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小ねじとは?
ところ変われば品変わる~ 小ねじの外形のバリエーション ~
—— 電子機器には、ねじ止め箇所がたくさんあります。
様々な機器の内外で、小さなねじがたくさん使われています。ねじ自身でねじの目を刻む「タッピンねじ」なども使われますが、汎用の軸径の小さい頭付きのねじは、総じて「小ねじ」と呼ばれます。小ねじは頭部の形状、呼び径(太さ)、呼び寸(長さ)、材料と表面処理などによって分類され、頭部形状には、なべ、皿、丸、平、バインド、丸皿、トラスなどがあります(図1)。このうち最も一般的なのは「なべ」で、頭部が飛び出さないようにするには皿を、締結物が柔らかい場合等は頭の大きなトラスを使います。バインドは、なべとトラスの中間で汎用的に使われます。丸皿はやや特殊ですが、ラック搭載する電子機器では専用のロゼット(丸皿ワッシャ)と組み合わせてパネル固定などに使用されます。
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簡単なものほど難しい~ ねじの材料と表面処理 ~
—— 様々な色をしたネジがありますね。
導電性が重要な用途では真鍮、反対に絶縁性を要する場合はプラスチック、腐食を避ける目的ではステンレスなども使われますが、実際に使用されている小ねじの多くは鉄でできています。色などが異なるのは、主にめっきなどの表面処理の違いに因るものです。図2によく使われるものの写真を掲げました。このうち、質問の多いクロメート処理について整理しておきます。クロメートとは、亜鉛メッキの上にクロム(Cr)で酸化防止の被膜を形成する処理のことを言います。安価なうえに自己補修作用もあるため、ねじだけでなく様々な用途で、過去に大量使用されました。そして、その際に使われたのは六価クロム(Cr6+)です。しかしながら、六価クロムには強い毒性と水に溶ける性質があり、土壌や生体を汚染する危険が指摘され、世界的な回避策が練られました。よく知られるように、欧州のRoHS指令でも、六価クロムは鉛やカドミウムなどと共に、規制対象になっています。
六価クロムに代わる材料として使われるようになったのが、三価クロムです。同じクロムでも、三価のクロムは人体に必要とされる成分でもあり、毒性の心配はありません。
ただし、三価のクロムによるクロメート処理は、六価のクロメート処理を完全に置き換えるものではなく、例えば、外観は六価のクロメートよりもむしろユニクロと似た色になります。ねじに適用した場合も、三価クロメートは六価クロメートよりも摩擦係数が小さいので、トルク係数が下がりますし、耐食性もやや劣ることは承知してください。話を戻して、屋外設置物など腐食を嫌う用途では、ステンレスを材料にしたねじも多用されます。その際、ステンレス(Stainless)は錆びないものと考えがちですが、錆を全く生じないステンレス鋼は存在しません。特にねじの場合は「もらい錆」といって締結相手となる材料の腐食がステンレスねじにまで波及することも多いので注意してください。ちなみに、ステンレスは、ナットとの締結の際に「噛みつき (焼き付き)」が起こり易く、締めることも外すこともできなくなることがあります。これは材料の持つ性質によるものであるため、慎重な作業が求められます。
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相手が肝心~ ナットとワッシャ~
—— ワッシャとかナットも同時に使います。
電子機器では、相手方にタップ(雌ねじ)を刻んで使うこともありますが、ナットで部品を固定することも少なくありません。小ねじ用のナットには、JISで1 種/2種/3種に分類される3種類が規定されています(図3)。具体的には、1種は高さが呼び径の約8割片面取り、2種は高さが呼び径の約8割両面取り、 3種は高さが呼び径の約6割両面取りで、これらは一目で見分けがつくと思います。
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ワッシャではスプリングワッシャや平ワッシャが使われます(図4)。スプリングワッシャは緩み防止の目的で使われますが、ねじの締結力は自身の摩擦から生み出されるものなので緩み留め効果を過大に期待するのは禁物です。一方、平ワッシャは板金精度などの都合で締結する対象物の穴径が大きめになる場合や締結材料が柔らかく、ねじの頭が沈み込む可能性がある場合などに使用します。電子機器では、基板のシャーシグラウンドなど、緩み防止と同時に電気的導通を期待して、刃付きのワッシャも使われます。
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因みに、ワッシャ類は作業の都度ねじに通す必要があるうえ締結の際に落としてしまうなど、機器の製造過程においては作業性を損なうこともあります。そこで、近年ではワッシャをねじに予め取り付けたうえで外れることがないようにした「組み込みねじ」も多く使われるようになりました(図5)。
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簡単なものほど難しい~ ねじとドライバの適正と適合 ~
—— ドライバ一本で締めるだけだから簡単ですね。
ねじとドライバがあれば部品を取り付けたり外したりできます。その意味でははんだ付けなどよりも簡単かもしれません。しかしながら、シンプルなものほど使い方次第で機能が大きく左右されます。小ねじの場合もトルク、簡単に言えば締め付け力の管理は重要です。ねじの締め付けトルクは弱くても強すぎてもうまくありません。やっかいなのは適正トルクがねじの径や材質だけでは決まらないという点です。締結する部材や表面処理などでも適正なトルクは変わります。したがって、工程や作業毎に最適トルクを定め、管理していくことが肝心です。生産工程などでは電動ドライバなどの定期的チェック、手で締める場合は適正トルクで締めるスキルを獲得する訓練なども必要でしょう。最後になりましたが、うっかりミスとして起こりがちなのが、ビット(ドライバの刃先)の不適合によるねじ山のつぶれです。小ねじに対しては図6に示した3種のビットがあり、ねじの呼び径に適合したビット(ドライバ)を使わなければなりません。現場で適合ドライバに迷った場合は、初めにNoの大きい方のドライバを当ててみて、ねじと合わなければNoをひとつ下げるようにすると間違わずに済みます。
図6:小ねじ径と適合ドライバ
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小ねじの用途
小ねじには多くの種類があり、種類により用途も違います。代表的な小ねじの種類ごとに、どのような用途で使用されるのか見ていきましょう。
皿小ねじの用途
皿小ねじは住宅設備に使われることが多い小ねじです。
横から見えると皿のように座面がすぼまる形になっていて、使用した際にねじの頭が見えにくいという特徴があることから、蝶番などの外見を良くするため住宅設備で頻繁に使用されます。
ナベ小ねじの用途
ナベ小ねじは家電製品・パソコン・自動車・自転車・電気スタンドなどあらゆる用途で活用されています。
また、平座金やばね座金と組み合わせる用途でも使われる小ねじです。
小ねじの中で最も用途が広く一般的であることから、あらゆる場面で見かけられます。
トラス小ねじの用途
トラス小ねじは重量のあるものを固定する際に使用されます。
使用される際にはトラス小ねじだけで活用されることが多く、座金との組み合わせはあまり見られません。
部材と接する面積が大きいことから、重量物の固定に適した小ねじです。
タッピングねじの用途
タッピングねじは取り外しの可能性がなく、しっかりと固定したいときに使われます。
ねじ山が粗く作られているため緩みにくく、取り外しにくいためです。
部材との固定力を高めたいときはタッピングねじが適しています。
小ねじの特徴
小ねじの特徴は、ねじの頭に「プラス」「マイナス」「プラスマイナス」のいずれかの溝が入っていて、溝に対して適合するドライバーでねじ回して対象物を固定することです。最も一般的なのはプラスの小ねじで、マイナスの小ねじよりもドライバーが噛み合いやすく、作業しやすいことが特徴となります。
マイナスの小ねじは横一本の溝のみが入っているタイプで、プラスの小ねじに比べて作業しにくいことからあまり使われなくなりましたが長い歴史を持ち、15世紀頃からプラスの小ねじが登場するまでは広く活用されていた小ねじです。
そしてプラスマイナスの小ねじは、プラスの溝のうち一本のみが長くなっており、プラスドライバー・マイナスドライバーの両方で締められます。
小ねじは皿小ねじ・なべ小ねじ・バインド小ねじ・トラス小ねじなど、さらにさまざまな種類に分けられ、細かな種類ごとに特徴も変わりますが、基本的な特徴は「プラス」「マイナス」「プラスマイナス」の溝が入っていて、適合するドライバーで固定することです。
鋼製のボルト・小ねじの機械的性質
1. 適用範囲
この規格は、鋼製のボルト・小ねじなどで、表1の適用条件に該当するもの(1)の常温(2)における機械的性質及び試験、検査並びに表示について規定しています。表1:おねじ部品の適用条件
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なお、強度区分4T~7Tの鋼製のボルト・小ねじの機械的性質は、附属書による。
注
(1):この規格で適用の対象とする鋼製のボルト・小ねじなどを総称する場合は、"おねじ部品"という。なお、完成されたおねじ部品をそのままの姿で試験に供する場合、この"おねじ部品"を、削り出して作られた試験片に対応させて、特に"製品"という。
(2): 常温の温度は、JIS Z 8703で規定する5~35℃とする。
備考
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2. 機械的性質
2-1:強度区分の表し方おねじ部品の機械的性質による強度区分は、図8の座標に示す小数点を付けた二けたまたは三けたの数字による記号(以下、これを強度区分記号という。)で表す。
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この座標の横軸は呼び引張強さ(N/mm2)、縦軸は破断伸び(%)であって、強度区分記号の小数点前の数字は、N/mm2の単位による引張強さ(3)の1/100を示し、小数点後の数字は、N/mm2の単位による呼び下降伏点(3)又は呼び耐力(3)と呼び引張強さとの比(呼び下降伏点又は呼び耐力/呼び引張強さ)の10倍を示す(参考表1)。したがって、強度区分記号の"小数点前の数字"と"小数点後の数字"との積を10倍した値は、N/mm2の単位による呼び下降伏点又は呼び耐力となる。
参考表1:下降伏点または耐力と引張強さとの比
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注
(3):呼び引張強さ、呼び下降伏点及び呼び耐力は、強度区分記号の構成上、便宜的に設けられたもので、おねじ部品に適用する引張強さ及び下降伏点(又は耐力) の最小値は、それらの呼びの値と同じか、それよりも大きくなっている。(表3参照)
(4):ねじの呼び径が16mm以下のものに適用する。
2-2:強度区分に対する機械的性質
おねじ部品の強度区分に対する機械的性質は、4.の試験(JIS本文参照のこと)を行ったとき、表3に適合しなければならない。
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