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メモリICの今後の動向について

Mark Cundle氏

半導体分野で共通化している製品があるとすれば、それ はメモリです。 半導体分野で最も話題性が高いのもメ モリであることは間違いありません。 多くの場合、そのとき最 も需要の高いDRAMチップの平均販売価格の上昇または下 落が、半導体市場全体の指標として引き合いに出されます。

市場とメーカー

商業的な側面に目を向けると、現在の半導体市場規模は年間およそ3000億ドルであ り、その多くの部分をメモリチップが占めています。ただし、そのシェアは年によって大 きく変動します。 メーカーが半導体市場にとどまるためには高いコストが必要となり、利 幅は年々狭くなっており、多くの場合、市場リーダーでもない限り、収益を上げられるの はよい年だけです。 半導体業界では主要メーカー(5 %以上の市場シェアを持つ企業) の数は減少しており、過去10年間ではメモリサプライヤの大規模な合併が複数件発生 しています。 主要メーカーの数はまずDRAMメーカーの間で減少し、ここ数年では不 揮発性メモリ(多くの場合はフラッシュメモリ)の主要メーカーの数も減少しています。

プロセス、アーキテクチャ、インターコネクト

技術的な側面に目を向けると、メモリチップ開発における大きな課題としては、高性 能化するマイクロプロセッサに後れを取ることなく、より高速で低消費電力メモリ を提供しなければならない点が挙げられます。 厳しさが増す中、メモリメーカー はアーキテクチャの改善と、より小型のプロセスノードへの移行を余儀なくさ れています。シリコンプロセス開発において、真っ先に改善を迫られるのは、 これまでも常にメモリでした。 製品の小型化需要に対応するため、DRAM の主要メーカーはいまや30 nmプロセスノードで製造をしており、一部の メーカーは25 nmプロセスでのサンプル出荷を始めています。 SSD(ソ リッドステートドライブ)、USBフラッシュドライブ、及びマルチメディアメ モリカードへのデータストレージで最も一般的に使用されるフラッシュ メモリであるNANDフラッシュについては、主要メーカーは、20~30 nmのプロセス技術を使用して64 Gbitメモリの製造を開始しています。

3次元メモリ技術の重要性が増す中、メモリのアーキテクチャや構 造に関しても技術革新が求められています。技術プロセスレベルで は、3次元構造のDRAMメモリセルが構築されており、シリコンダイ レベルでは、TSV(Through-Silicon-Via: シリコン貫通ビア)接続 によりDRAMダイが積層化され、高密度を実現しています。 優れた 耐久性と信頼性を備えた、垂直ゲート構造の3次元NANDフラッシュメ モリの高度な開発が、来年あたり実現する可能性が高まっています。

半導体業界が直面するもう1つの課題としては、次世代型の高スループ ットのインターコネクトの規格が挙げられます。 2011年初め、JEDEC がユニバーサルフラッシュストレージ(UFS)に関する規格を発表しまし た。この規格は、組み込み型及びリムーバブル型のフラッシュベースのメ モリストレージに関する最も高度な仕様となるよう作成されています。この規格は、高性能及び低消費電力を必要とする モバイルアプリケーション及びコンピューティン グシステム向けに特別に作成されています。

フラッシュ - 成長及び代替製品

現在、タブレットやスマートフォンなどのスマートモバイ ルコンシューマデバイスで使用する高速かつ低消費電力 メモリに対する需要増が主因となり、フラッシュ市場は堅 調に成長しています。 市場調査会社IHS iSuppliが発 表した2010年のデータによると、今後数年間はNAND フラッシュがモバイルアプリケーションにおける主要な メモリ技術となります。 2011年のモバイル製品のメモ リ収益全体の約半分をNANDフラッシュが占め、約1/3 をDRAMが占め、残りをNORフラッシュメモリが占め ると予測されていました。 それでも、かつてないほど高 密度のストレージ容量を実現している従来のハードディ スクドライブの役割が軽減することはありません。また、 ポータブルコンピューティング、サーバ、またはモバイル コンシューマ市場から撤退する予定も当分ありません。

フラッシュは現在でも拡張し続けているため、今すぐに他 の製品にとって代わられる可能性は低いですが、現在開 発されているメモリ技術の中で最も興味深いのは、遠い 将来スタンドアロン及び組み込みアプリケーション向け フラッシュの代わりとなり得る各種製品でしょう。 主要メ ーカーは、書き込み/読み取り時間が100倍速くなること や、書き込みサイクルの耐久性が大幅に強化されるなど、 フラッシュに対する優位性をいくつか主張しています。

相変化メモリ(PCM)では、PCM内のガラスに似 た材料にさまざまなレベルの電流を流すと、材料 の物理的構造が結晶相とアモルファス相の間を行 き来し、データが生成されます。 さまざまなレベル の電流を流すことができるため、PCMではセル 当たり1ビット以上のデータを保存できます。

強誘電体ランダムアクセスメモリ(FeRAMまたは FRAM)は、DRAMと同様の機能を持ちます。つまり、 読み取りと書き込みの両方の操作で各ビットにランダム アクセスできます。 強誘電体材料を使用するセルコンデ ンサを持ち、電界を与えることで材料を分極できます。

磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)及びSTTMRAM( スピン注入トルクMRAM)と呼ばれる第2世 代MRAMは磁気記憶素子を使用します。 MRAMは フラッシュメモリだけでなく、DRAMメモリやSRAM メモリにとって代わる技術となる可能性があります。

抵抗RAM (RRAM)技術は、抵抗素子を2つの安定 した抵抗状態(低/高)の間で切り替える電気スイッチ ング(電流または電圧誘起)に基づいています。 調査 機関のIMECは、11 nmの積層構造のRRAMが市 場投入される可能性があると予測しています。 IMEC は、17 nm及び14 nmノードのSONOS (シリコン-酸 化膜-窒化膜-酸化膜-シリコン)フラッシュを経て、フラ ッシュが20 nmにまで拡張すると考えています。

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