持します。データ・レートはEthernetの足元にも及びませんが、大部分の産業アプリケーションではそれで充分です。
![io-link io-link](https://jp.rs-online.com/euro/img/global/st/138204/io-link-1.png)
アナログ信号を重畳する方法としては、HART(Highway Addressable Remote Transducer)テクノロジーが長年利用されてきましたが、HARTより新しい類似テクノロジーであるIO-Linkは躍進を遂げています。標準的なI/O配線でデジタル通信を重畳するため、ユーザーは信頼できる高性能I/O接続を経済的に導入できます。さらに、IO-Link接続により、従来のディスクリート・センサーもアナログ情報を送信できるようになります。