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半導体・電子部品 ガイド
プローブとは
「プローブ」とは信号の検出と、オシロスコープまでの信号伝送を行う機器のことです。測定対象物に近づけると、物理的・電気的・機械的な信号を検出することができ、検出された信号を測定器へと送ると正確な測定値がわかります。オシロスコープは電気信号の波形を映し出しますが、プローブを通さなければ正確な信号を得ることはできません。プローブとは信号の検出と伝送を行うため、本体を使いこなすためになくてはならない機器です。
プローブの役割
それではプローブの役割について詳しく見ていきましょう。測定対象への負荷を軽減させる
オシロスコープにおけるプローブの重要な役割は、測定対象への負荷を軽減させることです。電子回路を測定するためには接触しなければなりませんが、電子回路に接触すると負荷がかかり、正常な値は測定できません。
プローブは測定対象に接触しますが、対象に対する負荷を大きく軽減させるため正しい数値を測定しやすくなります。回路への影響がゼロになるわけではありませんが、装置本体で測定を行うよりも影響は小さく負荷が軽減されるのです。
測定する周波数の帯域を確保する
オシロスコープで測定する周波数の帯域を確保することもプローブの役割のひとつです。本体とプローブには、おのおので測れる周波数の帯域が決められています。しかしプローブを本体装置に装着すると、設定されていない周波数帯域を確保できるようになります。
新たに得られる周波数帯域は本体装置とプローブの組み合わせによりますが、測定する波形によっては、プローブと組み合わせて周波数帯域を確保することが必要な場合もあるでしょう。
外部で発生するノイズを防ぐ
オシロスコープのプローブには、外部で発生するノイズを防ぐ役割もあります。プローブを使わず本体装置単体だけで使用すると、観測波形には外部から流入する細かなノイズが混じります。しかしプローブにはノイズの混入を防ぐため、シールド被覆線が使われているためノイズの流入を防ぐことが可能です。
以上のように、プローブは本体装置で観測した波形が正常に出力されるよう、ノイズを防ぐためにも使用されます。
オシロスコープのプローブの仕組み
オシロスコープのプローブは次のような仕組みで動作します。高インピーダンスにより回路への影響を軽減
オシロスコーププローブでは、高インピーダンスにより測定対象となる回路への影響を軽減します。通常であれば、プローブは入力インピーダンスが1MΩです。本体装置自体の入力インピーダンスは1MΩが基本ですが、ミドルクラスの製品では50Ωと切り替えられる場合もあります。オシロスコーププローブの入力インピーダンスにあわせて本体装置の入力インピーダンスを切り替え、回路への影響を軽減しましょう。
方形波になるように調整するコンデンサ
プローブを併用するとコンデンサによりケーブルからの影響を調整します。一般的には並列調整ができるコンデンサが使われますが、調整コンデンサが使用される場合もあります。したがって、ケーブルからの影響を軽減し、本体装置で測定した波形がきれいな方形波になるようにするためにはコンデンサを調整することが必要です。
正確に計測するにはアッテネータ設定を正しく
プローブで正確に計測するには、アッテネータ設定を正しく行うことが必要です。オシロスコープには高電圧を計測可能にするため、信号減衰のためのアッテネータが搭載されています。正確に計測を行うためにはオシロスコープ入力とプローブが同様のアッテネータに設定されていなければなりません。
測定品質向上はプローブの理解から~ オシロスコープの測定品質を決めるプローブ ~
オシロスコープの多様化への追従と、機能拡張のために様々なプローブが存在します。オシロスコープの測定品質を決めるのは、プローブであると言っても過言ではなく、必要に応じた性能や機能にあわせ、適合するプローブを選択することが重要です。オシロスコーププローブの種類
オシロスコープのプローブには非常に多くの種類があり、主要ブランドでも100種類以上のラインアップがあります。
電圧プローブ Voltage Probe |
受動プローブ Passive Probe |
汎用受動プロープ 最も一般的に使用されているプローブ
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高電圧受動プローブ 高い減衰比を持ち、高電圧信号測定に使用する |
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能動プローブ Active Probe |
高電圧差動プローブ フローティング測定用の差動プローブ |
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差動プローブ 同相信号除去を目的としたプローブで、差動信号のシングルエンド化をプローブ内で行う |
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アクティブ・プローブ(シングルエンド) FETなどの回路素子を利用することにより、信号を減衰させずに高インピーダンス、低入力容量を実現 |
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受動プローブ Passive Probe |
受動電流プローブ 電流を測定する。プローブ・アンプがついていない DC成分は測定できない |
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能動プローブ Active Probe |
DC/AC対応 能動電流プローブ 電流を測定する。プローブ・アンプがついているDCオフセット分も測定できる |
オシロスコーププローブは、信号の振幅や種類によって使い分ける必要があり、電圧測定に使用する電圧プローブには、受動プローブ、アクティブ・プローブ、差動プローブ、高電圧差動プローブ、高電圧プローブなど、様々な種類があります。電流測定では電流プローブを使用しますが、こちらも、AC電流プローブとAC/DC電流プローブに大別されます。
このように多くの種類があるのは、オシロスコープの機種や機能が多種多様であることが理由の1つです。上述の電圧か電流かという違いの他に、同じ種類のプローブでもオシロスコープの周波数帯域、設定、電源供給といった付加機能に対応する各種製品があります。
適切なオシロスコーププローブの選択
正確な測定を行うには、どのようなプローブでも回路に接続すると少なからず回路動作に影響を及ぼすこと、理想的なプローブとは何かを理解した上で、最適なプローブを選択する必要があります。
理想的なプローブとは?
- 接続が容易で便利
- 信号忠実度が100%維持される
- 信号源の負荷にならない
- ノイズの影響を一切受けない
項目 | 選択のポイント |
電圧 or 電流 |
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周波数帯域 |
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プローブ負荷 |
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受動電圧プローブとは?
受動電圧プローブは、多くのオシロスコープの標準付属品であり、低コスト、汎用のプローブとして最も普及しています。一方、アクティブ・プローブ等、その他の専用プローブは、オシロスコープの測定範囲と機能を拡張するためのものです。受動電圧プローブは、ワイヤとコネクタで構成され、補正や減衰のために抵抗やコンデンサが付加されています。「受動」という名が示す通り、増幅器などの能動素子は持たず、電力を供給する必要がありません。構造が比較的シンプルなため、堅牢で経済的に使用できます。
ほとんどの受動電圧プローブは、汎用オシロスコープで使用するように設計されており、500MHz程度までの周波数帯域を持つものが一般的です。また、減衰比は測定電圧に合わせるため1:1、10:1、100:1などが用意されており、中でも10:1のプローブが最も多く使用されています。一般に、アクティブ・プローブほどの性能を備えてはないものの、広範なアプリケーション信号測定に最適なダイナミックレンジを備えています。
電流プローブとは?
電流プローブは、導体に流れる電流の周囲に形成される電磁束界の強さを検出し、相当する電流値に変換することにより、オシロスコープで電流波形を表示および解析できるようにするプローブです。電流プローブには、AC電流プローブと、AC/DC電流プローブの2種類があります。一般に、AC電流プローブは受動プローブで、AC/DC電流プローブは、アクティブ・プローブで、両方ともトランスの変換原理を利用し、導体に流れる交流電流(AC)を検出します。したがって原理上、AC電流プローブは直流電流(DC)を検出できません。対してAC/DC電流プローブは、ホール素子を付加することで直流電流を検出可能ですが、ホール素子のバイアス用電源や信号処理用アンプが必要になります。
周波数帯域については、AC電流プローブは、100MHz以下が一般的ですが、GHzオーダーの高い帯域も測定可能です。直流に近い周波数では十分な検出ができないため、下限は、0.5Hz~1.2kHzになる。AC/DC電流プローブの場合、DCから-3dBポイントまでになります。
電流プローブとオシロスコープの電圧測定機能を組合せると、非常に広範囲の電力測定を行うことができます。オシロスコープの波形演算機能によっては、瞬時電力、有効電力、皮相電力、位相なども測定することが可能になります。
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