産業電気安全ガイド
本ガイドでは、工場や他の産業環境における電気機器の危険についてみていき、それらのリスク管理の推奨方法及び従業員や請負、訪問者の健康と安全を守る方法について説明いたします。
電気の危険性と安全
ほぼすべての工場または作業場では、何かしらの電気機器が使用されています。メンテナンスが適切にされていない場合、それらの機器が深刻な事故を発生させる場合があります。機器が大きく、強力であるほどそのリスクは高まりますので、電気安全の措置がますます重要になってきます。
作業場の安全を確保するため、すべての電線と回路に対して適切かつ完全な定期調査を行う必要があります。これが、従業員を感電から守るための最も有効な方法といえるでしょう。
電気安全はどうして重要なのか
電気は危険です。こぼれた液体や湿った表面などに対してアークを発生させる場合もあります。火災を発生させたり、可燃性物質やガス、埃を発火させたりすることもあります。これにより、機器と建物に深刻な問題を与えることになります。感電は、火傷を生じさせたり、心臓の鼓動に影響を与える場合があります。それが致命的な結果となる可能性もあります。
感電の症状には、頭痛、痺れ、めまい、不整脈、けいれん、発作などが考えられます。
比較的軽い感電でも深刻な怪我を招くことがあります。例えば、重たいものが落ちてしまったり、作業者が梯子から落ちてしまったりするなどです。
感電の人体への影響
産業電気による感電の人体への影響は、電流の強さや体内を流れる時間により変わります。次のように人体に全く影響のない感電もありますが、やけどや死亡事故につながる可能性もあります。【電流値ごとの感電の人体への影響】
・0.5mA~1mA:人体への悪影響はなく電気を肌で感じる程度
・5mA:人体への悪影響はないが電流による痛みを感じる
・10~20mA:電流による筋肉の収縮により運動能力が低下する
・50mA:呼吸器や人体の構造への影響、疲労・痛み・気絶・心肺停止などの症状が起こり得る
・100mA:不整脈や心肺停止が起こり得る危険性の高い状態
上記のように、人体に通過する電流量が0.5~1mAと少量であれば、いわゆる「静電気」のような感覚を抱くだけの危険性のない感電ですが、50mA以上の電流が人体に流れると、心肺停止の危険性も伴う危険な感電です。
人体に流れる産業電気の量が大きく、通過時間が長いほど、感電による人体への影響は危険性が高くなります。
日本における電気安全に関する法律
日本には電気安全に関する法令も制定されており、事業者は法令に沿った措置を講じなければなりません。「労働安全衛生法」では、電気や熱により発生する事故を予防するため、次のような措置を取ることが義務付けられています。・感電予防のため囲いをしたり、絶縁を覆うこと
・漏電遮断器もしくは外枠などの設置
・操作部分に一定の明るさを確保すること
・損傷・老化した配線や電線には必要な措置をとること
・湿った場所では絶縁効果の高い電線などを用いること
・電気工事の際には監視人を設置して作業場所の施錠をすること
・器具で停電を確認してから電気工事作業を行うこと
・電気工事中は絶縁防具・感電防止柵を用いたり充電電路を移したりすること
また、労働安全衛生法以外でも、「電気設備に関する技術基準」で感電や火災を予防するために、絶縁性能や電気を使用する器具の設置方法などが決められています。事業者はこれらの法律を遵守し、電気による火災・感電などの事故を未然に防ぐための対策を取ることが必要です。
以上が電気による火災・感電を予防するための法令として代表的なもので、事業者はケースに応じて必要な措置を取らなければなりません。
仕事における電気安全:チェックリスト
仕事における電気安全の重要な原則は次になります:
活きた電気に気を付ける - 活きている回路に触れると致命的な結果を招きかねません。 | |
機器の定期検査を行う - すべての電気機器に対して、定期的に検査をして「本当に安全に使用できるか」を確認する必要があります。ケーブルは適切にシールされ、絶縁されているでしょうか。また、修理や交換が必要ではないでしょうか。 | |
正しいトレーニングを確保する - 業務で電気機器を使用する人は、それを安全に取り扱う方法を理解している必要があります。十分な技術及び訓練経験がない場合は、電気機器の修理を行うべきではありません。 | |
コンセントや延長ケーブルの過負荷を避ける - 火災につながる恐れがあります。 | |
クリーニングや調整を行う前に使用後は機器の電源を切ってください。 | |
壁に穴をあけたり、くぎを打ち込んだりする前にケーブルが隠れていないかをチェックしてください。 | |
明らかに壊れている機器の使用は即刻停止し、資格のあるスタッフにチェックを依頼してください。 | |
使用中のすべての機器がその目的に適していることを確認してください。また、定期点検及びメンテナンスを通してその状態が維持されていることを確認するようにしてください。 |
産業ごとに使用されている電気機器の数と規模は異なりますが、これらの原則は基盤であり、病院や工場、オフィス、倉庫で同じように適用されます。
電気安全製品
以下の安全製品は、機器オペレーターや従業員を感電やそれに関連するリスクから守るために多くの産業企業で使用されています。
電気安全マット
絶縁マットまたはスイッチボードマットとも知られています。電気マットは高電圧の放電から一定の保護を提供してくれます。絶縁ゴムでできており、危険性のある機械やスイッチボードの近くに配置されます。
電気安全工具キット
電気安全ツールキットは電気技師及び資格を持つ専門家が電気機器の試験及び修理を行う際に使用されます。
絶縁されているVDE認証のツールは感電のリスクから守るために設計されていますので、電気関連の作業に最適です。
絶縁抵抗計
絶縁テスターは、ケーブルやモーター、スイッチ、発電機などの機器内の電気の流れを監視するために使用される携帯デバイスです。絶縁ケーブルから漏れ出した電気はフィードバックされて機器に干渉します。
アース/接地テストブロック
接地端子台またはアース端子台とも呼ばれるアースブロックは、放電や地場から身を守るためにケーブルや電線を安全に接地するために使用されます。一般的には、ねじまたは圧着で固定されます。
漏電遮断器 (RCDs)
漏電遮断器(RCD)は、電線の露出、接地不良、または過加熱などの不具合が発生した場合に電気を自動的に受け流し、人の命を救います。イギリスではResidual Circuit Breaker (RCCB)と呼ばれ、アメリカではGround Fault Circuit Interrupter (GFCI)と呼ばれています。
電気安全のサイン・ポスター
結論
安全への近道は有りません。慎重な計画、徹底的な訓練、信頼性の高い機器が不可欠になります。従業員の健康と安全は重要ですので、手を抜くことはできません。RSコンポーネンツのような信頼性が高いエキスパートから安全機器を入手するようにしましょう。