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技術情報 Ideas and Advice
同軸ケーブルとは?
同軸ケーブル(英語:Coaxial Cable, 略称: coax)は、信号を伝送する銅線(内部導体)を、管状の絶縁層(絶縁体)で囲み、その周りをさらに管状のシールド(外部導体)が取り囲んでいる太くて丸い形状をした通信ケーブルです。シールド線と異なり特性インピーダンスと減衰量が保証され、使用周波数特性は1MHz~1GHz。耐久性に優れ、設置が簡単で、長距離にわたって信号を伝送できるよう設計されており、通信ネットワーク(インターネット)やテレビ・映像の配信に使用されています。
同軸ケーブルの構造
同軸ケーブルは主に4種類の層で構成されています。
1.内部導体:一般的に銅線が使われ、データや映像を伝送
2.絶縁体:ポリエチレンやテフロン等
3.外部導体:シールドと呼ばれる細い銅線のメッシュ。電磁干渉(EMI)から内部導体を保護
4.被膜:PVC(ポリ塩化ビニル)等
同軸ケーブルの構造
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同軸ケーブルの内部導体、外部導体には銅、絶縁体にはポリエチレンを用いたものが一般的で、外部導体は細い銅の線を網目に織り込んでいます。絶縁体の誘電体損失を減らすために、発泡タイプを用いた物もあります。これは、絶縁体中に誘電体損失の少ない空気を多く含むため、損失が少なくなります。また、外部導体が二重メッシュになっているものや、メッシュの外側にアルミ箔を巻いて漏洩を少なくしているもの、磁気的シールドが施されているものなどもあります。
同軸ケーブルの特性インピーダンス
同軸ケーブルの特性インピーダンスは、内部、および、外側の導体の構成に左右されます。特性インピーダンスは導体のサイズ・間隔及びそれらの間で使用される誘電体のタイプによって定められています。構造上使われている材料すべてで特性インピーダンスを決めています。
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同軸ケーブルの選び方
同軸ケーブルの選び方は次の3つがポイントです。同軸ケーブルの選び方
- 接続する機器に対応した特性インピーダンスを選ぶ
- 接続する場所に適した形状のプラグを選ぶ
- 同軸コネクタ・ケーブルの材質は相性の良さで選ぶ
- 太く二重編組の同軸ケーブルがおすすめ
同軸ケーブルの極度の曲げ、つぶれ、キズ、水が入るなどは、ケーブルのインピーダンスを乱す原因になりますから注意が必要です。同軸ケーブルに使用する同軸コネクタの特性インピーダンスは、同軸ケーブルと同じ特性インピーダンスであることが大切です。特にUHF以上の周波数で伝送するときに問題が起きることがあるようです。また、接続する場所にあわせてプラグの形状を選ぶこともポイントのひとつ。挿し込み口が下向きの場合はS型プラグを、ズレないように接続したいときはF型プラグを選ぶなど、適応にあわせて選んでください。
どんなに良質の同軸ケーブル、あるいは、同軸コネクタでも、一緒に使用する同軸コネクタまたは同軸ケーブルの材質が悪ければ特性インピーダンスを乱す原因になります。原価を考えずによい相性の同軸ケーブルと同軸コネクタを選ぶことが、余計な所にお金を掛けず快適な伝送ができるポイントになります。また、接続する場所にあわせてプラグの形状を選ぶこともポイントのひとつ。挿し込み口が下向きの場合はS型プラグを、ズレないように接続したいときはF型プラグを選ぶなど、適応にあわせて選んでください。
< 50Ωの同軸ケーブルの場合 >
太さ
1.5D、3D、5Dのように数字が大きいほど太くなります。
大電力ほどロスを少なくするために太い同軸ケーブルをお勧めします。
外部導体
5D-2V・・・・(一重編組)
5D-2W、5D-FB(二重編組)
できるだけ430MHz以上の周波数で伝送するときは、「インピーダンスの乱れ」を防止するために二重編組の同軸ケーブルをお勧めします。
同軸コネクタの選び方
同軸ケーブルを正しく選ぶには、同軸コネクタの選び方についても知っておく必要があります。同軸コネクタにはさまざまな種類があり、接続する同軸ケーブルによる相性も影響します。同軸コネクタの選び方については、下記の記事を参考にしてください。同軸ケーブルの種類と用途
同軸ケーブルには、主にインピーダンスが50Ω(オーム)のものと、75Ωのものの2種類があります。
同軸ケーブルにおいてのΩ(オーム)とはインピーダンスのことで、電気エネルギーに対するケーブルの耐性を示すものです。
用途 |
データ通信、無線通信 無線通信用の屋内配線, 高周波機器の接続用・内部配線, 電力線搬送用給電線等 |
75Ω同軸ケーブル |
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用途 | テレビ信号の伝送 テレビ受信用の屋内配線, 高周波機器の接続用, 内部配線, 電力線搬送用給電線等 |
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導体 |
C:軟銅線 S:銀めっき軟銅線 SCW:銀めっき被覆銅線 CW:銅被覆鋼線 T:錫めっき軟銅線 TC:アルミ箔付プラスチックテープ+軟銅編組 |
絶縁体 |
PE:ポリエチレン PEF:発泡ポリエチレン TFE:4フッ化エチレン FEP:フッ化エチレンプロピレン PVC:塩化ビニル |
同軸ケーブルの剥き方
同軸ケーブルを剥く際には次のように行います。同軸ケーブルの剥き方
- 先端から9mm以上の部分にカッターで切り込みを入れる
- 切り込み線に沿ってカッターで外皮を切る
- カットした外皮を回しながら抜き取る
- カットした部分から1cm程度残るように先端から編組みをほぐす
- 網組の端から3~5mm程度残して芯線の皮膜を剥がす
同軸ケーブルの剥き方には外皮と編組を一度に切る方法と、外皮を切ってから編組を剥く方法の2パターンがありますが、外皮だけを切るやり方の方が芯線を傷つけるリスクが低くおすすめです。いずれの方法で行うにしても、銅線やアルミ箔を傷つけないように剥くことがポイント。芯線の皮膜を剥がした後に、カッターの刃で芯線の表面をこするようにし、付着物を除去すると接触不良が起こりにくく受信レベルが高まります。同軸ケーブルの向き方は以上の通りですが、芯線の長さは表記した長さを目安として、取り付ける場所にあわせて変えてください。
軍用MIL規格の同軸ケーブル
RGタイプは、米国国防総省のMIL規格(Military Standard)準拠の同軸ケーブルです。
同軸ケーブル Q&A
Q. シールド付き制御ケーブルの製品仕様にある、定格電圧300/500Vとは何ですか?
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A. 使用できる定格電圧のことです。300V:単相交流、500V:3相交流を意味します。通常の使用であれば交流300V定格としてご使用ください。
Q. 同軸ケーブル接続方法のクランプとクリンプとの違いは何ですか?
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A. クランプ:特殊な工具(圧着工具など)を必要としない接続方法。芯線は、はんだ付けするのが一般的です。
クリンプ:圧着工具など特殊工具が必要な接続方法。芯線は、圧着・はんだ付けの2タイプがあります。
Q. 3重同軸ケーブルの表示が、1.5C、1.5D、2.5C、2.5Dとなっていますが、通常の2重同軸ケーブルの1.5Dと2.5Dの太さと同じですか。
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A. 3重同軸ケーブルは、芯線、シールド1、シールド2といった構造になっているので、通常の同軸よりも外径は太くなります。1.5Dはφ5、2.5Dはφです。2重同軸ケーブルの1.5Dと2.5Dより太くなります。
Q. BNCケーブルについて50Ωと75Ωの商品の選定方法を教えてください。違いは何ですか?
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A. 同軸ケーブルのインピーダンスです。インピーダンスを合わせないとインピーダンス整合が取れなくなるので50Ω、75Ωは全てあわせてください。
Q. 同軸ケーブル、RG58/UとRG58A/Uの違いは何ですか?
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A.インピーダンス、静電容量、減衰特性などが違います。
RG58/U RG58A/U インピーダンス(Ω) 53.5 50 静電容量(nF/km) 94 102 減衰特性(dB/10MHz) 42 48
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A. VGA:IBMのビデオ基準。解像度640x480。アナログ信号。解像度(画質の鮮明度)が高いと、細かい表示ができ、優れている。SVGA・800x600 XGA・1024x768 SXGA・1280x1024 UXGA・1600x1200などがあります。DVI:ビデオインターフェース規格の一つ。現在のパソコンに標準装備しているものが増えている。VGAは、デジタル→アナログ変換し画像表示しているのに比べ、デジタル信号をそのまま使用するので、画質劣化がなく画質がいいと言われています。
Q. ビデオ規格のDVI-D、DVI-A、DVI-Iの違いは何ですか?
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A.DVI-D:デジタル専用の端子です。
DVI-A:VGA(アナログ)信号からDVI-I端子へ変換に使用される端子です。
DVI-I:デジタルとアナログの両方に対応した端子です。
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