燃焼性UL規格 ガイド

燃焼性UL94表示

UL94とは?

材料の難燃性の尺度としてはUL94によるものが広く用いられており、その等級はUL94 V-0、94 V-0、あるいは単にV-0のように呼ばれています。この難燃性の判定は、規定された寸法の試験片にガスバーナーの炎を当てて試験片の燃焼の程度を調べる燃焼試験によって行われます。UL94に基づく一般的な材料の難燃性の等級としては、5VA、5VB、V-0、V-1、V-2、そしてHB(難燃性の高いものから順に)があります。

燃焼性UL94表示の証明機関

燃焼性UL規格である燃焼性UL94表示を証明するのは、アメリカの「Underwriter's LaboratoriesInc.」という非営利法人です。
Underwriter's LaboratoriesInc.は、アメリカの火災保険協会である全国火災保険業者会議によって、1984年に設立さました。
設立の目的は、電気製品に使用されている装置や部品などのプラスチックが燃焼することで、発生する恐れのある事故や損害から自衛するためです。
アメリカでは最も信頼性のある証明機関とされており、燃焼性UL94表示はアメリカの国家規格としても重要視されています。

燃焼性UL94表示の目的

燃焼性UL94表示の目的は、火災・感電・盗難などの事故を未然に防ぐこと。
燃焼性UL規格は約800もの項目から成り立っており、燃焼する速度、炎が上がる時間などを水平燃焼試験・垂直燃焼試験を用いて検査し、主に難燃性・耐燃性・電気特性の3つの種類から安全性が評価されます。
評価を通して電気製品を使用することにより火災・感電が置きたり、電気製品が盗難に遭ったりすることを防ぎ、人の命や安全、財産を保護することが燃焼性UL94表示の目的です。

   
   



等級試験方法基準
5VA 垂直に保持した試料の下端(あるいは水平に保持した試料の下面中央)に5秒間ガスバーナーの炎を接炎させた後に5秒間離す操作を5回繰り返す。
  1. 最後の接炎の後、60秒以上燃焼を続ける試料がない
  2. 試料の下方に置かれた脱脂綿を発火、燃焼する粒子を落下させる試料がない
  3. 試料に穴が開かない
5VB
  1. 最後の接炎の後、60秒以上燃焼を続ける試料がない
  2. 試料の下方に置かれた脱脂綿を発火、燃焼する粒子を落下させる試料がない
  3. 試料に穴が開いても良い
V-0 垂直燃焼試験
垂直に保持した試料の下端に10秒間ガスバーナーの炎を接炎させる。燃焼が30秒以内に止まったならば、さらに10秒間接炎させる。
  1. いずれの接炎の後も、10秒以上燃焼を続ける試料がない
  2. 5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が50秒を超えない
  3. 固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない
  4. 試料の下方に置かれた脱脂綿を発火、燃焼する粒子を落下させる試料がない
  5. 2回目の接炎の後、30秒以上赤熱を続ける試料がない
V-1
  1. いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける試料がない
  2. 5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が250秒を超えない
  3. 固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない
  4. 試料の下方に置かれた脱脂綿を発火、燃焼する粒子を落下させる試料がない
  5. 2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試料がない
V-2
  1. いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける試料がない
  2. 5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が250秒を超えない
  3. 固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない
  4. 試料の下方に置かれた脱脂綿を発火、燃焼する粒子の落下が許容される
  5. 2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試料がない
HB 水平燃焼試験
試料を片端で固定して水平に保持し、その自由な端に30秒間ガスバーナーの炎を接炎させる。炎を離した後に試料が燃焼を続けたならば、その燃焼の速度を測定する。
  1. 厚さが3.05mm以上の試料については燃焼速度が毎分38.1mmを超えない
  2. 厚さが3.05mm以内の試料については燃焼速度が毎分76.2mmを超えない、あるいは炎が試料の端から102mmの点に達する前に燃焼が止まる

その他のUL規格

その他、薄い材料に対しては VTM-0~2(垂直燃焼試験)、発泡材に対してはHBFやHF-1~2(水平燃焼試験)、電線類に対してはVW-1(垂直燃焼試験)といった等級も用いられます。

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