Untitled Document

RSからの技術記事とお知らせ

RSのご利用は初め
てですか?

RSオンラインにご登録いただくとRSより最新の製品及び技術情報をお届けします。

ワイヤレス電力伝送の成長の可能性

無線電力伝送は、実際には100年以上前から知られているコンセプトで、 テスラコイル回路の発明にまでさかのぼります。 無線電力伝送コンセプト または電磁誘導方式の実現性は、おそらく電動歯ブラシの家庭用セッティングで 頻繁に見受けられるでしょう。 しかし、最近ではその他数多くの用途にも適 用されており、多くの企業がさまざまなユーザを開拓しています。

無線電力伝送の評価指標は効率性です。発電 機により送電されるエネルギーが損失なくレシ ーバに到達すれば、効率的なシステムと言えま す。 近距離の無線電力伝送に使用できる方法 には、電磁誘導方式と電磁界共鳴方式の2つの タイプがあります。ほとんどの磁束がコイル間 でリンクされないため、磁界が急速に減衰する ため、一般的に電磁誘導方式は効率性が低く、 比較的近距離での伝送で実現可能です。 共振 の拡張バージョンである電磁界共鳴方式は、効 率性が高く(最大95 %)、数メートルの比較的 長い距離でも有効です。コイル間でエネルギー 伝送が可能なため、コイルの使用によりエネル ギー損失が大幅に減少することが理由です。

電磁誘導方式

電磁誘導方式では、構成時に互いに誘導結合 されるか磁気で結合される2つのコンダクタコ イルを使用して、電磁誘導を使用します。すな わち1本のワイヤの電流の変化が他のワイヤ の末端で電圧を誘導します。コイル間の誘導レ ベルがその相互インダクタンスとなります。 ワ イヤをコイル状に巻いて、共通の軸上の互いに 近い位置に配置し、1つのコイルの磁界が別の コイルの磁界を通過するようにすると、結合が 強化されます。 この電磁誘導方式の形態は、短 距離での低周波数エネルギーで使用すると効 率的です。 電磁誘導方式を使用したワイヤレス 相互接続には、小規模の低電力で使用した場 合に高いパフォーマンスを発揮するというメリッ トがあります。

電磁界共鳴方式

共鳴方式は、効率的送電距離を伸ばす場合に 使用します。 中距離以上では、電気エネルギー の近距離ワイヤレス伝送は、類似した2つのコ イル構造を持つ電磁界共鳴方式を使用して実 現されます。 ただし、今回はコイルが同じ周波 数で共振に転じたため、高いQ値の共振又は 共振変換が起こりました。 電力は2つの共振コ イル間を伝送されました。 振動電流でコイルを 「リング」状にすると、磁界共鳴が発生します。 コイルは大きく振動するため、コイルのエネル ギーは比較的ゆっくりと消失します。しかし、2 つめのコイルを最初のコイルの近くに配置す ると、エネルギーのほとんどが消失する前に 2つめのコイルに伝送されます。 これは、コイ ルをある程度離しても発生します。半導体の最 前線では、Texas Instrumentsが、自社の bqTESLAワイヤレス電力ポートフォリオで、レ シーバとトランスミッタICの非接触充電統合な どで、磁界共鳴技術を現在使用しています。 こ れにより、システムの内部温度の上昇を抑制しながら、標準のACアダプタと同等の充電率を 実現して、ポータブル電子デバイスを93 %の ピーク効率で充電可能になります。

用途


Duracell Power WiCC (ワイヤレス充電カード)

無線電力伝送の可能性に対する関心が高まっ ており、小売の現場で文字通り棚の上にあるデ バイス又は商品をワイヤレスで電源供給又は 充電するような、数多くの新しい革新的な用途 が探られています。 たとえば、チップ対応のス マートマガジンが、それが置かれている棚によ ってワイヤレスで電源が供給されて、表紙にラ イティング要素を提供して新たな関心を引くこ とで、潜在的な買い手の注意を引き付けるよう 設計されることなどが考えられます。また、バッ テリ駆動の玩具を自動的に充電して、いつでも デモンストレーションできるようにしておくこと などが考えられます。

非常に興味深い用途として、デバイスの上に置 かれた充電スリーブを使用してスマートフォン またはその他のモバイルコンシューマデバイス を充電する用途が考えられます。これには充電 テクノロジーの半分が含まれています。すなわ ち、電磁誘導方式で使用されるコイルの1つが 含まれており、無線電力伝送を実現します。 た だし、PanasonicやDuracellなどはその限 界を押し上げています。Panasonicは、テー ブルの上に置かれたモバイルデバイスを充電 できる、太陽光電磁誘導式充電テーブルを最近 発表しました。 テーブルの充電パネルはデバイ スのバッテリに直接接続され、レシーバ回路が バッテリ自体に組み込まれているため、スリー ブや他の結合アクセサリまたはサードパーティ のアクセサリは必要ありません。 このタイプの 製品は、人々が自分のモバイルデバイスに充電 する公共の場であるレストラン、車、または空港 のラウンジなどでよく見かけます。 Duracell は、WiCC (ワイヤレス充電カード)を最近発表 しました。これはあらゆるモバイルデバイスに フィットする、極薄形状のカードで、ワイヤレス 充電回路に必要なすべてのものが含まれてお り、NFC (近距離通信)アンテナの2倍の通信 距離を持っています。

規格

業界の将来の取り組みにとって重要なことは、 低電力デバイス充電の標準が、すでにワイヤレ スパワーコンソーシアム(WPC)により存在す ることです。これはワイヤレス充電テクノロジ ーのグローバルな標準に向けて、2008年に制 定されました。 この標準では、電力を供給する デバイスとそれを受けるデバイス間の相互運用性が策定されています。 現在は中程度の電 力用途にまで拡張されています。 元の低電力 仕様では5 Wまで、中電力仕様では台所用途 などに最適な120 Wまでを供給するよう設計 されています。

電気自動車とその将来

最後のエキサイティングな領域は、個人のガレ ージや公共の駐車スペースの充電ポイントで、 電気自動車にワイヤレス充電する用途です。 充電ポイントは、自動車のレシーバに必ずしも 正確に合わせる必要はありません。 長期的に は、地方当局や政府レベルで数々の問題が解 決されることを前提に、マイクロ充電バージョ ンが注目されています。これは、充電プレートを 通常の公道に埋め込んで、EV/HEV車が走行 中でも充電可能にするものです。 このシナリオ で明らかなのは、多少先のことではあっても、こ のテクノロジーの潜在力が非常に大きなもので あるということです。

その他の技術記事をご覧になるには www.designspark.com/jpn/ をご覧ください。 Designspark.com はRSが運営するエンジニアのためのコミュニティーサイトです。

ページの先頭へ