必要なサンプリング・レートは?

前述のように、サンプリング・レートは、オシロスコープを評価する際に極めて重要な仕様ですが、注意すべき点があります。多くのオシロスコープでは、インタリーブ方式が組み込まれています。したがって、2個以上のチャネルのA/Dコンバータを連動させると、4チャネル・オシロスコープの1個か2個のチャネルで最高のサンプリング・レートが実現され、サンプリング・レートが向上します。
オシロスコープの仕様には、このように最大限に高められたサンプリング・レートだけが強調して明記され、サンプリング・レートが単一チャネルにしか適用できないことは明示されていません。4チャネル・オシロスコープの購入を検討する際には、単一チャネルだけではなく複数のチャネルでフル帯域幅を使用したい場合もあることを考慮してください。

ステップ2で紹介した式を思い出してください。オシロスコープのサンプリング・レートはオシロスコープの帯域幅の少なくとも4倍は必要でした。4xの乗率は、オシロスコープがsin(x)/x補間などのディジタル再構成方式を採用している場合に使用します。オシロスコープがディジタル再構成方式を採用していない場合は、乗率は10xでなければなりません。ほとんどのオシロスコープでは、何らかのディジタル再構成方式が採用されているので、4xの乗率で十分なはずです。

sin(x)/x補間を採用している500MHzオシロスコープについて考えてみましょう。このオシロスコープの場合、各チャネルで500MHzのフル帯域幅をサポートするための最低サンプリング・レートは、1チャネルあたり4×(500MHz)、すなわち2Gサンプル/sです。従来の500MHzオシロスコープには、最大5Gサンプル/sのサンプリング・レートを宣伝する製品もありますが、5Gサンプル/sのサンプリング・レートが単一チャネルにしか適用できないことの指摘はありません。
これらのオシロスコープで3個または4個のチャネルを使用する場合には、実際には1チャネルあたりのサンプリング・レートは、1.25Gサンプル/sになります。複数のチャネルで500MHz帯域幅をサポートするには不十分です。

サンプリング・レートを調べるためのもう1つの方法は、捕捉するポイント間の分解能を先に決定する方法です。
サンプリング・レートは、簡単に言えば分解能の逆数です。例えば、ポイント間の分解能を1nsにしたい場合は、サンプリング・レートは、1/1(ns)=1Gサンプル/sになります。

結論としては、複数のチャネルを同時に使用する際に、検討中のオシロスコープが1チャネルあたりのサンプリング・レートを十分に確保できるのか、また各チャネルがオシロスコープの仕様帯域幅をサポートできるのかという点を確認してください。

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