プラスチック ガイド

プラスチックの種類・用途・特長

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プラスチックとは

まず「プラスチック」とはどのような物質なのか、基本的な知識や特長をご紹介します。

プラスチックとは合成樹脂のこと

プラスチックとは「合成樹脂」のことです。

原料は石油や植物繊維であり、水に溶けることなく凝固後に安定する働きを持つ「天然樹脂」をより使いやすくするため、人工的に作られた樹脂がプラスチック。
古くから接着や塗装で活用されていた天然樹脂は使い勝手が良いものの、樹木から採取しなければならず、安定的な供給を得られるものではありません。

そこで、より広く樹脂の性質を活用するために、同じ特長を持つ合成樹脂であるプラスチックが活用されています。

プラスチックの特長

プラスチックには次のような優れた特長があります。

プラスチックの特長

  • 熱により形を変えられる
  • 軽量で耐久性に富む
  • 透明でさまざまな色に着色できる
  • 電気を通さず安全
  • 断熱性がある

軽量で耐久性に富む上に着色がしやすく、熱により形が変わることから、成形しやすく幅広い用途に活用できることが最大の特長。
新しいタイプのプラスチックでは、金属と同等の耐久性を持っていたり、耐衝撃性があったりする種類のプラスチックもあります。

また、電気を通さないので安全性が高く、断熱性があるという実用性も兼ね備えています。
以上のように多くの優れた特長をもつことから、プラスチックは幅広い用途で活用されているのでしょう。

プラスチックという用語の由来

合成樹脂がなぜプラスチックと呼ばれるようになったのか、用語の由来を見ていきましょう。

プラスチックの由来はギリシャ語

プラスチックという名称の由来は古代ギリシャ語に端を発します。
古代ギリシャ語で「plastikos」とは「成形できる」という意味を持ち、プラスチックがさまざまな形へと容易に成形できることから名付けられました。
「プラスチック(plastic)」という名称は英語ですが、現在でも「plastic」という英単語には「プラスチック製の」という意味の他に、次のような意味が含まれています。

plasticという英単語に含まれる意味

  • 形を造る
  • 形成力のある
  • 可塑性の
  • 柔軟な
  • 感受性の強い
  • 人工的な

「plastic」という英単語には、プラスチックの特長が含まれていることがわかります。
プラスチックという名称は、古代ギリシャ語で「成形できる」という意味を持つ「plastikos」に由来しており、現在でも英語の「plastic」には「成形できる」という意味が含まれているのです。

プラスチックの種類・用途・特長

品名樹脂素材名主な用途主な特長
略称和名英名通称
ABS アクリロ
ニトリル
ブタジエン・スチレン樹脂
Acrylonitrile butadiene
Styrene Copolymer
ABS樹脂 自動車・家庭電化製品・日用品など射出成形品 成形収縮率が小さく、バランスがとれている。メッキ性が良い。
AS
(SAN)
アクリロ
ニトリル・
スチレン
樹脂
Styrene Acrylonitrile Copolymer 自動車・電気部品・扇風機の羽根・ライター容器 ガソリンなど鉱物油に強く、傷つきにくい。
EP エポキシ
樹脂
Epoxy resin 接着剤・塗料・釣竿・コネクタカバー 成形収縮率が小さく、機械特性に優れ常温で固化することができる。
MF メラミン
樹脂
Melamine resin 接着剤・塗料・食器・化粧板 無色で耐食性があり、丈夫で美しい。
PA ポリアミド Polyamide (Nylon) ナイロン ギア・プーリー・シャフト・ボビン 耐油性・耐熱性が優れており、摩擦係数が小さく、磨耗に強いが、吸水性がある。
PA6 ポリアミド6 Polyamide6 (Nylon6) 6ナイロン ファン・ケースなど・合成繊維 寸法変化・性質変化がおこりやすい。押出成形が多い。
PA66 ポリアミド
66
Polyamide66 (Nylon66) 66ナイロン 寸法変化・性質変化がおこりやすい。射出成形が多い。
PAI ポリアミド
イミド
Polyamide-imide ベアリング・ギア・バルブ 極めて耐熱性に優れており、磨耗が少なく耐衝撃性も良い。
PAR ポリアリ
レート
Polyalylate スイッチ類・フロッピーディスクハブ ばね回復性、耐熱性、寸法安定性、耐磨耗性、耐薬品性に優れる。
PBI ポリベン
ズイミダ
ゾール
PBT
(P)
ポリブチ
レンテレ
フタレート
Polybutylene
terephthalate
コイルボビン・コネクタ・キャブレター 強靭で耐熱性が優れ成形性も良いが熱水・アルカリに弱い。
PC ポリカーボ
ネート
Polycarbonate 防護壁・照明器具・信号機レンズ・ビン 透明で耐熱性があり衝撃にとても強いが、耐薬品性に劣る。
PE ポリエチレ
Polyethylene 高密度ポリエチレン=PE-HD
低密度ポリエチレン=PE-LD
包装用フィルム・ラミネート・玩具・日用品 安価で低温に強く、吸水性がなく耐薬品性に優れる。
PEEK ポリエーテ
ルエーテル
ケトン
Polyetheretherketone 化学プラント・コピー部品・耐熱水製品 耐疲労性・耐磨耗性に優れ、短時間であれば300℃スチームにも耐える。
PEI ポリエーテルイミド Polyetherimide コネクタ・ボビン・航空機内装材・医療器具 耐熱性・耐薬品性・成形性に優れ、難燃性である。
PES ポリエーテ
ルサルホン
Polyethersulphone 耐熱ローラー・ギア・複写機部品・カメラ部品 高温200℃にて寸法変化や物性低下を起こさない。
PET ポリエチレ
ンテレフタ
レート
Polyethylene
terephthalate
ペットボトル・録音テープ・家電機器部品 強靭で耐熱性に優れ、無毒で吸水も少ないが、熱水とアルカリに弱い。
PF フェノール
樹脂
Phenolics 電子部品の基盤・ソケット・やかんの把手 電気的性質が良く、高い温度に耐える。
PI ポリイミド Polyimide コインボビン・ICソケット・ピストンリング 耐衝撃性・耐熱性に優れ、低温から高温まで特性の変化が少ない。
PMMA ポリメタ
クリル酸
メチル
Acrylics:
Polymethylmethacylate
メタクリル樹脂、アクリル 光ファイバー・レンズ・光ディスク・テールライト 完全に無色透明で光線の通過率は100%に近く、日光にあたっても変色しない。
POM ポリア
セタール
Acetal:
Polyoxymethylene
アセタール樹脂 歯車・カム・モーター部品・ファスナー・バルブ 耐薬品性に優れ、摩擦、磨耗特性が良く、反発弾性が良い。
PP ポリプロ
ピレン
Polypropylene 家庭用台所用品・フィルム・容器 安価で表面光沢が良く、薄膜状態に強いが低温に弱い。
PPE ポリフェニレンエーテル Polyphenyleneether ポリフェニレンオキシド 機械的特性、耐熱性、電気的特性に優れるが、耐熱性が非常に高く、成形性に難あり。
PPS ポリフェニレンサル ファイド Polyphenylenesulfide 化学プラント・キャブレター・ピストンリング 極めて耐熱性に優れており、耐磨耗・耐薬品性が良く剛性も高い。
PS ポリスチレン Polystyrene スチロール樹脂 透明な日用品・容器・文具・高発泡製品 安価で成形性が良く電気絶縁性に優れるが、熱に弱く脆い。
PSU ポリサル
フォン
Polysulphone 電子部品・カメラ部品・医療機具 着色、メッキが可能、耐熱性、じん性、寸法安定性、耐薬品性に優れる。
PTFE ポリテトラフルオロエチレン Polytetrafluoroethylene 四ふっ化エチレン樹脂、テフロン ガスケット・パッキン・フライパンの表面 ポリテトラフルオロエチレン(テフロンの一部)。絶縁として使用されることが多い。耐熱性・耐薬品性・電気絶縁性に優れるが、成形性悪く柔らかい。
PVC ポリ塩化
ビニル
Vinyls 塩化ビニル樹脂(塩ビ) 農業用フィルム・パイプ・ホース・電線被覆 安価で耐候性に優れるが、射出成形が難しい。
PVDF ポリふっ化ビニリデン Polyvinylidenefluoride バルブ・ポンプ・塗料 耐熱性・耐薬品性に優れ、電気特性も良く圧電性を有している。
SI シリコン
樹脂
Sillicon けい素樹脂 ゴムロール・ポット部品・シール材・コンデンサ 耐熱性に優れており、耐油、耐水、耐候性も良い。
UF ユリア樹脂 Urearesin 尿素樹脂 接着剤・食器 無色透明で着色性が良いが耐衝撃性が悪い。接着剤用途が80%以上
UHMW-PE 超高分子量ポリエチレン Ultra-High-Molecular
Weight-Polyethylene
ロールカバー・バンパー・人工骨・ベアリング 耐磨耗性・耐衝撃性にきわめて優れているが、成形性がとても悪い。
UP 不飽和ポリ
エステル
樹脂
Polyester:
Unsaturated Polyester
漁船・ボート・ヨット・浴槽・タンク 大型の製品を作るのに適しており、ガラス繊維入りのFRP主流。

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