製品の生産を可能にした産業用3Dプリンタ。
その開発と現場のニーズに応える、RS。

武藤工業株式会社 3Dプリンタ事業部
東京開発部 第四開発チーム

大柏 宣栄様

これまでの概念を変える産業用3Dプリンタの開発

1953年、日本初のアーム式の設計製図機器「ドラフター」を生み、その後CADに先駆けたプロッタの進化の源となった自動製図機や、グラフィックアーツの世界に新しい価値をつくりだした日本初の屋外大型インクジェットプリンタ「ラミレス」など、業界のパイオニアとして日本のものづくりを支え続ける武藤工業株式会社。同社のさらなる事業展開の一翼を担うのが、今、生産分野でも注目を集めている大型3Dプリンタだ。その中でも今回は、リリース間近の「樹脂容触型3Dプリンタ」の開発者である3Dプリンタ事業部 東京開発部 第四開発チーム 大柏宣栄様にお話しを伺うことができた。
「3Dプリンタと言えば試作や製品の形状確認向けと思われがちですが、実はその設計の自由度は非常に高く、1点からカスタマイズした製品を生産することができます。もちろん、材料を一層ごとに積み上げて作成するために、金型による成形加工の必要もありません。さらに樹脂容触ですから、金属やレーザータイプに比べて導入コストを抑えることができ、その用途はますます広まっています」

樹脂容触型3Dプリンタの特徴は、新開発の“タフヘッド”(特許出願中)の採用により、300℃という高温でのオペレーションが可能になったこと。これにより、生産に対応できるタフ構造汎用樹脂からエンジニアリングプラスチックまでの出力ができるようになった。さらに、エンジニアリングプラスチックの造形に堪えられる造形テーブル(特許出願中)の開発や、500mm立法という大型のディメンションによる高速造形など、最先端の機能が惜しげもなく凝縮されており、たとえば写真のパイロンのような大型の造形物でも短時間でつくることができる。

「3Dプリンタの性能の決め手は、プリンタヘッドです。通常の3Dプリンタはカートリッジ式が多いのですが、それでは局所しか温めることができません。そこでアルミや真鍮、ステンレスなど、さまざまな素材や配合を検証した結果、たどり着いたのが熱伝導性・耐熱性に優れるベリリウム銅だったのです」と大柏様は開発の経緯を振り返る。

※エンジニアリングプラスチック:強度・耐熱性・耐摩耗性にすぐれ、機械部品・電気電子部品などに用いられるプラスチック。

RSの幅広い製品群がFA現場での利便性も向上

RSの部品が使用された試作用の制御基板

ベリリウム銅の採用はプリンタヘッドの可能性を大きく広げたが、同時に120Wにもなる電力への対応や、ヘッドとセンサーの感度調整、さらには造形テーブルとのマッチングなど、新たな課題も生んだ。そのほとんどがこれまでなかった新しい技術、さらにすべてを同時進行で研究しなければならなかったために、毎日がトライ&エラーの繰り返しだったという。

「試作用の制御基板には電子部品はもちろん、リレースイッチ類DC-DCコンバータなどのFA用の部品も使用しています。新たな開発だけに、どうしても途中で必要な機能が出てきてしまうのです。すぐに調べられて、その都度その都度対応できるRSはとても助かりました」と大柏様。新規開発は苦悩が多いが、その分、新しいものを見つけていくことができる。そうした発見の積み重ねが、3Dプリンタ開発の成功につながった。

さらに、RSのメリットは、開発用の制御機器だけに留まらないという。同じく近日リリースを予定されている「アーク溶接金属3Dプリンタ」では、機材を組み込むためのBOXやパトライトといったRSのFA部品も数多く組み込まれている。「部品がすぐに届くというRSのサービスは、たとえば納品先のFA現場のお客様にとっても役立つものだと思います」と大柏様からうれしい言葉をいただいた。

グローバル化や効率化の追求により、長く苦境に立たされると言われる日本のものづくり。しかし、この産業用3Dプリンタには、「日本のものづくりを根本から変えるようなものをつくりたい」という大柏様の熱い思いが込められている。近い将来、3Dプリンタによる日本のものづくりの変革を目にすることができるだろう。

ユーザー登録はお済みですか?

RSオンラインにユーザー登録していただくと新商品、お得なセール情報等を定期的にお届けします。

ユーザー登録(無料)はこちら

お客様の声

RSをご利用いただいている、お客様の声を集めました。

バックナンバーはこちら

クイックオーダー

お問合せ先

045-335-8888

ご意見・ご要望はこちら