学生たちに発想する機会と歓びを。
ものづくりの未来を支えるRSのラズベリーパイ。
筑波大学 システム情報系
情報工学域
山際 伸一 准教授
学生たちの発想を広げるラズベリーパイ
筑波大学の講義室を訪れると、数名の学生が名刺大の小さな電子機器と格闘していた。今IT業界で注目を集めている英国の超低価格パソコン「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」だ。約8.6cm×5.4cm。手のひらに収まる小さな基板の中にグラフィックス機能や出力端子、無償基本ソフト(OS)「リナックス」が搭載され、価格は3,000円を切るというから驚く。
「筑波大学では、文部科学省などと連携して実施する人材育成事業『enPiT BizApp (http://bizapp.enpit.jp/)』で、関連基礎科目「組込みプログラム開発」にラズベリーパイを採用しています。」と説明されるのはシステム情報系 情報工学域 山際准教授。
ラズベリーパイは、英ケンブリッジ大学が支援するラズベリーパイ財団が、「世界の学生や子どもに手軽なIT環境を提供する」目的で開発し、2012年春に発売。世界で200万台のヒットを記録している。日本での販売においては、RSが正規代理店を担い、企業・教育機関が調達でき、日本でも広がり始めている。
ラズベリーパイをつかった
「組込みプログラム開発」の講義風景
「現在では指先ひとつでデバイスを操り、生活を豊かにしていくさまざまなビジネス・ソリューションが開発されています。その技術に応える基本構築技術、組み込みプログラム技術を学ぶために、ラズベリーパイとタブレットを使ってアプリ開発から行うのですが、学生たちは創造を超える面白いアイデアを考えてきます。」
たとえば、ラズベリーパイとロボット型掃除機の組み合わせ。「前に進め」と言うと前に進み、「歌え」と言えば歌う。「キレイにして」などキーワードに自動応答して掃除を始めることもできる。また監視カメラと連動させ、人を感知すると前後5秒間の映像をメールで送るなど、製品顔負けのアイデアが集うという。
最先端の研究のそばにRSのサービス
ラズベリーパイが柔軟な発想を導くことができるのは、小さな基板に収められる高機能だけではない。その低価格にも秘密がある。
「導入コストが抑えられることはもちろんですが、低価格だと壊れることの恐怖心をぬぐいさり、学生たちの発想の幅を広げることができます。壊れても惜しくないから、思い切りやるようアドバイスすると、学生たちは驚くようなアイデアを持ってくるんです。もちろん、ラズベリーパイは頻繁に壊れることはありません(笑)。」
現在、山際准教授が取り組まれる研究は、高性能ストリーム・コンピューティング環境の構築。これは、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業である「さきがけ」に採択されたもので、人の社会活動にリンクするセンサから時々刻々と生成される高精細なデータストリームを、スパコン(上の写真右側)などで動作確認した計算をそのままコンパイルしてハードウェア化するというもの。この新しい計算基盤技術はこれまでできなかった応用を可能にする、と意気込む。例えば、スポーツといった身体運動を高速処理し、技能の点数づけができるようになる。また、サッカーの試合で選手の位置情報をリアルタイムに解析し、“5秒後にゴールが生まれる”ことを予知できるテレビなども実現できるという。社会に新たな知を創生するという目標に向け、准教授の挑戦はこれからも続いていく。
そうした日々の研究を支えているのが、RSのサービスである。「ラズベリーパイだけでなく、マニアックな部品が揃っていたり、各種評価キットが充実している点も役立っています。RSとは学生の頃からですから、もう15年来の付き合い。ポルトガルのリスボンで研究員をしていた頃も、RSの部品調達の早さにずいぶん助けられました。」
最後に、山際准教授は学生たちの未来についてこう付け加えられた。「今の学生たちは、ものをつくる機会に恵まれないだけで、みなポテンシャルを秘めていて、“喜んで使ってもらいたい”というおもてなしの心を持っている。そんな開発の機会や楽しさを広げていくのが、教育の役目ですし、それこそが世の中に新しいものを生み出す近道になるのだと思います。」
お客様の声
- 製品の生産を可能にした産業用3Dプリンタ。その開発と現場のニーズに応える、RS。
- 大いなる可能性を秘めた、小さなデータ収集システム。開発現場で活きるRSのラズベリーパイ
- “超臨場感コミュニケーションシステム”。その最先端の技術を支えるRSのユーザビリティ
- FA機器なら、RS! あらゆるFA環境をサポート
- FA機器なら、RS! 船舶通信、環境対策をサポート
- 学生たちに発想する機会と歓びを。ものづくりの未来を支えるRSのラズベリーパイ。
- 被災建物内探査システム「ロボ・スコープ」。レスキューの未来を見つめる開発のそばに、RS。
- ロボット大賞を受賞した自律型海中ロボット。そのエマージェンシー対策に、RSの部品が貢献。
- 未来の車をつくるクラウド・ロボカー。RSの部品も、その夢とともに走り続ける。
- 宇宙開発の可能性を広げる、超小型衛星。小型化という革新に貢献したRSのデバイス。
- 人の代わりに活動する原発対応ロボット。その開発を支援する、RSのサービス。