信号のプロービングに最適な方法は?

図4:2.5GHzプローブで測定した立上がり時間が250psの信号(5.1cmダンピングなしの接続)

周波数が高くなるにつれ、オシロスコープの特性だけでなく、プローブの特性も重要になってきます。パッシブ・プローブは通常600MHzまでに制限されているため、オシロスコープの性能をフルに発揮できるプローブが必要になります。システム帯域幅、すなわちオシロスコープ/プローブの組合わせの帯域幅は、2つの帯域幅のうちの小さい方によって制限されます。例えば、1GHzオシロスコープと500MHzパッシブ・プローブを組み合わせた場合のシステム帯域幅は500MHzになります。プローブのために500MHzの帯域幅しか得られないのであれば、1GHzオシロスコープを購入しても無駄になります。

プローブを接続すると、被試験回路の一部になります。プローブの先端は、基本的には短い伝送ラインです。
この伝送ラインはL-C共振回路であり、この伝送ラインは1/4波長で、LC共振回路のインピーダンスがロー(ゼロに近い)でドライブされ、被試験デバイスに負荷をかけます。遅い立上がり時間や信号のリンギングにより、L-C共振回路がかける負荷を簡単に確認できます。

図5:2.5GHzプローブで測定した立上がり時間が250psの信号
(5.1cmダンピングありの接続)

アクティブ・プローブは、パッシブ・プローブより帯域幅が広く、プローブを被試験デバイス(DUT)に接続した際に伝送ラインへ与える影響を多少緩和することができます。
Keysight Technologiesは、アクティブ・プローブにプローブ先端の「ダンピング」抵抗やアクセサリを組み合わせることで、信号負荷とその結果生じる信号の歪みを最小限に抑えました。このような「ダンピング」アクセサリの働きで、L-C共振回路のインピーダンスが低くなり過ぎることはなくなり、信号に負荷がかかることによって生じるリンギングや信号の歪みが回避されます。

さらに、「ダンピング」アクセサリを使用すれば、プローブの周波数応答はプローブの帯域幅全体でフラットになります。応答がフラットであれば、プローブの帯域幅全体で信号の歪みを回避することができます。

信号の歪みに関する問題は解決しました。次は、高速信号をプロービングする際に、プローブ・ヘッド・アクセサリを使用しても、プローブがフル帯域幅を提供できるかどうかを確認することです。Keysight InfiniiMaxプローブでは、プローブ・アンプとプローブ先端の間に制御伝送ラインを使用して、プローブ帯域幅を最適化しています。単一の増幅器を使用して、ブラウジング、ソケット、はんだ付け、SMAなどの様々な差動/シングルエンド・プローブ・ヘッドを接続でき、フル・システム帯域幅を確保できます。また、プローブ・アンプは、実際には制御伝送ラインによってプローブ先端から離れているので、狭いプロービング・スペースにも簡単に手が届きます。

重要なことは、様々なプローブ・ヘッドやアクセサリを使用する際に、プローブの帯域幅仕様を把握しておくことです。アクセサリは、プローブの性能を劣化させる可能性があります。何十万円も広帯域アクティブ・プローブでも、プロービングの構成によっては著しく性能が劣化する可能性があります。

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