大きな抵抗の測定

セトリング時間への影響

抵抗と並列の容量は、最初の接続やレンジの変更後のセトリング時間の誤差要因となります。最新のマルチメータは、遅延を挿入して、測定が安定するまでの時間を考慮します。 遅延の長さは、選択したファンクションやレンジによって異なります。

これらの遅延は、ケーブルとデバイスの全キャパシタンスが数百pF未満の抵抗測定には適していますが、抵抗に並列容量がある場合や100 kΩ以上の抵抗を測定している場合は、デフォルト遅延では不十分な場合があります。これらの場合には、RC時定数の影響によるセトリングは非常に長くなります。高精度抵抗やマルチファンクション・キャリブレータには、高抵抗と並列の容量(1000 PF~100 mF)を使用して、内部回路による雑音電流を除去するものもあります。

ケーブルやその他のデバイスの誘電吸収(ソーク)効果に起因するキャパシタンスは、RC時定数を増加させ、長いセトリング時間を要する可能性があります。このような場合は、測定を行う前に遅延を必要に応じて長くします。

キャパシタンスが存在する場合のオフセット補正

抵抗に並列容量がある場合は、オフセット補正をオフにした方がよい場合もあります。電流源をオフにせずに、オフセット補正でもう1度測定を行うと、電圧オフセットが測定されます。ただし、デバイスのセトリング時間が長い場合は、オフセット測定の誤差が大きくなる可能性があります。マルチメータは、セトリング時間の問題を回避するために、オフセット測定においても同じ遅延時間を適用するためです。このような場合、遅延時間を長くしてデバイスを完全に安定させれば、問題を解決できます。

高抵抗測定の接続

大きな抵抗を測定する場合は、絶縁抵抗や表面の汚れが原因で大きな誤差が生じる可能性があります。テスト・リードとフィクスチャは、絶縁材や「汚れた」界面フィルムへの吸湿により生じるリーケージの影響を受けやすく、ナイロンやポリ塩化ビニル(PVC)はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テフロン絶縁体(1013Ω)と比べると絶縁体(109 Ω)としてはあまり良くありません。またナイロンやPVC絶縁体からのリーケージは、多湿状態で1 MΩ抵抗を測定すると、0.1%の誤差が生じる可能性があります。

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